綾瀬千早と真島太一は同じ東京の小学校に通う幼馴染。ある日、福井から綿谷新という男の子が転校して来た。クラスに馴染めず一人でいる事の多い転校生の新。ある日、ちょっとした事で新が太一にいじめられそうになっている所を助けた千早は、そのまま新の家へと招かれる。
初めてじっくりと新と会話をした千早。「自分の一つ上のお姉ちゃんがミスコンテストで日本一になる事が自分の夢」と話す千早に対して新は、「ほんなのは夢とは言わんよ。自分のことでないと夢にしたらあかん。」と否定する。意外な新の言葉に怒る千早。新に夢はあるのかと問う千早に対して“かるた”が自分の夢であると語る新。千早は誘われるがまま、かるた取りにつき合わされる。ものすごい速さで行われる新のかるた取りに驚く千早。新とのかるた取りは彼女が考えるようなものとはかけ離れたものだったのだ。
「かるたで名人になるのがおれの夢や」
新は言う。“かるた”で日本一になるという事。それは世界一になる事なんだと。新との運命の出会い。これが千早、そして太一の“競技かるた”を中心とした青春へと繋がっていく事になるのだった。
“百人一首”、“かるた取り”と言ったら、誰もが一度くらいは遊んだことがあるかもしれない。読み上げ札を読み、それに該当する札を取るという古くからある遊びだ。読まれた札を取るという単純なルールなのだが、そこには深く、アツい駆け引きがある。
かるたに早く手を触れればいい。ただそれだけなのだが、それを行う為に様々な技が存在する。『ちはやふる』を読むまで、こんなに高度な戦いが行われているとは思いもしなかった。
一見文系に見えるかるた取りだ、その実、完全にスポーツなのだ。一瞬の音を聞き分け、札を取りに行く極度なまでの集中力。そして、それを持続するための基礎体力。当然札を覚えるだけではなく、ランニングなどの体力トレーニングも行う。アタマもカラダも使う“競技かるた”の世界。強くなるためには様々な練習が行われている。
最新31巻では、ついに千早と新の取組が行われる。様々な過去を経てたどり着いた一局。はたしてどのような結果になるのだろうか。
小中高生の間にも“競技かるたブーム”を広めるという程影響を与えた『ちはやふる』。漫画にアニメ、映画化と、ブームは更に加速していく。
読むだけでなく、かるたを取ってみたい! と思えるような作品だ。まだ読んだことのない人はぜひ、読んでみて欲しい。