ホームコメディの名手「星里もちる」特集！オススメ漫画５選32 Pt.

狭いアパート暮らしに嫌気がさしていた雷蔵は、借金をして広いアパートに引っ越すことにした。同じ頃、雷蔵の勤める会社も移転を予定していたのだが、地震のせいで移転先であったビルが傾き、急遽行き場を失った会社の荷物は雷蔵の新居に運ばれることになる。さらに、新入社員の少女・一角が入居する予定だったアパートが老朽化のため取り壊されることになり、雷蔵は彼女も自宅で引き取ることに。夢見た理想の居場所がどんどん遠ざかっていく現実に、雷蔵は戸惑う。そして一角は一角で、自身の居場所を求め苦しんでいた。雷蔵と一角は理想の居場所を見つけることができるのか。また、雷蔵と一角の関係はどうなるのか。バブル期の住宅事情を知りながらラブコメが楽しめる作品だ。

いつの頃からか、大地はネームと少しの下描き程度の仕事をこなすと、行方をくらませるようになった。自分がいなくても娘たちが原稿を仕上げてくれることを知っていたからだ。父の漫画が掲載されなければ、歩未たちは生活できない。そのため姉妹は嫌々ながら、原稿を落とすことがないよう父の代わりに漫画を描き、出版社に渡していた。歩未が作画を担当し、空はデジタルでベタ塗りやトーン貼りなど仕上げの作業を担当。漫画が姉妹の手によって描かれていることを知っているのはアシスタントのみで、大地の担当をしている編集者すらその事実を知らない。歩未は空とともに何とかして父に原稿を描かせようと奮闘。しかし父は何度も逃亡を繰り返す。終わらない親子の攻防の行方に注目しよう。

家族を幸せにするため、仕事に精を出す晴夫。おかげで仕事ではそれなりの評価をされており、同僚たちからも慕われ、部下の女性からは好意すら抱かれていたが、結果的に家族との関係は上手くいかなくなってしまった。そんな彼の前に現れた見知らぬ少女の霊。彼女は20年前に活躍していたアイドル・夢野すみれだった。実は、かつて晴夫は彼女の大ファンだったのだが、ある事情からその記憶を失ってしまっている。忘れてしまったが過去には晴夫の夢であり幸せであったすみれが、晴夫を「ハッピーにしてあげる」と宣言するのだが、大人になった現在の晴夫にとっての幸せとは何なのか。家族との関係、自分に好意を寄せる部下との関係、すみれとの関係を通して晴夫が真の幸福を探っていく。

辻が出会った浮世は、行く先々で問題を巻き起こすトラブル体質の女性。彼女には、自分の都合が悪くなると適当な嘘を吐いて逃れようとする悪癖があった。辻は踏切で彼女の車が立ち往生している場面を目撃し助けに入ったことをきっかけに、彼女の起こしたトラブルに次々と巻き込まれていく。浮世が問題に向き合わず嘘を重ねて逃げ続けるため、事態は物語が進むごとにどんどん深刻になっていく。それでも辻が巻き込まれた負の連鎖から逃げられないのは、浮世自身に憎みきれない不思議な魅力があるからだ。魔性の女と出逢い関わってしまった辻の行く末はどうなるのか。登場人物たちを通して描かれる人間のマイナス面に強烈に惹きつけられる作品だ。

住んでいる一軒家を早く売り払いたいと思っている福田。しかし近くに高架鉄道が通っているため、なかなか買い手は現れない。不動産会社から連絡があり、ようやく買い手がついたかと思いきや、やってきたのは怪獣映画「ガルル対メカガルシャ」の撮影をしている映画監督で、家を買い取りたいのではなく家のミニチュアを製作して壊したいのだと言う。その後も現れるのは家を買ってくれる人ではなく、怪獣が好きすぎて怪獣が壊す家に住みたいという小雨と、怪獣映画に出演するため役作りとして家に住みたいという由希の美女2人。福田は彼女たちと同居することになり、同じ空間で過ごすことで、3人の関係は複雑に変化。やがて福田の抱える重たい過去や、それぞれが抱える問題が明らかになっていく。