主人公がゴルフの試合を通じて様々な人と出会う中で、選手としても人としても大きく成長していく姿を描いたヒューマンドラマ。飛田一八(とびたかずや)は、プロゴルファーの父親・銀八(ぎんぱち)のキャディを務めていたが、父親は試合途中で姿を消してしまう。残された一八は孤島の音無島(おとなしとう)でプロゴルファーになるための過酷な特訓を受けることになった。3年後、一八はプロテストで宿敵ともいえる水島克美の弟・章吾と対決し、劇的な優勝を果たす。しかし、その後も一八の試練は続いていくのだった。
本作では、一八の成長とともに、戦う場所や相手も目まぐるしく変わっていく。最初の試練は地獄のような特訓を強いられた音無島での戦いだ。過酷な特訓をやり抜いた彼は鮮烈なプロデビューを果たす。やがて世界の強豪を相手に戦うマッチプレー大会に参加し、そこでは対戦を通じて技術を磨き、ライバルからプロゴルファーとして生きていく術をも学んでいく。一八の若者らしく積極的な攻めのスタイルに見られる真っ直ぐなプレーはギャラリーを魅了するようになっていく。また、物語の前半で姿を消していた父親の銀八も終盤に再び登場し、一八の成長に大きく関わる。ゴルフの試合を通じて選手同士の心の触れ合いや親子愛も描かれ、作品に奥深さが感じられる。
原作者・坂田信弘をモデルにした主人公がプロゴルファーを目指し、世界へと羽ばたいていく姿を描いた本格派ゴルフ漫画。主人公・沖田圭介は家庭の事情により大学を中退し、プロゴルファーを目指している青年。周囲からは、24歳でプロを目指すのは遅すぎると思われていたが、体格に恵まれていた圭介は栃木のゴルフクラブで懸命に努力し、練習を積み重ねた結果、プロテストに一発合格。プロゴルファーの道を歩み始め、様々な相手と戦いながら成長していく。
圭介がプロゴルファーになるため特訓を重ねた場所は、栃木県の「鹿沼カントリー・クラブ」だ。原作者でプロゴルファーの坂田信弘が、実際に練習を積んだ「鹿沼カントリー俱楽部」がモデルだという。圭介は人よりも遅くプロへの道を目指すが、恵まれた体格、熱心にショットの練習に打ち込んだ努力の甲斐あってパワーのある選手へと成長していく。展開が進むにつれ、利き手の怪我や恋人の死など、肉体的にも精神的にも厳しい試練が立ちはだかるが、ハンデを背負いながらも力強く勝ち進む姿に心動かされる。プロゴルファーとして活躍してきた原作者の経験が元になっており、ゴルフ哲学も詰め込まれた、ゴルフ好きにとってはバイブルのような作品だ。
3人の男が役割分担をしてチームを組み、協力し合って大会優勝を目指して奮闘するゴルフ漫画。藤本草太は強力なパワーと度胸を持つプロゴルファー。大雑把な性格で細かな計算が苦手なタイプのため、パワーはあっても試合結果はいつもボロボロ。そんな草太が出会ったのは、太子(たご)治と谷田部(やたべ)光一という自分とは異なるタイプの選手たち。3人は手を組み、「チームきりたんぽ」を結成し、欠点を補い合えるチームへと成長していくのだった。
ゴルフは本来、自分一人で勝負に臨む孤独なものだが、本作は3人の男がチームを組むという異色のゴルフ漫画だ。選手として限界を感じていた太子と谷田部から話を持ち掛けられた草太は、紆余曲折の末に3人でチームきりたんぽを結成することを承諾。草太はパワーのあるゴルファー、太子は頭脳派でコースを読めるキャディ、谷田部は理論派のスイングコーチ。3人が役割分担をし、それぞれの長所を生かしていくことになる。最初はバラバラだった彼らも徐々に絆を深め、チームとして成長していくと共に勝利を掴むようになり、やがて世界のトップを目指すようになっていく。草太の豪快なショットやチームで一丸となって勝利を掴もうとする彼らの姿に、きっとパワーを貰えるはずだ。
サラリーマンがゴルフ以外の全てを捨ててプロゴルファーとして生きる道を選び、栄光を掴んでいく姿を描いたゴルフ漫画。前野金蔵は、企業で働いているサラリーマン。だが、その胸の内には、以前から並々ならぬ情熱を注いできたゴルフにひたすら打ち込みたいという思いが渦巻いていた。ある日、もめ事に巻き込まれた金蔵は、負ければ二度とゴルフには関わらないことを前提に、人生を懸けてゴルフで勝負をすることに。不器用にゴルフに打ち込む男の生き様が描かれる。
金蔵は体格も良く、男気もあって女性から好かれやすい人物だ。だが、不器用で一度に多くのことを抱えられない彼は、ゴルフ以外の家庭や仕事を切り捨てる選択をする。その決断に彼を取り巻く周囲は納得してくれず、金蔵の人生を懸けたゴルフ勝負が始まった。勝負の相手は表舞台から姿を消していたプロゴルファーの闇塚新一。金蔵は闇塚のプレーに太刀打ちできないが、それでも諦めずに真剣に丁寧にゴルフに向き合い、ついに自由を勝ち取る。ゴルフに打ち込めるようになった金蔵は、どんな時でも情熱を忘れず、ゴルフを楽しもうとする。迫力ある劇画タッチで描かれ、重厚感があるが、ゴルフに関する様々なうんちくなども盛り込まれており、ゴルフ指南書としても活用できる作品といえるだろう。
あがり症の新米ゴルファーがコスプレ姿で賞金女王を目指す姿を描いたコメディ漫画。主人公の葉山そなたは、新米のプロゴルファー。緊張しやすい性格が災いし、試合ではOB(アウトオブバウンズ)率が上がってしまうことが悩みの種。そんなそなたが出会い、契約することになったのは、単衣虹色工房部という謎めいた会社だった。試合当日用意されたウェアは、露出度が高く背中には羽までついているアニメのコスプレ衣装。戸惑うそなただったが、次第に本来の実力を発揮するようになる。
ゴルフでは動きやすいゴルフウェアを着用するのが通常だが、主人公のそなたはアニメに出てくるような突飛な衣装で試合に出場している。あがり症な上にスイングする度に下着が丸見えになるようでは集中できず、OBを連発してしまう。しかし、本来のそなたは人並み以上のゴルフセンスを持っている実力者。スポンサーの社長・単衣孝二郎(ひとえこうじろう)は、コスプレは飾りではなく、自分とは違うキャラクターに「変身」できる特別なものだと考えていた。そなたはコスプレ衣装を身に着け、あがり症だった自分とおさらばして本領を発揮。やがて、第一線で活躍できるほどにまで成長していく姿が、彼女を取り巻く個性的な登場人物たちと共にユニークに描かれている。