社長令嬢が、亡き父の無念を晴らすため、キャバクラの女帝になることを目指す復讐劇。女子高生・柊舞(ひいらぎまい)は、母を早くに亡くし、キャバクラチェーン店を経営する父と暮らしていた。彼女は、バレエのプリマドンナになる夢を持っていた。しかし、父の会社がIT企業社長・溝江則章(みぞえのりあき)に買収され、父も脳溢血で死亡してしまう。溝江への復讐を決意した舞は、父の遺志を継ぐべく夜の女帝の座を目指す。2011年にオリジナルDVD化。
主人公の舞は、クラシックバレエを10年間習い続けてきた一方で、ヒップホップチーム「ディーヴァ」のメンバーとしてストリートでも活動していた。父からは、世界的なバレエダンサーになることを期待されていたが、バレエの本場はヨーロッパ。自分が留学をすると父が1人になってしまうため、踏み出せずにいた。しかし、それほど大切に想っていた父は、会社の乗っ取りに遭い憤死。買収相手の溝江へ復讐することを誓った彼女は、まず、キャバクラで歌やダンスを披露するショーガールになる。バレエで鍛えられたしなやかな身体と、天性の華やかさを持つ舞は、まさしく舞姫。女性同士の嫉妬や、憎悪渦巻くドロドロとした空気にもめげず、得意のダンスでのし上がっていく。夜の世界で、復讐という茨の道を歩んでいてもなお、彼女が踊り続ける姿はどこか清廉で美しい。
クラゲオタク女子と美しき女装男子が繰り広げるシュールなラブコメディ。倉下月海(くらしたつきみ)は、イラストレーターを目指し鹿児島から上京してきた。彼女の住んでいるアパートは女子限定で、しかも趣味に没頭している者ばかり。しかし、アパートの取り壊しの危機が迫り、月海がデザインした服を売った収益で、天水館の買い取りを目指すことになる。2010年10〜12月にアニメ化。2014年12月に実写映画化され、2018年1〜3月まではテレビドラマが放送された。
主人公は、クラゲオタの月海。趣味に没頭しすぎるあまり、オシャレとは縁遠い生活を送っていた。その他の「天水館」の入居者たちも同様で、「男を必要としない人生」をモットーとし、自らを「尼〜ず」と呼ぶ。そんな彼女たちが、ひょんなことからアパートを出入りするようになった女装男子・鯉淵蔵之介の発案により、ファッションブランドを立ち上げることに。服のデザインを担当するのは月海だ。ファッションには無縁だったが、大好きなクラゲをヒントに、今までにない斬新な洋服をデザインしていく。ファッションショーで、「クラゲのドレス」を身にまとったのは「尼〜ず」の面々。日頃のオタク姿とは正反対な洗練された雰囲気を披露し、ドレスは大きな注目を集める。その後はファッション界で奮闘していくが、オシャレに対する苦手意識までは変わらない、月海たちのこじれっぷりが残念である一方、安心させてもくれる。
芸能界を舞台に、主人公・殿山千歳の仕事と恋、友情を描くお仕事ラブストーリー。殿山は、勤務歴12年の芸能事務所マネージャー。出世欲が強く、「会社をもっと大きくしたい」との思いを胸に熱心に仕事に取り組んでいる。結婚間近の彼氏と式場を見に行くなどプライベートも順調だった。しかし、同期の姫木鍾也が統括チーフに抜擢されたことで、出世争いに陰りが。さらに、彼氏を妹に取られてしまうという事態まで発生。傷心の殿山を姫木が慰める一方で、入社2年目の新人マネージャー・ジョージ王子がアプローチしてくる。
タイトルが示しているのは、殿山、姫木、王子の3人。紅一点の殿山だが、「姫」ではないところがポイントだ。たしかに、バリバリと仕事をこなし、同僚の姫木や王子に軽口をたたき、彼氏を寝取った妹を怒鳴りつける彼女は、男勝りで姫らしくはない。自身も整った容姿をしているが、担当しているタレントたちを芸能界に売り込み、輝かせる裏方の仕事に生きがいを感じている。フィアンセに裏切られても、出世が遅れても、自分の道を突き進む殿山は、現代らしい姫の姿と言えるのかもしれない。彼女の飾らない人柄や日頃の奮闘ぶりを、間近で見守り続けてきたからこそ、姫木と王子も惹かれるのだろう。彼らの恋の行方や仕事ぶりを最後まで見届けてほしい。
幼少期の記憶がない少女が、自身の出自にまつわる秘密を知り、陰謀と対峙していく近未来SF漫画。日本最古の物語とされる「竹取物語」がベースになっている。主人公・岡田晶(あきら)は、中性的な容姿の少女。赤ん坊の時に、竹林に埋められていたところを発見されたが、5歳までの記憶を持っていない。ある日、彼女の過去を知る幼馴染だと名乗る、由(ゆい)・リンドロスと松沢碧(みどり)という2人の少年に拉致される。3人は、かつて預けられていた施設のあった神淵島で行われる、危険なキャンプに参加することになる。
晶は、雑誌の美少年フォトコンテストで準グランプリを受賞するなど、姫というよりは王子と呼ぶにふさわしい中性的な美貌で、異性よりも同性からモテる。ミステリアスな存在で、人当たりは悪くないのに本心を見せないせいか、どこか近寄りがたい雰囲気すら漂わせている。由や碧もまた、彼女に似た美しい容貌だ。本作のベースとなっている「竹取物語」は、竹から生まれた少女が絶世の美女となり、数多の男に言い寄られるも袖にし、やがて月に帰っていくというストーリー。人を惑わすほどの過ぎたる美が人心を惑わすとは、まさに晶たちを彷彿とさせる。物語は、彼らの出生の秘密に迫ると共に、人類に滅亡をもたらす病原体やクローン人間が登場するなど、壮大なスケールで展開されていく。
強い未練によって動く死体「屍(しかばね)」を狩る少女たちのリビングデッドガンアクション。未練と妄執によって動き、人を襲い殺す屍。彼らを狩る役目を負っているのが、屍と同じく、この世に想いを残しながら死んだ少女たちからなる「屍姫」だ。光言宗の術法により屍姫となった星村眞姫那(ほしむらまきな)と仲間たちの戦いが描かれる。2008年に「屍姫 赫」、2009年に「屍姫 玄」というタイトルでテレビアニメが放送された。
屍姫は、屍と戦う存在だ。架空の真言密教の一派・光言宗の開祖が、亡くなった娘のために編み出した術により生み出されるもので、主に少女たちが対象となる。屍は、強い未練や妄執によって生み出される存在だが、それは、屍姫たちも同じこと。ヒロインの眞姫那は、過去に自分や家族を殺した屍に対する復讐心によって、屍姫としてこの世蘇る。強い瞳が印象的で、制服姿のまま、主に銃を使って戦う。狩る対象である屍は、異常なほどの再生能力を持っているため容易には死なない。そのため、彼女も、傷を負い、大きなダメージを受けながら戦い続ける。屍への攻撃には容赦はないが、同じ年頃の少女には優しくするなど、少女らしい気遣いも見せる。屍姫は一種の武器と言えるが、苛烈な環境に身を置きながらも、少女らしさを忘れてはいない姿に胸が苦しくなる。