謎の宇宙人とその息子とされる少年が、女性と自分たちだけの理想国家を建設するために、ナンパ活動に勤しんでいく不条理ギャグ漫画。ある日、空あたりからやってきたものの、墜落してしまったキャプテン・フォン・ファーザーは、15歳の少年と出会い、一緒に暮らすことになる。一部の記憶を失っていた少年に、オンナスキーと名前を付けたファーザーは、自分たちの理想国家・神聖モテモテ王国を築くため、今日も女性のナンパに勤しむのだった。ある日、反発したオンナスキーに、ファーザーはモテテクニック満載の本を手渡すのだった。
女性と自分たちのみが住むという理想国家、それが神聖モテモテ王国である。ちなみにファーザーは女性のことを、ナオンと呼んでいる。ナオンと自分たちだけの理想郷、「蜜あふるる約束の地」とは、一般的にはハーレムと称するのだろう。王国を作ると言うぐらいだから、ハーレムのひとつやふたつ、簡単に作れそうなものだが、地球外からやってきたらしいファーザーの現在の住まいはアパートである。明らかにお金がない。しかも、ファーザーは変な恰好をしたおじさんで、オンナスキーは坊主頭の眼鏡少年かつ、女性の前では口下手である。女性にモテる要素は一切ないのだが、果敢に「国民」獲得に挑んでいく。要はナンパだ。オンナスキーはモテたい願望は強いが、ノウハウがない。ファーザーはモテについて持論があるようだが、地球女性にはどうも受け入れられていない様子である。奇行と空回りっぷりに笑ってしまうが、懲りずに挑戦し続ける姿勢には脱帽する。動機が不純なので素直に称賛できないところが残念な父子である。
モテたいがために軽音部を立ち上げ、バンド活動を開始した男子高校生の、ゆるふわな日常を描く学園ショートコメディ。大和田伊織は、家から近いという理由で男子校へ進学した。彼は女子と少し話すだけでも緊張する始末。高校2年生になり、仲間たちとモテたいなと語り合っていたところ、伊織の発案でバンドを結成することになった。それぞれ楽器は多少できるので演奏には困らないが、肝心のボーカルが決まらない。ボーカルは目立つポジションでモテるが、皆遠慮しがちになっていた。何も決まらないまま、軽音部の日常は過ぎていく。
「バンドをやればモテるのではないか」。日本全国の男子が一度は考えることではないだろうか。バンドをやっている=カッコいいという図式があるせいか、バンドは他の音楽ジャンルよりもモテるという印象はある。そのため、伊織たちがモテたいのがためにバンドやろうぜ! と発想するのは、あながち間違いではないのだ。ただ、活動頻度の問題はある。モテたいという気持ちはあるものの、優柔不断のせいか伊織たちは緩く楽しい男子校ライフに落ち着いてしまっている。バンドはどうした、というくらい普通の日常だ。彼らは本音を言えば、バンド活動という労力を使わず、不特定多数の女性にモテるというのが理想なのだろう。伊織は女子からカッコいいと思われるほどのイケメンであるが、女子慣れしていないせいでモテチャンスを逃している。バンド活動よりコミュ力を鍛えたほうがよいのでは、とも思うのだが、バンド活動は青春の象徴。ぜひ理想のモテライフを、演奏でつかみ取ってほしいものだ。
女子にモテるために異世界からやってきた王子が、現実世界でモテるために騒動を巻き起こす学園ギャグマンガ。誰もが恐れる不良少年、阿久津宏海(あくつこうみ)は、停学が明けて登校したところ、告白現場に遭遇する。土下座もいとわない捨て身な男の告白の姿勢にドン引きだった阿久津だったが、その男が転入生の百手太臓(ももてたいぞう)であることを知る。女子にモテようと騒ぎすぎな太臓を注意した阿久津は、屋上に呼び出された。そこで、太臓と常に一緒にいる安骸寺悠(あんがいじゆう)が、現実と幻想の狭間にある世界「間界(まかい)」から、意外な目的のためにやってきたことを知る。
