なかなかにむちむちして色っぽいが、言動はどこか幼い姉・京子(きょうこ・高校生)と、見た目かわいらしく、まるで女の娘のようだがわりとしっかりしている弟・忍(しのぶ・小学生)。タイトルからして危ないマンガのようだが二人は再婚した親同士の連れ子で、つまり血はつながっていない。
だが、仲がいいだけにやはり危ない。そのうえ両親は再婚後少ししてから二人とも亡くなっているらしく、現在は姉弟二人暮らし。というわけでますます危ない二人。
タイトルだけ読むと食事のほうは弟・忍が一手に引き受けているように思えるが、決してそうではなく、姉と二人で交代制で食事当番をこなしているようだ。
しかも二人ともこなれた様子で、それなりに手の込んだ料理を作るのを見ていると、いくらフィクションとはいえ、適当な料理しかしたことがないこちらのほうがなんとも面映ゆい。そして「中華鍋がひとつ」欲しくなる。それが「なぜか」はぜひ本編を読んでみてほしい。
ちなみに両親が亡くなった後、姉弟が未成年の身空で「二人暮らし」を始められたのは、父方の叔母であり梨由子(りゆこ)姉さん(叔母さんと呼ぶとブッ飛ばされる)の後ろ盾があってのことらしい。まだ25歳だがスナックバーを切り盛りし、学生の頃はヤンキーだった。
それなりに自由に生きていて、どこか「ヤマネコ」を思わせる京子が、唯一苦手とし頭が上がらない存在なのが梨由子姉さんである。
別冊ヤングチャンピオンにて連載中、コミックは最新第3巻まで発売中。
読んでいて救われるのは、両親と早くに死に別れているが、姉弟ともども屈折したところがなく、それぞれの友人たちともうまくやっているらしきところ。特に忍は姉の友達たちから「かわいらしい弟」として受けがいい。
ちなみに忍の同級生には「ロングキスグッドナイト」という長いあだ名を持つ黒髪の美少女(本名不詳)がいる。見た目よりも快活な娘で、忍のことは意識はしているようだが、なんといってもまだ小学生。
個人的に好きな登場人物は京子のクラスメイトで「セクシー」と呼ばれている黒髪ロングのメガネの子(本名は高木陽子)。
なぜにセクシーというあだ名なのかは不明だが、作品の中で一番「パンチラ」が多いのがそのあだ名の由来かも知れないと思ったりもする。
このマンガのサブタイトルを紹介する。
1巻
鶏肉とナス玉ねぎピーマンのトマト煮込み(仮)
サンマの塩焼きとエリンギのニセ松茸ご飯風
ほったらかしシチュー
アペタイザーet c
シャコとしそとガーリック赤唐辛子チャーハン
焼き白菜とベーコン煮パスタ
牛肉丼と中華スープとマッシュ里芋
2巻
忍特製 いなりずし
クリコロ丼
おこめちゃん焼き
ネバネバぶっかけ蕎麦
モヤシペペロンチーノ/etc.
かんたんクロックムッシュ
おいしい桃の食べ方
このタイトルを読み上げるだけでお腹が空いてきそうな感じだ。最後の桃の食べ方は料理というわけではなく、ただ本当に桃の美味しい食べ方を紹介している。そしてこの話で、先に登場した「セクシー」の立ち居振る舞い、その母親の強者ぶりがよく分かるので、個人的にお勧めしておく。
全ての料理に関しては、作る過程から何から全て手順の解説付きで、その手際の良さときたらプロの料理人顔負けであるところも、出来上がった料理をおいしくいただける所以であると思う。そしてまた、その料理をおいしそうにほおばる二人の姿が微笑ましく、とても色っぽく思える。
最近のマンガ情勢で、特に「女の子が料理を作ったり、食べ歩いているマンガ」がにわかに増えてきたのは、やはりその「食べている瞬間」が最もかわいらしく、そして色っぽく映える、そういうところが理由ではないかと思える今日この頃なのだが、本書もそこのところは類に漏れない。
自分的「2015年度マンガ大賞・いちばん美味しくご飯を召し上がっていたで賞」をあげたくなってしまう。それほどまでに「美味しそう」なこのマンガは、今現在の「グルメマンガ、フードマンガ全盛」の時代においても、やはり傑出した作品であるというにふさわしい作品であると思える。
第3巻が発売されたばかりで盛り上がっている「姉おな」。ぜひ、読んでみてほしい。