『ヒカルの碁』、勝負師たちのことば2136 Pt.

連載開始から17年、今なお高い支持を得続けている少年漫画、『ヒカルの碁』。
当時子どもたちには馴染みの薄かった囲碁を題材とし、世間に一大囲碁ブームを巻き起こした。
実際に、現在囲碁のプロ棋士になった若い世代には、ヒカルの碁に影響されて碁を始めプロになったという棋士も多数存在する。

ここではヒカルの碁に登場する棋士たちのことばをご紹介する。
勝負の世界に生きる男たちの声は、きっと私たちにも響くだろう。

作成日時:2016-05-13 12:00 執筆者:マンガペディア公式

『ヒカルの碁』とは

作中にみる勝負師たちのことば

・「囲碁が強い才能か?それがおまえにあるかどうか私にはわからんが…そんな才能なくってもおまえはもっとすごい才能をふたつ持っている。ひとつは誰よりも努力を惜しまない才能、もうひとつは限りなく囲碁を愛する才能だ」

作中最強の棋士、塔矢行洋名人が、後に棋士となる幼き日の息子の塔矢アキラに向かっていったことば。
将棋棋士の羽生善治名人は、「才能とはなにか」と問われた際、「才能とは情熱や努力を継続していく力」と答えている。
塔矢名人と羽生名人、全く同じことをいっているわけだ。
もちろん、努力をいくら続けても情熱をいくら持ち続けても、誰しもがプロ棋士になれるわけではないし、プロ棋士の中でも全員が名人になれるわけではない。

囲碁や将棋は独創の世界ですので、結果として敵わない相手がいるというのは厳然たる事実として存在する。
しかし、だからといって努力や情熱が無駄かというと、当然そんなことはない。
最高峰の名人が言うからこそ、響くことばである。

・「碁は2人で打つものなんじゃよ。碁は1人では打てんのじゃ。2人いるんじゃよ。1人の天才だけでは名局は生まれんのじゃ。等しく才たけた者が2人要るんじゃよ、2人。2人揃ってはじめて…神の一手に一歩近付く」

瓢々とした策士家、桑原本因坊のことば。
ヒカルやアキラの将来を見据えて放った、なんとも含蓄に溢れることばである。
囲碁には棋譜というログのようなものが残る。
棋譜とは両対局者がどういった手順で石を打っていったかを記録するもので、棋譜さえあれば100年、200年前の碁を再現することだって可能なのだ。

棋士たちはみな、勝ち負けはもちろん、100年後にも残る美しい棋譜をつくることを目標に碁を打つという。
この美しい棋譜というのは、当然一人ではできない。
自分を高めてくれる最高の相手があって、はじめてできるものなのだ。
いざという時、相手のミスを祈るのか、相手の最善手に武者振るいをするのか、そこで勝負師としての資質、人としての器が問われるのである。


真剣勝負の世界だからこそ生まれる名言、改めて『ヒカルの碁』を読み返してみたくなったのではないだろうか。

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