太臓はモテない。やたらと大きいおにぎり形の頭部で、明らかに二頭身。容姿的にはマスコットキャラクター的印象である。これで性格が良ければ一定数の需要はありそうだが、太臓は、自分の意思を優先しがちな傾向がある間界の住人の中でも、輪をかけて自己中心的な性格をしている。下ネタは平気で口にするし、発言の大半はセクハラに抵触、デリカシーもないので、正直モテる要素が一切ない。間界女子アンケート結果も惨憺たるものだ。しかし、本人は女子にモテたくて仕方がなく、間界では話にならないと、現実世界にやってきたのだ。そのバイタリティには感服するが、どうも熱意だけが迸っていて成果は全くない様子である。出会って秒で土下座告白という捨て身なところは、笑いを通り越して同情したくなるだろう。太臓がハーレムを求めて奔走している横で、仲間やライバルたちの恋模様が展開されるのが、なんともいえずシュール。本人のモテたい欲は周囲の恋を活性化させているのかもしれない。
高校デビューを期待していた喪女(もじょ)ぼっちな主人公が、他人とちゃんと会話できていないという現実に打ちのめされながらも、周囲と交流しようと奮闘していくぼっちコメディ。黒木智子は15歳。人生で一番モテる時期という女子高生に憧れを抱き、入学を心待ちにしていた。しかし、5月半ばになってもモテるどころか会話すらなく、クラスに馴染めない。さすがに焦り始めた智子は、まずは恰好からかと数年ぶりに鏡をのぞき、ゲシュタルト崩壊を起こしながらも、可愛いの追求を始めるのだった。2013年7月から9月にかけてテレビアニメが放送された。
喪女とは、インターネット上で生まれたネットスラングで、モテない女性を指す。作中にも登場する喪女の定義は、交際経験皆無、純潔、告白されたことがない、など。「喪女」は基本的にはネガティブ思考なことが多いとされているようだが、智子はコミュ力皆無かつひねくれていて思い込みが激しく、見栄っ張りだがネガティブではない。鏡の前で自分の顔を見ていた時、明らかに顔面崩壊が始まっていても、自分は可愛いのだと思い込めるのだから、メンタルはかなり図太いと言えるだろう。智子は、女子高生になれば誰でも自然とモテるし可愛くなると思っていたのだが、この感覚は何となく理解できるかもしれない。「いったい皆いつそんなオシャレとかお化粧に目覚めるの、いつの間にか可愛くなってるんですが?」と取り残されたような気持ちを味わったことのある人は、智子の言動に自分を重ね、痛々しさを味わうことだろう。喪女を自覚し、毒を吐きつつもめげない智子が報われる日を願う。
鈍感を装っているが、実は虎視眈々と恋愛勝者になる計画を進めていた主人公が、想定外の展開から好きじゃない女子と交流を持つことになる学園ラブコメディ。如月雨露(きさらぎあまつゆ)、通称ジョーロは、平凡ながら人当たりの良い少年だ。しかしその実態は、最高のモテライフを送るためにうまく立ち回り、狙った女子の好意を勝ち取ろうとする、打算的な面を持っていた。ある日、ジョーロは生徒会長の秋野桜から呼び出しを受け、衝撃的な事実を告げられるのだった。原作は駱駝の同名ライトノベル。2019年10月から12月にかけてテレビアニメ化。
タイトルだけ見ると、贅沢言うな、1人でも好きになってくれただけいいだろう! と言いたくなるものだが、ジョーロの野望とかけた労力を考えると、もう少しモテても良いかもしれない、と考えを改めたくなる。実際は小心者で、要領も良くなく勉強も運動もあまり得意ではないジョーロだが、モテるために努力は惜しまなかった。生徒会に書記として所属し、明るく元気過ぎる幼馴染の世話を焼き、カップルの仲をとりもったりもする。表面上は好青年であるし、それを実行するだけの忍耐力があるのだから、評価するべきである。元気で明るい幼馴染とクール系の生徒会長を狙っていたジョーロの計画は、二人の他の男への恋心を知って頓挫してしまい、新たな計画へシフトしていくのだが、その時点で両方の恋を応援せずに自分は別の恋を探す、とならないところが、やっぱりわりとお人好しなのでは、と感じてしまう。ジョーロに好意を寄せてくれる女子も現れるのだが、彼女の前途は多難だ。ジョーロを見ていると、遠くの花より近くの花を見よ、と呟きたくなる。