本作の主人公。航空会社のパイロット候補生としてフランスで飛行訓練学校に通っていた。しかし、帰国前の最後の夜に、親友だった神崎の裏切りでアスラン外人部隊の兵として契約させられてエリア88のパイロットとなった。空戦に天性の才能を持つが、生き延びるために敵を殺して報酬を受け取ることに強い罪悪感を覚え、戦いの中で高揚する自分自身にも嫌悪感を覚えている。エリア88ではシンと呼ばれ、強者ぞろいの外人部隊内でもトップの腕前。だが、自らの行為を「人殺し」と考え、その戦果を誇ることはほとんどない。
シンは作中で幾度か機体を乗り換えている。作中でシンが自分自身で購入した機体は、F-8E クルセイダー、F-5E タイガーII、サーブ35 ドラケン、F-20 タイガーシャーク、そして前進翼実験機のグラマン X-29の5機。中でも印象深い機体は、最終エピソード「砂の戦場」で神崎との一騎打ちにも使われたF-20だろう。これはF-5シリーズの後継機で、大出力の単発エンジンと当時最新鋭の火器管制能力を搭載した高性能機。しかしF-16との競争に敗れ、わずか3機が生産されるにとどまった幻の機体でもある。
エリア88所属の傭兵。アメリカ海軍の艦載機パイロットとしてベトナム戦争に参加し、終戦後に軍を退く。帰国して平和な日常に戻ったものの、戦場の高揚を忘れられずにアスラン傭兵部隊と契約した。陽気な性格で基地のムードメーカーとして仲間から愛され、シンとも死線をくぐる戦いをいっしょに経験して深い友情を結んでいる。パイロットとしての腕はシンに匹敵し、エリア88でもトップクラス。空戦スタイルは勇猛果敢で、ベトナム時代は火の玉(ファイア・ボール)ミッキーの異名をとっていた。のちに、エリア88のメンバーとなるセイレーン・バルナックと恋に落ち、ノロケぶりで周囲を照れさせるシーンも。
着任直後の乗機だったF-100に始まり、A-4 スカイホーク、クフィールなどにも乗ったミッキー・サイモンだが、愛機と呼ぶにふさわしいのはエピソード「新しい翼」で手に入れたF-14 トムキャットだろう。同機は飛行中に主翼が動かせる可変翼を備え、大型の対艦攻撃機から艦隊を守る要撃用の艦載機として開発されたもの。強力なエンジンと火器管制システムを備え、ルックスも抜群。空戦をテーマにした映画やゲームなどでも活躍し、戦闘機にあまり興味がない人にも広く知られている名機だ。
エリア88所属の傭兵。デンマーク空軍を除隊後、東側諸国から亡命者を飛行機で脱出させる「逃がし屋」をしていたが、とあるトラブルを経てエリア88に所属することになった。豪快でタフな、いかにも荒くれ者の傭兵といった印象だが、傭兵部隊に反感を持っていたアスランの若い正規軍兵士を重みのある言葉で諭し、戦火の中で出会った孤児の少女を気遣う人情家でもある。エリア88では対地攻撃のスペシャリストとして活躍し、ストーリー前半の砂漠空母や後半の市街戦などでも激しい対空砲火をものともしない勇猛な戦いぶりを見せている。
グレッグ・ゲイツの乗機は、いわゆる攻撃機と呼ばれる対地攻撃を得意とする機体が中心。最初はA-4を使用していたが、砂漠空母との戦いで同機を失ったあとはA-10 サンダーボルトIIを愛機とした。エピソード「黄金の闘士たち」から登場したこの機体は、戦車の装甲を軽々撃ち抜く巨大ガトリング砲を搭載し、低速域での良好な運動性と高い耐久力を備えた近接航空支援機。ロケットランチャーや対地ミサイル、大型の爆弾など大量の対地兵器も搭載でき、まさにグレッグにぴったりの機体といえる。尾翼には彼のパーソナルマークとして、頭上に蝋燭を立て、ナイフをくわえたドクロが描かれている。
