ときに若々しく、ときに繊細に！ タイトルに「青（ブルー）」が付く漫画５選！0 Pt.

本作のタイトルは、パブロ・ピカソが陰鬱な作風で社会的弱者を描いていた「青の時代」の英語表記で、一般的には孤独で不安な青春時代を表す表現だ。そして青色は、美術に興味のなかった八虎がはじめて真剣に描いた絵画のテーマとなった色でもある。要領よく生きてきた八虎にとって、美術は今までにない充実感を与え、美大の最高峰である東京藝術大学への進学を決意させるほど夢中になれるものとなった。しかしその一方で、上手くなりたいと思えば思うほど美術は難しくなり、八虎は自分の内面と向き合う孤独な戦いを強いられる。そしてそれは、他の受験生たちもまた同じ。それぞれが孤独や不安を抱きながら、美大合格のためにもがく様子が熱く描かれている。

本作のタイトルは、主人公の大の講師である由井が、かつて世界一輝くジャズプレイヤーを「ブルージャイアント」と呼んでいたことから付けられている。独学で楽譜も読めないまま毎日練習していた大の努力は、パワフルな演奏として花開きつつあり、由井はそんな大に「ブルージャイアント」の素質を感じている。由井に教わるようになってからさらにぐんぐんと上達した大は、初めてのステージで罵声を放った観客に最後まで自分の演奏を聴かせることにも成功。その後も、大の魅力である情熱溢れる大音量の演奏で人々を魅了しながら、「ブルージャイアント」を目指していく。青臭くも一生懸命に音楽の道を歩む大の姿が胸を打つ作品だ。

本作のタイトルの青は、主人公の青子の名前とともに、波佐見焼の美しい染付に使われる色を連想させるものだ。青子は波佐見焼を愛し、絵付け師の仕事に誇りを持っており、そのため、「絵付けされた器自体に興味がない」と口にした龍生に本気で腹を立てる。だが一方で、彼が作ったシンプルな白い器を見て自然に描きたい柄を頭に浮かばせたりもする。絵付け師として成長を望み、器自体は作ろうとしない青子の絵付けにかける情熱と、波佐見焼の魅力を知るにつれ、フィンランドでのとある出来事から作陶活動ができなくなった龍生も、次第にトラウマを克服していく。作中では正反対とも言える陶磁器への愛情を抱いた青子と龍生が、徐々に心を通わせていく様子を繊細に描く作品だ。

グラウンドの上に広がる群青色の空と、高校野球の試合時に鳴るサイレンを想起させるタイトルがつけられた本作。物語のテーマは高校野球だが、甲子園やプロ野球を目指すスポ根物語に終わらず、登場人物たちが自分の嫉妬や劣等感、後悔といった負の感情に向き合う様子を丁寧に描いているのが特徴だ。自分から大事なものを奪った空を憎む修二は当時のトラウマから重度のイップスを抱えており、投手として空を見返すことが叶わないばかりか、キャッチャーとして空とバッテリーを組まされてしまう。空のことを思い出したくないがゆえに上を見て歩くことすらできなくなった修二が、相棒となった空とぶつかりながらも、もう一度野球に打ち込んでいく姿に勇気をもらえる作品だ。

本作のタイトルの青色は、主人公の青野一の名前から付けられている。有名なヴァイオリニストだった父への憎しみと劣等感からヴァイオリニストの道を諦めていた一は、秋音と出会ったことで再びヴァイオリンを弾き始める。進学した高校で秋音と一緒にオーケストラ部へ入部した彼は、天才ヴァイオリニストの佐伯直や、秋音の中学校からの友人である小桜ハルたちと出会い、再びヴァイオリンの楽しさを思い出していく。一だけでなく、登場人物たちもそれぞれがコンプレックスや複雑な事情を抱いており、そんな仲間たちと切磋琢磨しながら成長していく姿が魅力的に描かれている。