北関東に続き今回は南関東、千葉・東京・神奈川の3県出身のマンガ家をご紹介しよう。
マンガ作品にはその作者の出身地、土地柄が現れるものも数多い。出身地別にマンガ家をご紹介する。
出典:Amazon.co.jp
北関東に続き今回は南関東、千葉・東京・神奈川の3県出身のマンガ家をご紹介しよう。
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千葉県は全国で唯一標高500m以上の山がないなだらかな地形の県。その千葉県出身のマンガ家から「重野なおき」を紹介しよう。1999年に『まんがライフ』でデビュー。主に4コマ雑誌で活躍していたが徐々に一般誌やWEBコミックに活躍の場を移している。その「重野なおき」の作品『うちの大家族』は、彼の作品の中で最も長く連載されている作品である。「千葉県千葉市花見川区三つ葉台」を舞台とした大家族の物語であり、長女「愛子」を筆頭に3男5女の子供たち、父、そして飼い犬の「フランダース」で構成される「内野家」。母が若くして病死したため、「愛子」が母親代わりとして家族の面倒をみている。長女22歳から末っ子5歳まで、各年齢層の個性的な家族が、明るく元気に過ごす姿にほっこりと癒される。この物語の舞台となっている「三つ葉台」は架空の地名だが、「千葉県千葉市花見川区」は「重野なおき」の出身地でもある。作品の中には千葉県に関する話題も交えており、地元愛が感じられる作品となっている。「内野家」と家族を取り巻く日常を楽しんでみてはいかがだろうか?
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千葉県出身のマンガ家から「加瀬あつし」を紹介する。千葉県成田市出身で1990年に連載デビュー、ヤンキーマンガを執筆し人気を博している。初の連載作品『カメレオン』は『週間少年マガジン』で長期連載された人気作品。中学時代にいじめられていた主人公「矢沢栄作」は「成田南高校」進学を機にヤンキーデビュー。バラ色の高校生活を目論んでいたが、お調子者の性格と運の悪さのせいで、自分の意思に反し、不良たちとのいさかいに巻き込まれていく。しかし、何故かその度にハッタリとミラクルと悪知恵で切り抜け、そんな事を繰り返す内に「栄作」は徐々に周囲の不良たちに認められていく。かなりひどいいじめられっ子だった「栄作」が「成南の番長」となり、その後、暴走族「OZ」の初代総長にまでのぼりつめる。この「成田南高校」のモデルが作者「加瀬あつし」の母校「成田高等学校」であり、実在の人物をモデルとしたキャラクターも存在する。パロディネタも取り入れており、いろんな角度から楽しめる作品である。ちなみに現在、『カメレオン』の7年後の世界が舞台の『クロアゲハ』を連載中である。どちらもあわせて要チェック!!
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日本の中心、大都会東京。47都道府県中最も人口が多く、日本の総人口の10%以上を占める大都市。東京都からは、「秋本治」を紹介しよう。1976年に新人賞に応募し、マンガ家デビュー。そして同年に『週間少年ジャンプ』に「山止たつひこ」名義で連載が始まったマンガが『こちら葛飾区亀有公園前派出所』通称『こち亀』である。「亀有公園前派出所」に勤務する「両津勘吉」通称「両さん」を中心に、同僚や周囲の人々が繰り広げるギャグマンガで、『週間少年ジャンプ』1976年の初回掲載から2016年の最終回まで1度も休載なく連載されていたことは有名。単行本は200巻まで発行され、単行本の発行巻数が1番多いマンガとしてギネス記録を持っており、他に「少年誌の最長連載」という記録も持っている。アニメ化、実写化もされ、まさに子供から大人まで楽しめるマンガである。「亀有公園前派出所」は架空の交番だが東京都葛飾区に「亀有公園」は実在し、作者の「秋本治」も東京都葛飾区亀有出身である。地元が舞台なだけに「両さん」の子供時代のエピソード回などは、作者本人の少年時代も反映されているのでは!? と想像してしまう。亀有には「両さん」や同僚の「中川」「礼子」「本田」の銅像が建てられており、地域の住民たちに愛されていることがわかる。連載は終わっても「両さん」はいつまでも永遠だ!