アスラン国王のザクの甥だが、反政府軍を率いる父アブダエルとの因縁を晴らすために最前線で戦うことを臨み、傭兵部隊であるエリア88の司令官を務めている。冷静沈着な軍人で、作戦に必要とあらば傭兵たちにためらいなく非情な命令を与えるが、その一方で傭兵を軍の規律で縛りつけることはしない柔軟さも持ち合わせている。戦闘機のパイロットとしても一流の腕を持ち、部隊の存亡がかかる戦いではシンやミッキーと共に自らも参加し、一瞬にして敵の背後を取る華麗なドッグファイトを披露している。
サキ・ヴァシュタールの愛機は、アスラン王家のエンブレムが尾翼に描かれたイスラエル製の戦闘機クフィール。F-15 イーグルも正規軍から与えられていたが、彼は使い慣れた機体を好み、使用する姿は作中では描かれなかった。クフィールはデルタ翼を採用し、カナードと呼ばれる補助翼による高い機動性を実現した機体。エピソード「傭兵対傭兵」でエリア88が壊滅的な打撃を受けた時は、補充機としてシン、ミッキー、グレッグらにもレンタルされて大きな戦果を挙げた。クフィール以外では、地中を掘り進む巨大爆弾グランドスラムに基地が狙われた際、超音速戦略爆撃機のB-1 ランサーをサキが操縦。グランドスラムを阻止すべく巨大な岩に爆撃を行った。
エリア88でただ一人の女性パイロットで、愛称はセラ。もとはプロジェクト4に雇われた傭兵部隊の一員だったが、シンと出会って彼に興味を持ち、紆余曲折を経て反政府勢力となったエリア88に所属する。当初はシンに惚れていたが、激戦の中でミッキーと共に行動するうちに彼の優しさに触れ、恋人同士になる。「敵を冥府に誘うセイレーン」を自称し、空戦の腕は一流。美しい女性であるという立場を生かし、プロジェクト4に支配されたアスラン市街の酒場にキム・アバと共に潜入してスパイ活動を行ったりもしている。
敵の傭兵として登場した際はソビエト連邦の名機Mig-21に乗っており、砂漠に埋められた地対空ミサイルに気を取られたシンを撃墜。ミッキーとの交戦で同機を失ったあとは、F-104 スターファイター、F-4 ファントムII、A-4などその時々で機体を乗り換えている。Mig-21と並んで彼女が駆った印象的な戦闘機は、エピソード「自由なる地獄の中で」で陥落直前のエリア88山岳基地に乗り込む際に使われた、入手方法不明のNATO空軍のF-104。エンピツのような細い胴体でマッハ2の速度をたたき出し「最後の有人戦闘機」とも呼ばれた戦闘機で、欧州や日本など幅広い国でも運用されたメジャーな機体だ。
エリア88の最年少パイロットで、アフリカの小国ルンガの第3王子。「王子は強くなければならない」という王族のしきたりに従い、戦場に身を置いて強くなるために傭兵に志願した。新人としてシンの中隊に加わり、生き延びる術を教えてくれた彼を慕うようになる。エリア88のメンバーからは子供扱いされているが、戦いではシンの教えを実践し、戦果を挙げつつ生き残る腕を持っている。メンバー内ではセイレーンとコンビを組むことが多く、コミカルな口ゲンカを繰り広げる。
エリア88着任直後はA-4に搭乗していたが、エピソード「稜線の悪魔」で英国製のホーカー・シドレー・ハリアーを入手し、以降はそれを愛機として使い続けた。ハリアーはヘリコプターのような垂直離着陸が可能なVTOL機で、飛行場のない場所でも戦える運用の自由度の高さが最大の特徴。作中でも、エリア88の山岳基地に神出鬼没な奇襲攻撃を繰り返したソビエト製VTOL機・フォージャー部隊の拠点を探り出すなど、その機動力を生かした活躍が描かれている。