『月下の棋士』、モデルとなった棋士たち22,527 Pt.

昨今、羽海野チカの人気漫画『3月のライオン』などの影響もあって、ちょっとした将棋ブームが起こっている。
将棋漫画は他にも『ハチワンダイバー』や『ナリキン!』など、数多く出ているが、その中でも将棋漫画の代表格として扱われることが多いのが『月下の棋士』。
1993年連載開始の決して新しい作品ではないが、今なお高い人気を誇る。
『月下の棋士』には実在する棋士がモデルとなった人物が多数登場しているので、モデルとなった棋士たちを紹介していきたいと思う。

作成日時:2016-05-09 12:00 執筆者:マンガペディア公式

モデルになった実在の棋士とは

・升田幸三

『月下の棋士』、実力制第四代名人として登場する刈田升三は、升田幸三をモデルとしている。
作中、一番モデルに近く描かれていると言われるのがこの刈田升三だ。
升田幸三といえば常に「魅せる将棋」というものを意識し、ファンがどうしたら喜ぶのかを常に考えて「新手一生」を生涯の目標に掲げた希代の人物として知られている。
彼が活躍していた昭和前中期は、現在の日本の将棋界のシステムが確立されて間もない頃で、大名人にして生涯のライバル、大山康晴十六世名人らトップ棋士としのぎを削り合い、まさしく道なき道を切り開いてきた。
特に定跡にとらわれない奇抜で自由な発想は、後進にも大きな影響を与え、現在でも定跡の発展に著しく貢献した棋士に与えられる賞に「升田幸三賞」の名がつけられているほど。
時の名人に対して暴言を吐くなど問題も多かった升田ではあるが、死後二十年以上経った今なお、話題にあがることの多い棋士なのだ。

・佐藤康光

『月下の棋士』、佐伯宗光は「羽生世代」の棋士のひとり、佐藤康光九段をモデルにしている。
佐藤九段は名人経験者にして永世棋聖の有資格者で、コンピュータが1秒間に一億手よむことができると言われた時代、「一億と三手読む男」と呼ばれるほど緻密なヨミを武器をとする現役の強豪棋士だ。
そこから付けられた棋風は「緻密流」。
序盤に独特の思考を凝らすことが多く、他の棋士がなかなか真似できないような独自の棋風を作り上げていく。
またルックスが話題になることも多く、眼鏡をかけたインテリイケメンでありながら趣味はヴァイオリンということもあり、若い頃は相当女性からモテたそうだ。そこから「モテ光くん」という愛称がつき、現在でもファンの間では広く知られている。
作中、佐伯宗光もこの佐藤九段の特徴をそのまま生かして描かれている。


モデルとなった棋士を知ると、もっと将棋を知りたくなるのではないだろうか。

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