「人間」を描いた「青年マンガ」、おすすめの作品はこちら!!72 Pt.

ここでは、「青年マンガ」をこよなく愛する多くファンのために、「裏切り」、「騙し」「命」や「命がけの戦い」など、良くも悪くも「人間」を描いた5作品を紹介しよう。

「奥浩哉」のマンガで、2000年から「週刊ヤングジャンプ」への連載がスタートした。本作の「夜、みんなで集まって殺しにゆく」というストーリーは、作者が高校時代からあたためていたものである。「日本人に馴染むSF」というコンセプトでつくられており、現実と非現実が入り乱れる世界観のもと、死と背中合わせの緊張感がただよう中に個性豊かなキャラクターが登場する。また、作者によると、「正義とは何なのか?」「正義はあるのか?」という問いかけがテーマにもなっているらしい。前作に引き続き、背景や効果は、グラフィックソフトを駆使して精密に描き出されており、マンガとは思えないほどリアルである。

「真鍋昌平」によるマンガ作品。2004年から「ビッグコミックスピリッツ」への不定期連載が開始した。「丑嶋馨」は、10日で5割という超暴利闇金融「カウカウファイナンス」の営業者。この作品では、「カウカウファイナンス」を訪れる客、及びその関係者の織りなすさまざまな人間模様と、社会の闇が描き出される。本作のタイトルにある「～くん」という言葉からは、ギャグマンガの内容がイメージされるが、実際の作品中では、人々が救われない状況に陥るエピソードが多い。なお、「～くん」という題の着想は、「むじんくん」や「お自動さん」など、当時の流行だったサラ金の自動契約機のネーミングから得ているらしい。

「甲斐谷忍」原作で「週刊ヤングジャンプ」に連載され、2009年にはTVドラマ化もされた作品。「バカ正直のナオ」と呼ばれるほど、すぐに人を信じてしまう女子大生「神崎直」のもとにある日小包が届けられた。これをきっかけに、トーナメント「ライアーゲーム」の「マネー」奪い合い合戦に巻き込まれ、そこで天才詐欺師「秋山深一」や、狡猾・非情な「福永ユウジ」らと出会い数々のゲームを乗り越える「直」。「ライアーゲーム」に集った訳アリの人々が策略する、騙し騙される心理戦が巧みに絡み合い、「自分さえよければいい」の考えだと必ず痛い目にあう小気味の良さが人気の秘訣だ。「直」のいう「プレイヤーが協力し、みんなが正直でいること」が必勝法!は真か?ぜひご確認いただきたい。

2015年に実写ドラマ化もされた「鈴ノ木ユウ」による「モーニング」連載中の作品。謎のジャズピアニストでもある、産婦人科医の「鴻鳥サクラ」のもとに舞い込む「妊婦」とその家族について描いたヒューマン・ストーリー。一般的に男性には神秘的にみえるであろう一見女性だけにみえる世界を、まっすぐな観点から「命」をリアルに提示し、一緒になって考えようというメッセージ性がうかがえる。温厚冷静・「カップ焼きそば」が大好きな「鴻鳥」先生、無表情で患者に恐れられているが実は優しい「四宮」先生、いい味を出している小柄なアラフォー助産師「小松」さん……。彼らの小さな命を守るため奮闘する「聖ペルソナ総合医療センター」スタッフの姿をご覧いただきたい。ハンカチ必須!

「夏原武」原案、「黒丸」作画で「ヤングサンデー」にて連載（『新クロサギ』は「ビックコミックスピリッツ』にて連載）、2006年にはTVドラマ化もされた作品。人を騙す「白鷲」、異性を騙す「赤鷺」、そして主人公「黒崎」が騙すのは詐欺師、称して「黒鷺」である。父親が詐欺の被害に遭い、一家心中まで追い込まれ、その生き残りである「黒崎」は詐欺師を憎み、「この世のシロサギを喰い尽くす」ため暗躍する物語。「騙す人」と「騙される人」の両者の人間模様も丁寧に描かれ、そんな中「黒崎」の華麗なまでの裏工作で詐欺師が逆に騙されていく様子は痛快!他人に心を許さないように生きる「黒崎」と、ヒロイン「氷柱」の恋の行方も気になるところだ。