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『ブルーピリオド』主人公・矢口八虎にアートの世界を志させた「あのキャラ」との名シーン!30 Pt.

ひとりの青年がアートと出合い、努力を重ねながら新たな世界の扉を開いていく姿を描く『ブルーピリオド』。アートに関するうんちくや美大受験のノウハウなども盛り込まれた斬新な内容で人気を博し、2021年にテレビアニメ化も果たした作品だ。
主人公の矢口八虎(やぐち やとら)は、学業も友達付き合いもそつなくこなす高校2年生。クラスの誰とも分け隔てなく接し、スクールカーストの上位グループに属す彼だが、その一方で何事にも夢中になれない自分に空虚感を感じる日々を過ごしていた。しかしある日、放課後の美術室で見た1 枚の絵に強く惹かれた彼は絵を描くことに興味を持ち、美術系大学の日本最難関・東京藝術大学の絵画科油画専攻を目指して必死の努力を重ねて見事合格。そこからさらにアーティストとしての苦悩や葛藤を経験していく。今回は、その八虎が東京藝大を目指すきっかけになったキャラクターや出来事、セリフを紹介する。

作成日時:2021-12-11 19:00 執筆者:マンガペディア公式

『ブルーピリオド』主人公・矢口八虎にアートの世界を志させた「あのキャラ」との名シーン!

出典:講談社


悪友3人・純田、恋ケ窪、歌島×「八虎にはこんなふーに見えてんだ」

純田(すみだ)、恋ケ窪(こいがくぼ)、歌島(うたしま)は八虎の高校の同級生で、渋谷のスポーツバーでサッカー観戦をしながら朝まで酒を飲み明かし、一緒にタバコを吸う悪友たちだ。八虎のことを要領のいい優等生だと思っている一方で、無趣味で打ち込めるものがなく、物事を達観していることを少し心配している。そんな彼らが、八虎が自身の感性で描いた絵に対して漏らしたのがこの言葉だ。
この言葉が登場したのは、選択美術の授業でのこと。3人は「私の好きな風景」を描く課題にふざけながら取り組んでいたが、美術部の部長だった森(もり)まると出会っていた八虎は、彼女との会話にインスピレーションを受け、自分の目に見えた青い早朝の渋谷の風景を真剣に描いた。完成した八虎の絵を見た3人は、それが早朝の渋谷を描いたものであることを見抜き、「確かにこんな雰囲気あるわ」「八虎にはこんなふーに見えてんだ」と感心する。そこで八虎は、絵を描くことで初めて人と会話ができたような気がして思わず涙ぐみ、絵を描く楽しさに目覚める。


鮎川龍二×「悔しいと思うならまだ戦えるね」

鮎川龍二(あゆかわ りゅうじ)、通称はユカちゃん。いつも女の子の格好をしており心は乙女だが、名前からわかるとおり男性。八虎と同じ高校2年生の同級生で、八虎とは顔を合わせるたびに衝突しながらも、なんでも言い合える不思議な関係を築いている。八虎に主体性がないことを見抜いており、悪友たちのノリに無理をして合わせている点を指摘する。それを受けて、八虎は自分の好きなものは何なのかを自分自身に問い、青く見える渋谷の早朝の景色が自分の好きなものだと気付かされる。そんな彼が八虎に告げたのがこの言葉だ。
八虎が選択授業の美術を通じて絵に興味を持ったことを感じ取り、彼が美術部に入部するきっかけもつくったユカ。結果、八虎は美術部に入部し、2人は一緒に美大予備校の冬期講習を受けることになる。その予備校で後にライバル的な存在となる高橋世田介(たかはし よたすけ)の描いたデッサンを見て、自分がただの凡人なんだと落ち込み、悔しがる八虎。しかしユカはそんな八虎に「悔しいと思うならまだ戦えるね」と発破をかけ、彼の闘志をかき立ててくれた。


森まる×「あなたが青く見えるなら りんごもうさぎの体も青くていいんだよ」

森まるは、八虎とユカの先輩である美術部部長の高校3年生。ある日の放課後、美術室に忘れたタバコを取りに行った八虎は、大きなキャンバスに描かれた天使の絵と出合い、あまりの美しさに天使が自分に向かってウインクをしたように見えるほどの衝撃を受ける。再び訪れた美術室で、その絵を描いた森先輩と出会った彼は、褒めたつもりで彼女の才能を羨むが、彼女は自身も真剣に絵に向き合って努力していることを語り、手放しに「才能」という言葉を使った八虎をやんわりと否定する。
その一方で彼女は、純田、恋ケ窪、歌島の3人にからかわれた「早朝の渋谷の景色が青く見えた」ことを語る八虎に対して、「あなたが青く見えるなら、りんごもうさぎの体も青くていいんだよ」と肯定。その言葉をきっかけに、八虎は手を付けようとしなかった選択美術の「私の好きな風景」の課題に真剣に取り組み、自身の目に見えた青い渋谷の絵を描き上げる。


佐伯先生×「好きなことをする努力家はね 最強なんですよ!」

八虎の高校の美術教師で、美術部の顧問も担当する女性が佐伯(さえき)先生だ。「私の好きな風景」の授業で絵を描く楽しさに目覚め、決めかねていた進路を美術大学にするか迷い始めた八虎。美術の道に心惹かれる自分を戒めながらも、ついついスケッチブックに家の窓から見えた風景を描き始めた八虎は、うまく描けないことに戸惑って美術室を尋ねる。
遠近法の技術を教え、美術の魅力を語り始めた佐伯先生に、八虎は食べていける保証がないのに美大に行くメリットはあるのか、絵は趣味ではいけないのかという疑問をぶつける。そこで先生は「好きなことは趣味でいい、これは大人の発想」と告げ、「好きなことに人生の大きなウエイトを置くのって普通のことじゃないでしょうか?」と笑顔で答える。さらに、自分が美大に入れるのか不安と打ち明けた八虎に「わかりません! でも、好きなことをする努力家はね、最強なんですよ!」と彼を応援。その言葉に背中を押された八虎は強く心を打たれ、美大を目指すことを宣言する。


高橋世田介×「美術じゃなくてもよかったクセに…!」

高橋世田介は、ユカと共に美大予備校に通い始めた八虎が出会った、高校2年生の美大志望の青年。天才的な才能と技術を持つが、人付き合いが苦手で気難しい性格をしている。初めて描いた石膏デッサンで八虎に衝撃を与えたことをはじめ、八虎の絵を「芸の上澄みだけを掬ったような絵」と非難するなど、世田介と打ち解けようと努力する八虎に対して冷たい態度を取り、後に東京藝大ではライバル的な存在になる。
ある日、世田介は八虎と一緒に東京藝大の学園祭「藝祭」を見学するが、その別れ際に、八虎に対して彼のことが苦手だと打ち明ける。小さな頃から絵を描くことだけが喜びだった世田介にとって、人付き合いがうまく、明るい性格の八虎は「なんでも持っている人」として映っていた。「なんでも持っている人が美術(こっち)にくんなよ。美術じゃなくてもよかったクセに…!」と苛立ちをぶつけられたことに対し、八虎は自分の絵にもっと説得力があればあんなことは言われなかったはずだと感じ、今の自分には美術しかないのだと藝大への思いをさらに強くする。



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