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東京都から足立区出身の「羽海野チカ」を紹介する。『ハチミツとクローバー』でデビューし、アニメ化、テレビドラマ化、映画化され大ヒットした。当初連載していた雑誌の休刊に伴い、作品も一旦終了となったが、作者の「この作品を描き続けたい」と自ら持ち込みをし、『YOUNG YOU』で連載が再開されたという作者の熱がこもった作品である。そしてもう1つの大ヒット作『3月のライオン』もアニメ化、映画化された有名マンガで、将棋を題材とした物語である。幼い頃に両親を亡くした主人公「桐山零」は父の友人の棋士に引き取られ、15歳でプロ棋士になった。しかし家人との軋轢などがあり、東京都の六月町で1人暮らしを始める。1年遅れで高校に通い始めるが周囲に溶け込むことが出来ず、更に肝心の将棋も不調が続いていた。そんな時、橋向かいの三月町に住む「川本家」の三姉妹と出会う。この交流をきっかけに少しずつ「零」の歯車が回り始めるのだった。マンガに登場する六月町や三月町は架空の町名であるが、東京都の風景が織り込まれている。コミック1巻の表紙で「零」の後ろにかかっている橋は「中央大橋」、「零」が通う「将棋会館」は東京都渋谷区千駄ヶ谷にある。登場人物たちのやり取りと共に背景に描かれる東京の風景もぜひ堪能して欲しい。
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東京都出身のマンガ家「安田剛士」。2002年『Over Drive』にてデビュー、後に2005年に連載が開始される。『Over Drive』は、自転車ロードレースがテーマであり、その後連載した『一瞬の風になれ』では陸上競技をテーマにしていた。そして2013年から連載を開始したのがサッカーマンガ『DAYS』。中学時代いじめられっ子だった主人公『柄本つくし』が高校入学前にサッカーの天才『風間陣』と出会い、サッカーの名門校「聖蹟高校」のサッカー部に共に入部。初心者の「つくし」がひたすら努力に努力を重ねて、サッカー部の部員たちと共に成長していく物語。アニメ化もされ、放送時期はまだ未定だが2期も決定している。その「聖蹟高校」があるのは、東京都多摩市の聖蹟桜ヶ丘。駅近辺には作品に出て来る場所が数々存在する。そして「聖蹟高校」のモデルになったのは東京都八王子市にある「八王子学園高校」。2010年から連載されていた『振り向くな君は』は、「聖蹟高校」のライバル校「桜木高校」での物語。ぜひ2つの作品を一緒に読んで、それぞれの高校のサッカーへの熱い思いを受け止めて欲しい。
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人口は東京に次いで日本に2番目に多い神奈川県。横浜などの大都市も擁しながら海、山、川など自然も豊かな県。神奈川県からは「山田南平」をご紹介。1991年にマンガ家デビューし、主に白泉社の雑誌で活躍。可愛らしいかつ繊細なタッチで描かれている。女子中学生と紅茶王子の学園ロマンスマンガ『紅茶王子』は、本編の他に番外編、新シリーズも執筆された代表作の1つ。もう1つの人気作『オトナになる方法』は、『123cmのダンディ』から始まる『久美子&真吾シリーズ』の完結編として描かれたものだが、後にシリーズ全体のタイトルとなった。17歳の美人女子高生「加藤久美子」は容姿端麗、頭脳明晰、更に性格も良い女の子。ある日、野良犬に怯えているところを助けてくれた男の子を好きになるが、その相手の身長は123cm、小学4年生の「池山真吾」だった。年齢差7歳、身長差30cmの恋愛は、なかなかに壁が多くいろいろと上手くいかないことも。お互いの同級生なども交えた恋愛マンガである。このマンガの舞台は神奈川県三浦郡葉山町。首都圏有数の海水浴場のひとつであり、別荘地としても名高い。他にも登場人物の出身地が「逗子市」「鎌倉市大船」など神奈川県内の地名が登場する。「久美子」と「真吾」の恋愛模様の行方が気になる方は、ぜひ作品を手にとってみてはいかがだろうか?
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神奈川県からもう1人、「紡木たく」を紹介する。神奈川県横浜市出身の「紡木たく」は1982年にデビュー、優しいタッチで少女たちの繊細な心の内を描き1980年代の『別冊マーガレット』で絶大な人気を得た。1986年にスタートした代表作『ホットロード』は700万部を売り上げる大ヒット作であり、2014年には映画化されるなど、発表から30年以上経った今でも人気の高い作品である。中学2年生の「宮市和希」は、2歳の頃に父親を亡くし、母と2人で暮らしていた。母から愛されていないと感じ心を痛め、学校でも他人と打ち解けられずに過ごしていた「和希」。そんな「和希」は暴走族に憧れ、学校の友人の紹介で仲間に入ることに。そこで、高校にも行かずガソリンスタンドでバイトをして1人暮らしをする16歳の「春山洋志」と出会う。自分の居場所を見つけ、少しずつ「春山」に惹かれていく「和希」だったが、暴走族のリーダーとなった「春山」は、対立するチームとの争いに巻き込まれていく。1980年代の香りが色濃く描かれるこのマンガの舞台は神奈川県の湘南海岸。作中にも海岸や海沿い走る道路が描かれている。当時の若者たちの多くが魅せられたこの作品には、当時の少年少女の心の不安や揺れが写し取られている。湘南の海を見ながら何を思っていたのか……。思いを馳せて見るのも良いだろう。
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