島崎三歩と長野県警山岳遭難救助隊の面々の活躍を描いた冒険漫画。三歩は世界各地の山を渡り歩いてきた山岳救助のベテラン。彼と山岳救助隊の仲間たちは、日々その技術と情熱で遭難者の救助に励む。2011年に実写映画化。
本作の冒険の舞台は「山」だ。主人公の三歩は山岳遭難防止対策協会のボランティア救助隊員で、普段から北アルプスの山中で暮らしている生粋の山男。山を愛する彼は、世界各地の高峰を登頂した経歴を持ち、また行く先々で遭難者の救助に活躍している。彼は例え遭難者が遺体となって見つかっても、「よく頑張った」とねぎらい、責めようとはしない。そんな彼の指導を受けて、同じ協会の新人・椎名をはじめとした仲間たちもまた成長していく。作中、主な舞台になるのは長野県の北アルプスの山々。風光明媚な山々が美しい筆致で描かれる一方で、自然環境としての山の荒々しい厳しさもしっかりと描かれている。
大学講師であり探偵であり、元イギリス軍人でもある平賀=キートン・太一が、主に保険会社の調査員として依頼を受け、世界各地を渡り歩く冒険漫画。冷戦終結後、急速に変わっていく当時の世界情勢と、考古学についての確かな知識が描かれている。1998年にアニメ化。
主人公の平賀=キートン・太一は大学の非常勤講師をしている傍ら、保険組合の調査員、つまり探偵をしている。イギリス軍の特殊部隊に所属していたこともあり、考古学の優れた知識とサバイバル技能などを見込まれて、調査の依頼を受けては世界各地を飛び回ることになる。彼の行く先は、地中海のマルタ島から中央アジアのタクラマカン砂漠までさまざまだ。太一はそのサバイバル能力で時に命の危険すら伴う環境を冒険し、依頼を解決に導いていく。各地の遺跡や考古学的な遺物と知識が詳細に描かれているのはもちろんだが、各国の郷土料理を美味しそうに太一が食べるシーンも見どころだ。
2018年に放映された同名アニメのコミカライズ作品。4人の女子高生たちが、南極に行く目標を達成するために奮闘する冒険漫画。主人公・玉木マリはひょんなことから同じ高校の報瀬(しらせ)と意気投合し、「南極に行く」という彼女の目標を達成するために奮闘していく。
「女子高生が南極を目指す」という、無茶で壮大な冒険物語。だが本作はそういった無茶な部分を物語上の都合で省略するのではなく、しっかりと展開に説得力を持たせつつ、現実と向き合いながら成長していく少女たちの姿を描いている。主人公の玉木たちは南極に行くための手段の模索や交渉、冒険に備えての訓練などの下準備を丁寧に行っていく。そのためだんだんと登場人物だけでなく、読者まで本気で「これから南極に行く」という気持ちになっていく。冒険に向かう前の、確かな胸の高鳴りを感じることができる作品だ。タイトルの「宇宙よりも遠い」という言葉は、日本人初の宇宙飛行士・毛利衛氏が南極の昭和基地を訪ねた際に話したコメントに由来している。
性格の全く異なる兄弟が、「宇宙に行くという夢」を叶えていく冒険漫画。幼い頃、南波六太と弟の日々人は一緒に宇宙飛行士になることを誓った。やがて大人になり、弟の日々人は夢を叶え宇宙飛行士となっていたが、六太は勤めていた会社を退職し無職に。そんな六太は日々人のはからいで、宇宙飛行士選抜の試験に挑むことになる。2012年にテレビアニメ化、実写映画化。
本作が冒険する舞台は「宇宙」。無難な人生を歩む兄と夢に向かって邁進する弟が、共に宇宙を目指していく物語だ。兄の六太は、ヒーロー気質の弟へのコンプレックスから自己評価は低いが、仲間思いで実力もある。一方弟の日々人は、前向きな性格と決して諦めない意志の強さを持ちすでに宇宙飛行士となっている。そんなふたりを中心とした仲間たちが、宇宙開発に伴うさまざまなトラブルや葛藤を手を取り合って乗り越えていくストーリーが展開される。憧れだけではなく、宇宙という舞台が持つ過酷さも克明に描く作品だ。
アメリカの作家ハーマン・メルヴィルが描いた傑作小説「白鯨」をコミカライズした冒険作品。捕鯨が広く行われていた19世紀後半、船を襲う巨大な「白鯨」が出現。行く宛のない船乗りの少年・イシュメルは、白鯨に復讐を誓うエイハブ船長の船に乗ることに。荒れ狂う海で、鯨と人間の壮絶な戦いが描かれる。
本作が冒険する舞台は、海だ。19世紀後半、石油はまだ本格的な実用化に至ってはおらず、主に油として使われていたのは鯨油、つまり鯨から採取するものだった。乱獲は欧米を中心として世界中で行われており、鯨の数は激減。そんな中、山のような巨体と裂けた尾を持つ白い鯨、「モービィ・ディック」が出現し捕鯨船を襲っていた。主人公の少年・イシュメルは、かつて自分の船と片足を白鯨に奪われたエイハブ船長に雇われ、捕鯨船に乗り込むことになる。狂気に駆り立てられるように、自然の怒りが具現化したような白鯨と戦うエイハブたちは、荒れ狂う自然に挑むちっぽけな人間の姿そのものだ。