犯してしまった罪と向き合ったとき…オススメ漫画5選!95 Pt.

誰しもが大なり小なり罪を犯して生きているという考え方を持っている。例えば、仏教でいう「業(ごう)」やキリスト教における「原罪」というのは、生まれながらの罪を指す思想だ。今回紹介する作品は、自らの犯した罪と向き合う者たちを描いた作品である。心揺さぶられるヒューマンドラマを味わってほしい。

作成日時:2019-11-06 10:00 執筆者:マンガペディア公式

犯してしまった罪と向き合ったとき…オススメ漫画5選!

出典:講談社


『ヒミズ』

『ヒミズ』

出典:講談社

やむを得ず殺人を犯してしまった主人公が、普通の生活をあきらめて「悪い奴」を罰すべく徘徊するサスペンスホラー漫画。主人公・住田(すみだ)祐一は平凡な人生を望む中学3年生であったが、母親が駆け落ちし、自分を虐待していた父親を殺害してしまう。自身が平凡な存在から殺人者という「特別な人間」となってしまったことに絶望した祐一は「悪い奴」を殺害すべく街を徘徊する。人間の心の闇をつぶさに描き出した衝撃的な作品である。2012年に実写映画化。

作者は『行け! 稲中卓球部』をはじめ、これまでギャグ路線の作品を多く手掛けてきた。ところが本作ではそこから一転、不道徳な世界観を描き出したことで、話題となった。キャッチフレーズは「笑いの時代は終わりました。これより、不道徳の時間を始めます」である。ギャグ漫画で笑いを追求してきた作者だからこそ、笑いの根底が不道徳とつながっているという一面を本作を通し表現できたのだろう。世界観は暗く、読後感が良いとは決していえない作品だ。しかし祐一の目線を通し露わになる醜悪な世界は一見の価値がある。徹底して不道徳的でありながらも、圧倒的で魅力的な、間違いなく傑作であると断言できる作品だ。ちなみにタイトルの「ヒミズ」とは小型のモグラの一種である。


『前科者』

『前科者』

出典:小学館

罪を犯した者や非行経歴のある者の更生のために、保護司を務める女性を描いたヒューマンドラマ。主人公・阿川佳代は、複数のアルバイトを掛け持ちしながら無報酬のボランティアである国家公務員「保護司」を務める。保護司とは、犯罪者の更生を助け、犯罪予防につなげる職務である。第1話は、兄殺しの罪を犯した石川二朗の担当になることから物語は始まる。二朗とのやり取りや、佳代の生活を描き出すことで現代日本が抱える問題や理不尽をリアルに掘り下げている。

無給で保護司を務める佳代。彼女には未返済の大学の奨学金とブラック企業で体を壊し入院したためにできた借金がある。そのため、佳代は新聞配達とコンビニエンスストアでのアルバイトを兼務している。セクハラまがいの態度を取るコンビニの常連客や、それを助けようともせずニヤニヤするばかりの店長。現代日本の理不尽を佳代の目線から描き出している。保護司の仕事をきれいごとだと毒づくコンビニの店長に対し佳代は「本音はお金が欲しい」「だけど、それだけじゃみじめ過ぎる」と述べる。そこに本作の骨子が表されているのだろう。保護司という職業を真摯に描いているのみならず、奨学金や女性蔑視に関する問題にも光を当てている本作。現代日本の問題を佳代のまっすぐな目線で見つめている注目作である。


『懲役339年』

『懲役339年』

出典:小学館

転生が信じられている世界を舞台に、大罪人の生まれ変わりとして刑務所ですごす少年と、その周囲の人々が紡ぎ出す群像劇。懲役339年という刑を科せられることとなった大犯罪者であるハロー。彼は20年の服役のあと没したが、残り319年の刑期は生まれ変わりとされる赤子が引き継ぎ、服役することとなるのだ。前世の記憶も罪の意識もないまま、十分な教育もなされず、言葉も持たず刑務所で生きる少年。339年という長い刑期を過ごす、幾人もの「ハロー」の人生を描く。

大罪人であったという前世をつぐなうために、服役する歴代ハロー。339年という莫大な年月の刑期の中、幾人にも連なるハローの生と死が、重いテーマながら淡々と紡がれる。転生信仰に縛られた国家。その信仰に至る理由や、その思想のもと生きる人々の生活が丁寧に表されている。生まれながらに収監された、少年である2代目ハローと新人看守であるアーロック・ベルマークとの交流も後々、意味を持ってくる。作者のデビュー作であり、作画などに関してまだ粗削りな部分があるが、物語や設定の深さは非凡さを感じさせ、漫画家としてのポテンシャルの高さが本作からうかがえる。転生信仰の理不尽を描き出す反面、ときおり転生の実在をにおわせる描写が見事である。隠れた名作といってよい作品だ。


『僕たちがやりました』

『僕たちがやりました』

出典:講談社

仕返しのためのいたずらから、死傷者を出す大惨事を招いてしまった普通の男子高校生たちを描いたサスペンス逃亡劇。そこそこ楽しい日常を送る凡下(ぼけ)高校の2年生・増渕トビオ。隣の不良高校・矢波(やば)高校の生徒に激しく殴打された友人・丸山友貴(マル)の仕返しをするために、矢波高校に自作の爆弾を仕掛ける。いたずらのつもりだったが、プロパンガスに引火し、大惨事となる。こうして彼らの逃亡劇が始まった。2017年に実写ドラマ化。

毎日ゆるく楽しく生きている主人公のトビオとその友人たち。そんな彼らの日常が、軽いいたずらのつもりでした行為によって崩壊する。物語冒頭の、普通の軽いノリで生きている高校生という描写が、その後の犯罪者となった事実を際立たせ、罪にさいなまれる様が克明に映し出される。当初、人を殺してしまったという罪をつぐなおうとはしないトビオら。そこに彼らの滑稽さと愚かさが同居して、その醜悪さを見事に表現している。些細な行為によって、これからも続くはずだったゆるい日常は地獄のようなありさまへと一変する。やがてトビオらの罪が明らかになり、逃亡劇が始まっていく。トビオらの非日常がどのように終わりを迎えるのか。ぜひ物語の終わりまで読み進めてほしい作品だ。


『罪と罰』

『罪と罰』

出典:双葉社

引きこもりの大学生が、売春を強要される女子高生と出会ったことで犯罪に手を染め、苦悩するサスペンス漫画。主人公・裁弥勒(たちみろく)はいじめで売春を強要される女子高生・島津里沙と出会い、義憤により、売春を強要する女子高生・馬場光を殺める「計画」を立てる。殺人により自らの未来を奪い取るとの思考のもと、その計画は実行される。ロシアの小説家・ドストエフスキーの同名小説を原案とし、舞台は現代の日本となっている。2012年に実写ドラマ化。

本作は、悪に手を染めた人物を主人公とするいわゆるピカレスク(悪人)ロマンに属する作品である。手塚治虫の手によるものをはじめ、本作の原案小説「罪と罰」をモチーフとした作品は多々あれど、舞台設定をはじめ本作は特に際立って「悪」をこれでもかと鮮烈に描いている。原案と同様に、自らの歪んだ思想により殺人を犯す主人公だが、やがて罪の意識に責めさいなまれる。『黒い羊は迷わない』など骨太な社会派作品を描いている作者にとって、この原案はうってつけの題材だっただろう。見事に社会の闇を描き切っている。古典作の舞台を現代に置き換え、巧みによみがえらせた本作。原案の読者のみならず、初めて「罪と罰」に触れる読者にもオススメできる、手に汗握る極上のサスペンスである。


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