【罪と罰】死刑を扱った漫画43 Pt.

問題を正面から捕えたものからエンターテインメントまで、死刑に関連した作品を紹介

作成日時:2018-08-24 10:00 執筆者:マンガペディア公式

【罪と罰】死刑を扱った漫画

出典:小学館

2018年7月、松本智津夫元死刑囚を始めとする、所謂オウム事件に関わる13人死刑囚たち全員の刑が執行された。日本国憲法下で、ひとつの事件でこれほど多くの人間が死刑となったのは初めてのことだ。死刑について色々と考えた人も多いことだろう。そこで今回は、死刑や罪と罰に大きく関わる作品を紹介しよう。


『モリのアサガオ 新人刑務官と或る死刑囚の物語』

出典:双葉社

死刑囚舎房の処遇部に配属された新人刑務官を主人公に、刑務官と死刑囚、被害者家族などの複雑な人間模様を描いた異色のヒューマンドラマ。平成19年度文化庁メディア芸術祭マンガ部門大賞受賞作。2010年、テレビ東京で実写ドラマシリーズが放送された。

物語の主人公・及川直樹は、なにわ拘置所の死刑囚舎房に配属された新人刑務官。父が元拘置所長のキャリア組で、コネ入所ということもあり、それをやっかむ刑務官もいる。臆病で心優しい青年の直樹は、個性的な死刑囚たちに戸惑いながらも、仕事をこなしていく。そんな彼はある日、渡瀬満が拘置所に送られたことを知る。父を殺した殺人犯を仇討ちで殺害。「復讐鬼」の異名で世間を騒がせた人物である。面識こそないものの、直樹は渡瀬を小学生時代から知っており、彼に密かな憧れを抱いていた。やがて二人は、刑務官と死刑囚という立場で顔を合わせることとなる。綿密な取材を重ねて描かれた、リアルな拘置所の風景。そこで展開される重厚なドラマは、正に必見だ。


10年前に起った「東京大震災」によって長野に疎開した五十嵐丸太は、平穏な中学生活を送っていた。ところが、彼のクラスは謎の赤マントによって襲撃され、クラスメイトは全員死亡。唯一生き残った彼は、この大量殺戮の犯人として死刑を宣告され、民営刑務所「デッドマン・ワンダーランド」に収監されてしまう。2011年4月にテレビアニメ化。

本作の舞台となる「デッドマン・ワンダーランド」は、架空の民営刑務所。現実社会でも民営刑務所は存在しており、米国では1980年代から運営が行われている。しかし、コストの高騰、それに伴う収益優先の強引な運営などの問題が頻出。2016年8月18日、米司法省は民間刑務所を段階的に閉鎖すると発表している。本作の民営刑務所は、そんな収益優先の姿勢が過激すぎるレベルにまで進行した場所だ。なんと刑務所そのものを、テーマパークとして観光地化したのだ。そこでアトラクションとして行われるのは、死刑囚たちが命を賭けてつぶし合う、文字通りのデスゲーム。そんなイカレた刑務所に、無実の罪で放り込まれた主人公は、過酷なサバイバルを余儀なくされることとなる。


物語の主人公・田嶋良平は、立件されただけでも7人を殺害した凶悪犯。死刑囚042号として、拘束状態で独房に収監されていた彼に、ある日突然社会復帰の道が開かれる。その条件は、脳内にチップを埋め込んで社会奉仕を行うこと。反社会的な行動を取れば、チップが爆発する仕組みである。条件を受け入れた田嶋良平は、高校の用務員として新たな人生を歩んでいく。

刑務所の運営費の多くは税金によって賄われている。そのため、犯罪者を我々の血税で養うのか、という不満を口にする人も少なからず存在する。また、死刑制度の是非や、遺族を含めた被害者のケアなど、議論の種は尽きない。本作は、死刑制度を廃止する代案として、死刑に相当する犯罪者の脳内にチップを埋め死ぬまで国民に奉仕させるという新たな制度が発案された、という設定。その社会実験の第一号として、主人公が選ばれたわけだ。もっとも、死刑に反対している人権活動家などにとっては、この新たな制度の方が、より受け入れられないものと感じられるかも知れない。色々な意味で考えさせられる内容の作品だ。

物語の舞台は、人間の心理や性格を計測し、数値化が可能となった未来世界。犯罪に関する数値は「犯罪係数」として計測され、この数値が一定以上に達した者は、罪を犯さなくとも「潜在犯」として裁かれる。この管理社会の中核をなす「公安局」の活動を描いたSF作品。2012年10月にテレビアニメ放送の『PSYCHO-PASS』をベースにしたコミカライズ作品だ。

罪を犯した者を逮捕するだけでなく、犯罪を起こす傾向の強い人間を判定して拘束。更正施設に送ることで、犯罪の発生そのものを防ぐ。思想は解らなくはないが、運営側のさじ加減でどうとでもなるのでは、恐怖政治そのもの。本作では、この判定を規格外の処理能力を持つ「ネビュラシステム」に委ね、中立性を確保することで、安定した社会を実現している。治安維持を担う公安局の監視官は、このシステムとリンクした武器「ドミネーター」を携行。対象に銃口を向けることで、瞬時に犯罪係数をを測定。ドミネーターは係数に応じて、ロック、マヒ、殺傷の形態に変化する。つまり相手によっては、即死刑執行となるわけだ。だが、人間の作ったシステムに完璧などありえない。やがて公安局の面々は、このシステムの穴が生みだす問題に直面していくこととなる。


『死刑囚捜査官 芥川介の事件簿』

出典:小学館

物語の主人公・芥川介は、15人もの人間を惨殺した事件の犯人として収監されている死刑囚。だが彼は、そのずば抜け頭脳を活かし、警察上層部とある契約を結んでいる。それは事件を解決するごとに、刑の進行期日を延期するというもの。刑は、事件を一件解決するごとに、10日間延期される。自らの命を繋ぐため、芥川は日々難事件に挑んでいく。

前出の『監視官 常守朱』においても、監視官の配下で「猟犬」として働く「執行官」と呼ばれる「潜在犯」が登場する。だが、「執行官」たちと本作の主人公・芥川介との間には、大きな違いがひとつある。それは芥川が、自らを無実の罪で収監された冤罪被害者であると主張している点だ。そのため彼は、警察からの依頼で事件を解決する傍ら、自分をハメて罪を着せた真犯人を探しているのだ。死刑を語る際に避けて通れないのが、この冤罪の可能性だ。冤罪は懲役刑でも大事だが、死刑は執行してしまえばもはや取り返しがつかない。そのリスクをどう受け止めるかは、かなりの難問だ。


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