獣医学部を舞台に描かれる日常コメディ。受験を控えた男子高校生である西根公輝(通称ハムテル)と親友の二階堂昭夫は、受験予定のH大学で怪しげな獣医学部教授の漆原と出会ってシベリアンハスキーの仔犬をもらい、その縁もあってH大学に入学。変わり者も多い獣医学部へと進み、獣医を目指しつつにぎやかな大学生活を楽しんでいく。2003年TVドラマ化。
佐々木倫子の代表作のひとつ。物語は、主人公のハムテルがひょんなことから漆原教授と知り合い、シベリアンハスキーの仔犬を半ば押し付けられるような形で貰い受けるところから始まる。チョビと名付けられた彼女は、女の子にも関わらず顔の柄から般若のようだと言われる強面。だが、優しいハムテル、自身が西根家の掟である祖母のタカ、姐さん気質の猫のミケ、凶暴な鶏のヒヨちゃんたちに囲まれて温厚で人懐っこく成長していく。西根家一家のどこかのんきな暮らしと、漆原教授や院生の菱沼ら変わり者がたむろする獣医学部で、ハムテルと親友の二階堂が経験する学びの日々をコミカルに描いた内容が大人気を博した作品だ。
新米ナース・似鳥ユキエの奮闘と成長を描いた人間ドラマ。少女漫画出身の佐々木倫子が青年誌で初の連載を行った作品でもある。根は真面目だが失敗が多く、先輩ナースに怒られたり、患者とトラブルを起こすこともある新米ナースのユキエ。しかし彼女は幼なじみで同僚の本田雅子と共に、独自の工夫や負けん気の強さで乗り越えていこうとする。
看護師をテーマにした本作。主人公の似鳥ユキエは注射が苦手な新米の看護師。注射への苦手意識は、通勤中に他の人の腕を凝視して注射のし易い血管かどうかを観察してしまうほどで、下手な注射が原因で患者に嫌われてしまうこともある。短気でドジと評される彼女だが、根は真面目で有能なナースになるべく日々精進を続ける努力家。ときにその努力が時に珍妙な方向に行ってしまうこともあるが、そんな彼女も少しずつ成長を遂げ、物語終盤では後輩を持つ先輩ナースになる。基本はコメディタッチの作品だが、医療の現場が舞台なだけに人の死にまつわるシリアスな話も盛り込まれ、看護師業務の知られざる裏側や、医師と看護師の確執などリアルな医療現場の内情も描かれている。
ワガママなオーナーに集められた個性的なスタッフが集うフレンチレストランを舞台に描かれるコメディ。主人公は、謎の美女である黒須仮名子に自分の店で働かないかとスカウトされたウェイターの青年・伊賀観。彼は仮名子から渡された地図を頼りに店に向かうが、そこは墓地だった。『Heaven? 〜ご苦楽レストラン〜』のタイトルで2019年TVドラマ化。
3年勤務したフレンチレストランで、理不尽な客に対して愛想よくできずに怒らせてしまい、店に居づらくなった青年の伊賀観。融通が利かない自分に落ち込む彼をスカウトしたのは、墓地の隣に建つレストラン「ロワン ディシー(この世の果て)」オーナーの仮名子だった。新規開店に彼女がスカウトしたのは、営業スマイルが苦手な伊賀を筆頭に、フレンチ経験ゼロの店長、定年した元窓際銀行員のソムリエ、腕は一流なのに務める店がことごとく潰れるシェフなど微妙な面々ばかり。しかも仮名子はオーナーだからとやりたい放題。立地もスタッフも不安だらけで船出する新レストランで、伊賀たちはそれぞれの性格や特技を活かし、ときに諦めた顔を浮かべながら店を切り盛りしていく。
原作・綾辻行人&作画・佐々木倫子のタッグで描かれる本格鉄道ミステリー。沖縄で母と二人暮らしをしていた女子高生・雁ヶ谷空海。母を亡くし、天涯孤独になったはずの彼女には北海道に大富豪の祖父がいると知らされる。祖父に会いに北海道へ向かった空海は、「幻夜」という列車に乗車。だが列車内では恐ろしい殺人事件が発生する。
本格ミステリー作家の綾辻行人が手掛ける原作に、佐々木倫子の独特なコメディを交えて描かれる本作。主人公の空海は沖縄に暮らす少女で、鉄道嫌いな母の影響で一度も鉄道を利用したことがなかった。そんな彼女が母を喪い、母の父親が存命で大富豪だと知らされる。実は空海の祖父は有名な鉄道マニア。母はそんな父親と鉄道を嫌悪しており、空海に祖父の存在を知らせず、鉄道にも関わらせない生活をさせていた。空海は唯一の肉親である祖父に会うため北海道に向かい、そこで祖父の招待客しか乗れない夜行列車「幻夜」に乗車する。だが、その晩に乗客の一人が殺害される事件が発生。おりしも、世間では鉄道マニア連続殺人事件のニュースが世を騒がせており、空海はその謎に巻き込まれていく。
地方TV局を舞台に、天然ボケ主人公の奮闘を描いた物語。主人公は「北海道☆テレビ」に採用された新入社員の雪丸花子。彼女には知らされていないが、採用された理由は「バカ」だったから。密かに設けられた「バカ枠」で入社した花子は、その思惑に違わぬ天然っぷりで周囲を振り回すものの、視聴率をゲットする。2019年、HTB開局50周年記念にドラマ化。
本作は北海道ローカルのTV局で起こる、新人記者の活躍を描くお仕事コメディだ。主人公の花子は「北海道☆テレビ」に一般職で採用された新入社員。報道部に配属された彼女が取材班と共に大雨で増水した河川のロケに行った際、リポーターが転んで負傷し、代役に抜擢される。そこで花子は板に乗って流されている人影を発見。中継中に視聴者に助けるべきかと問いかけてしまう。結果、板に乗っていたのは猿だったのだが、花子はその猿を見事に救出。テレビマンにはあるまじき行動だったものの、その中継は高視聴率を獲得し、その後も天然っぷりと強運で花子はスクープを取っていく。TV業界の裏側や視聴率競争など、笑いの中にリアルな業界話が入り混じる物語だ。