突如、動物たちが人間に牙を剥く異変を描くアニマルパニック漫画。主人公の神宮マサトは、幼い頃から動物好きの少年だ。7年ぶりに故郷に戻ってきた彼は、久々に再会した幼馴染みのヒトミと共に「不二サファリワールド」を訪れる。そこは、親友の象・ハナヨを筆頭に、マサトが親しんできた動物たちが集う場所だった。ところが、動物たちの頭部がまるで人間の顔のような異形に変貌し、人間たちに襲いかかってきた。
異変の発端となった「不二サファリワールド」は、新たな園長が就任して間もなく、毎月一回の健康診断が義務づけられる。診断は、全職員と全ての動物が対象で、血液検査の他にワクチン接種が頻繁に行われていた。おかしなことに、この健康診断が実施されるようになってから、診断の翌日、必ずどこかの檻で動物が異常行動を起こすようになる。そして、マサトが、幼馴染みのヒトミを伴って「不二サファリワールド」を訪れた日、恐るべき出来事が発生する。動物たちが全て人面の化物なり、人間に襲いかかってきた。動物たちはサファリワールドから脱走し、無差別に人々を襲っていく。謎めいた設定と怒濤の展開で、読者の興味を惹きつける戦慄のアニマルパニック漫画だ。
H大学獣医学部を舞台に、獣医を目指す学生の日常をコミカルに描いた動物医療漫画。主人公の西根公輝(ハムテル)は、受験を控え、友人の二階堂昭夫と共にH大学を見学に赴く。そこで彼は、シベリアンハスキーの子犬を捜索する獣医学部の一団と遭遇。紆余曲折の末、その子犬を引きとったハムテルはH大学へ入学し、獣医の道に進むこととなる。2003年4月テレビドラマ化。
本作には数多くの動物が登場するだけに、中には人間に向かってくる危険な動物もいる。その筆頭格と言えるのが、ハムテルに飼われているペットのヒヨちゃんだ。ハムテルが小学生時代に買ってきたヒヨコが、10年を経て立派な鶏に成長。西根家最強の生物と相成った。ヒヨちゃんを庭に放つ時、家族は基本的に庭には出ない。なぜならヒヨちゃんは、人を見ると走って追いかけ蹴飛ばしたり、噛みついたりするためだ。厄介な乱暴者のヒヨちゃんだが、他のペットたちを含め、西根家の者には一応手加減している様子。それどころか、隣人の高田家の鶏と、西根家の飼い犬であるチョビが揉めた際には加勢してくれた。その理由は、単にケンカ好きだから、ではある。
突如として人間が極端に小型化する異常事態を描いたSFサバイバルパニック漫画。主人公の「ゆっこ」は、日本のとある街で暮らす普通の女子高校生。ある朝、目覚めると自分を含め周囲の住民全員が、1/10程度のサイズに縮んでいた。電話も通じず、いつ助けが来るかも知れない状況の中、ゆっこは危険を冒し家の中から街へと出発する。
本作で人間に襲いかかってくるのは、動物全般だ。その理由は、人間が本来の1/10程度のサイズになってしまっているから。動物の世界は弱肉強食のため、人間が弱者となれば狩られる対象になるしかない。普段は人間に従順なペットでさえ、飼い主と認識されない可能性もある。実際、ゆっこの家で飼っていた猫のミーは、小さくなったゆっこと両親に襲いかかり、両親は死んでしまう。幸いなことに、犬のポコはサイズが変わってもゆっこを同一人物と認識し、彼女の命令に従った。かくしてゆっこは、ポコちゃんを護衛役として家から脱出。野良猫やカラスなどの危険が待ち受ける街に飛び出し、異変の原因と救出手段を模索していく。
下界から隔絶された山奥で、ヒグマの脅威に晒された人々の恐怖を描いたアニマルスリラー漫画。ある年の大晦日、北海道大学の動物学研究室で学んだ研究者たちが、知床半島の奥地にある天塩研究林に集おうとしていた。主人公の土佐薫は、その道中でヒグマに襲われた男の死体を発見するが、それが悲劇の始まりだった。やがて研究者たちは通信手段もなく、孤立した研究小屋でヒグマとの絶望的な戦いを余儀なくされる。
日本に生息する野生動物で、最強ともいえる恐るべきヒグマ。実際、人間を襲った事例も多く三毛別羆事件では、7名もの開拓者が1体のヒグマによって殺されている。ちなみにタイトルの「シャトゥーン」とは、冬ごもりに失敗し雪山を徘徊する熊を意味する。餓えによって凶暴化するため、通常より遥かに危険な存在だ。本作でヒグマが凶暴化するきっかけは、梟を狩る2人の密猟者によるもので、偶然親子連れのヒグマの足跡を発見した彼らは、高値で売買される小熊を目当てに狩猟を開始する。この無謀な行動が母熊を怒らせ、惨劇を招くこととなる。リアリティの高い設定と、克明な描写が魅力のアニマルスリラー漫画だ。
大量発生した人食い金魚が巻き起こす惨劇を描いた異色のパニックスリラー漫画。主人公の月夜田初は、映画鑑賞と撮影が趣味の少々オタク気質な高校生。ある日、彼は刺激を求めて馴染みのない渋谷に足を運ぶ。そこで彼の単調な日常は、予想もしない形で変わる。なんと、渋谷の上空に巨大な金魚が無数に出現し、人間に襲いかかってきた。
本作で人間を襲うのは、なんと金魚。観賞魚として、縁日の屋台でお馴染みの金魚が巨大化し、空中を泳ぎながらピラニア並の獰猛さで人間に襲いかかってくる。喧噪と活気に満ちた若者のにぎやかな街が、突如、異常事態に大混乱に陥っていく。月夜田初は、代わり映えのない日常に辟易し、映画のような刺激的な出来事を欲していたが、それが思いもしない形で実現する。彼はまさに、展開の読めないパニックホラー映画の登場人物となった。金魚たちが群れを成して宙を舞うというファンタジックな光景と、絶望的なパニックが同時に進行するその様子は実にシュールでユニークだ。