美術大学に通う学生たちの成長と恋を描いた青春群像劇。浜田山美術大学に通う竹本祐太が住むのは、六畳一間築25年のボロアパート。同じアパートに暮らす真山巧や、天才肌だが留年ばかりの変人・森田忍といった先輩たちとにぎやかな大学生活を送っている。新学期、花本教授の研究室を訪れた竹本らは、花本教授の従兄弟の娘である新入生・花本はぐみを紹介される。竹本ははぐみに一目惚れをするが、同時に森田もはぐみに好意を抱いていた。テレビアニメ化、実写映画化、実写ドラマ化もされた。
物語の舞台となる浜田山美術大学は、東京に実在する美大がモデル。幅広い学科を有しており、竹本と真山は建築科、はぐみは油絵科、真山に想いを寄せる女子学生・山田あゆみは陶芸科、森田にいたっては留年しながら彫刻科を8年かけて卒業し、再び日本画科の3年に編入することに。一般の大学生と変わらず恋に悩んだり、バイトに忙しかったりする彼らだが、美大生らしいシビアな悩みにも直面する。大学1年生にしてすでに華々しい受賞歴を持つはぐみは、周囲の大人たちの期待や、それとは裏腹に学生たちからむけられる嫉妬をはらんだ複雑な視線に人知れず苦しむ。竹本は生来の生真面目さと不器用さゆえに、就職でつまずき、目指すべき道に惑ったりもする。美大生たちの瑞々しい青春が展開していく。
山奥にある美大に通う3人の男子学生の成長を描くリアルな美大ストーリー。千葉幸太が通う大学は、東北の山奥にある、バカでも入れるといわれる美大だ。女子学生ばかりの中で、同学年の男子は千葉の他には本吉(もとよし)と藤本の2人だけ。絵や物作りが好きで何となく入った美大だったが、何となくでは夢はかなわず、努力の仕方もわからずにあっという間に2年生になってしまった。制作に打ち込み結果を残していく女子学生たちに対し、3人は悩みながらも自らの道を歩んでいく。
3人が通う美大があるのは、寒さ厳しい東北の山の上。キャンパスは、蛇やキジが出没するという自然あふれる立地だ。バスは1時間に1本しかないため、それに乗り遅れれば、通学は登山になるというハードモード。家で絵の制作をしていた藤本は、バスに乗り損ねて巨大なキャンバスを背負って山道を登るはめに陥っていた。そんな山奥のキャンパスを舞台に、彫刻やデッサンといった授業内容をはじめ、美大生のリアルな学生生活が描かれていく。作者が現役美大生ということもあり、その筆致は説得力にあふれている。美術というと才能だけが物をいう世界という印象が強いが、学生たちが共に学ぶ仲間の才能に焦りを覚えながらも、愚直に努力を重ねていく姿は多くの共感を呼ぶだろう。
高校の芸術科クラスに通う女子高生5人組の日常を描く学園コメディ。山口如月(きさらぎ)は彩井高校の芸術科アートデザインクラス(GA)に通う高校1年生。芸術家の卵が集まるGAには、ムードメーカーの野田ミキや熱血派の友兼(ともかね)、マイペースな優等生・大道雅(おおみちみやび)、姉御肌の野崎奈三子(なみこ)といった個性豊かなクラスメイトが揃う。天然キャラな如月はふりまわされながらもにぎやかな高校生活を送っている。美術やデザイン関連の雑学を交えながら、4コマ形式で展開する。2009年にテレビアニメ化された。
彩井高校の芸術科アートデザインクラスは、美術全般を勉強することができるコースだ。美術史や絵画はもちろんのこと、テキスタイルや、文字をデザインするレタリング、CG等を学ぶ授業もある。高校生から専門的に美術を志すほどだからか、生徒ももちろん個性的。たとえば、お洒落好きのミキは「デザインを学ぶ者なら自分の個性を追求するのも当然!!」と、友兼と一緒に体操着を改造。しかし、水溶性のポスターカラーで色を塗って改造したために、思いっきり色落ちして如月も呆気に取られている。クリエイター育成のための実践的な授業の様子もよく描かれるが、作中でさりげなく解説がそえられており、美術の雑学にふれられるのも本作の魅力の一つ。如月たちと一緒に授業を受ける気分が味わえるだろう。
高校の美術科に通う女生徒たちのアパートでの共同生活を描く学園4コマ。念願だったやまぶき高校美術科への入学が決まった主人公・ゆのは、親元を離れて高校の目の前にあるアパート・ひだまり荘で一人暮らしを始めることになった。ひだまり荘には、同じく新入生の宮子、先輩のヒロと沙英(さえ)が入居しており、みんな美術科の生徒。共に美術を学ぶ仲間たちとの日常生活がほのぼのとしたタッチで描かれる。2007年に初めてテレビアニメ化され、その後も続編が放送された。
やまぶき高校は普通科に加え、美術科も併設されている私立高校。美術の専門クラスを目当てに、ゆののように自宅が遠方にある生徒が入学することも多い。ゆのは実家から高校まで電車で3時間かかるため、前日から高校の近くにホテルをとり受験に臨んだ。学科試験の他に実技試験ももちろんあり、時間内に静物をスケッチする課題が出された。そういった試験も無事に試験を突破し、色々とおぼつかないながらも一人暮らしを始めるが、ひだまり荘の他の住民も一人では心もとないのは同様。一緒に鍋を囲んだり、アルバイト代を使ってクリスマスパーティーをしたりと、互いに助け合い、励まし合いながら日常を楽しむ姿がギャグを交えて描かれる。ひだまりのように心温まる青春を思わず応援したくなるはずだ。
高校2年で突然絵を描くことに目覚めた少年が美大を目指すアート系受験物語。勉強も友人関係もそつなくこなすリア充男子高校生・矢口八虎(やぐちやとら)が主人公。悪友とつるんで夜遊びしながらも成績優秀、スクールカーストでも上位に位置する八虎だったが、内心では何事にも夢中になれない日々に空虚さを覚えていた。しかし、志望大学を絞りはじめる高校2年生にして、一枚の絵に心を奪われ、ついには美大を受験することを決意する。
何事も効率よくこなすタイプの八虎にとって、絵は選択授業での単なる作業の一つにすぎなかった。美術教師の気に入るような画題を短時間で描きあげ、あとの時間は睡眠にあてるといった具合だ。そんな八虎にとって美大なんて効率も悪く、考えてもみなかった進学先。しかし、たまたま訪れた美術室で目にした絵に八虎は心を動かされ、絵を描くことに強い興味をもちはじめる。それは美術部の部長・森が手掛けたものだった。八虎はクラスメイトで美術部員でもある女装男子・鮎川龍二のすすめで美術部へ入部。絵を描くことで、今まで感じたことのない充実感を覚え、無謀にも美大の最高峰・東京藝術大学への進学を決意。八虎は最難関の美大受験をどう攻略していくのか。初めて夢を抱いた八虎の闘いが熱く描かれる。