「ぼっち」を満喫する主人公・湯神裕二と、内気な性格が災いしてクラスに馴染めない転校生・綿貫ちひろの高校生活を描いた青春コメディ漫画。湯神裕二は、「俺は友達を必要としない」と断言する偏屈な変わり者だ。たまたま隣の席になった綿貫は、そんな湯神の言動が引き起こす、人騒がせなトラブルに巻き込まれていく。
本作の「ぼっち」キャラは、「友達は必要ない」と言い放つ主人公・湯神裕二だ。上星高校に通う高校2年生の湯神は、野球部のエースでありながら、空気を読まない言動から変人と噂される人物。友達ができないことに悩む転校生の綿貫ちひろに対しては、「転校して時間が経ったあなたに価値はない」と真顔で暴言をぶつける始末。しかし、湯神に悪気はなく、ヘンテコながらも優しい言葉を投げかけることもある。そんな湯神に影響され、次第に綿貫も自分なりに高校生活を楽しむすべを見つけていく。「ぼっち」は自分を貫く個性でもある。そんなことを教えてくれる作品だ。
平阪読の同名ライトノベルを原作にしたコミカライズ。聖クロニカ学園を舞台に、「隣人部」の日常を描いた青春ラブコメ漫画だ。転校して1ヶ月が経っても友達が出来ない主人公・羽瀬川小鷹と、「エア友達」しか話し相手がいない三日月夜空。2人は、本当の友達作りを目指して隣人部を創設する。友だちのいない少年少女たちの複雑なひどく込み入った青春の幕が上がる。2011年にテレビアニメ化。
本作には、友達のいない「ぼっち」キャラが多数登場する。主人公・羽瀬川小鷹は、母親譲りの金髪が原因でヤンキーだと誤解され、友達が出来ない高校2年生。ある日、「エア友達」と談笑する女生徒・三日月夜空の姿を目撃した小鷹は、彼女と一緒に「隣人部」を創設する。ところが、容姿端麗のお嬢様であるために同性から嫌われる柏崎星奈、自分を男性だと思い込む楠幸村、理科室に引きこもる天才科学者の志熊理科など、友達のいない女生徒が次々と入部し、一転して隣人部は小鷹のハーレム状態に。友情と恋愛が複雑に絡まり合う状況で、彼らは悪戦苦闘する羽目になるのだった。「ぼっち」を通じて、人と人が関わる難しさが描かれる青春漫画だ。
イケメン男子高校生2人組の日常を、コミカルに描いた少女漫画。金髪でヤンキーの阿古島真人と、生真面目な秀才肌の五百川諒。見た目は正反対の2人だが、友達がいないところは似た者同士だ。同じクラスのはみ出し者として不本意ながらも付き合う2人の、煩悩全開な高校生活が描かれる。
本作の「ぼっち」キャラは、イケメン高校生の阿古島真人と五百川諒。ただし、彼らは残念なイケメンである。金髪でヤンキーの阿古島真人は、教室の中でも堂々とグラビアを広げて見入るほどの巨乳好きで、クラスメイトの女子には毛嫌いされている。一方で、黒髪の貴公子といった風体の五百川諒は、法に触れない監禁方法を真剣に考える幼女好きのヤンデレだ。相手の趣味が理解できずに突っ込みを入れ合う2人のやり取りは、バカバカしくとても可笑しい。性に目覚めた残念なイケメン「ぼっち」たちによる、おバカな青春グラフィティだ。
モテない女子の高校生活を描いた日常ギャグ漫画。主人公・黒木智子は、自意識過剰でコミュ障の高校1年生だ。高校デビューに期待を寄せるが、クラスメイトと一切会話を交わさないまま2ヶ月が経過。焦る黒木だったが、状況を変えようと努力するほど、手痛い失敗を繰り返し、「ぼっち」の苦悩は深まっていく。2013年にテレビアニメ化。
「ぼっち」キャラを描いた漫画と言えど、友達に近い存在が登場することは極めて多い。ところが、本作の主人公・黒木智子は、本当に「ぼっち」なスクールライフを送っている。極度のコミュ障で、クラスメイトと挨拶すら交わすことの出来ない黒木。彼女は、リア充達の会話に聞き耳を立てつつ、心の中ではテロリストに学校が占拠される等、ドス黒い妄想にふけっている。時折会話をするチャンスがあっても、あらぬことを口走り自爆する。とにかく奇行に走りがちな彼女のぼっちライフの行く末を、生暖かく見守ってほしい。
10代の少年少女を中心に、ざわつく心の不安を捉えたオムニバス短編集。描かれるジャンルは、コメディ、ホラー、ミステリー、ラブロマンスと多岐にわたる。些細な日常のドラマを始め、ちょっとした負の感情が極端に肥大化し、一線を超えた異常な行動に駆り立てられるシチュエーションも、数多く登場する。
人は誰でも、心の片隅に「ぼっち」の不安を抱えている。そんなことを思わせるオムニバス短編集が本作だ。作中には、友達が大好き過ぎるために「大嫌い」と連呼して嘔吐する女子高生、想いを寄せる男子が好き過ぎて、自分を彼の幼馴染だと思いこむ女子高生、高校を退学して自分探しに邁進するなかで、魔法少女になることを決意する女の子など、妄想の境界線を超えてしまった人々が多数登場する。しかし、彼女たちは単なる狂人ではない。異常にも思える欲望や感情を、日常の延長線上にあるものとして描いているからだ。多彩な角度から「ぼっち」の心に光を当てた作品である。