青森を舞台に高校生魔女の日常を描いたファンタジー漫画。木幡(こわた)真琴は使い魔の黒猫・チトと共に横浜から青森の親戚の家にやってきた高校1年生。普通の女の子のように見える真琴だが、実は魔女。まだ魔女としては半人前で、高度な魔術は使えないが、移動手段としてほうきで空を飛ぶことができる。一緒に住んでいる又いとこの倉本圭や千夏(ちなつ)と交流を深めながら魔術の修行を行い、魔女の後輩や先輩らとも仲良くなり、真琴の周囲は賑やかになっていく。2016年テレビアニメ化。
魔女の間では「15歳になったら一人立ちをし、家を出る」というしきたりがあるという。横浜で暮らしていた半人前の魔女・真琴も高校入学を機に親元を離れ、青森県弘前市で居候生活をすることになった。真琴以外にも様々な魔女が登場し、精霊や不思議な生物、幽霊なども登場する。ファンタジー要素は多いが、ゆったりとした時間の流れの中、真琴たちの普段の穏やかな日常が紡がれていく。「青森」と「魔女」の組み合わせはユニークに思えるが、青森の住人たちの大らかさと豊かな自然に囲まれながらの魔女の修行は順調で、意外と相性が良いのかも知れない。時にはりんごの摘花をして過ごすなど、のんびりとした真琴の日常に読者も自然と心が癒されることだろう。
中学校時代、野球部のエースとして学校のスターとなった転校生をやっかんだ野球部元エースの少年が、他のスポーツで優秀だった少年2人と、高校で野球に励む青春野球漫画。転校生・佐伯正人が来るまではエースだった元野球部・松本陽平と、柔道で県下1位の熊田ひろみと陸上100m走で県下1位の瀬古邦彦。この3人は佐伯がスター選手として注目を浴びる一方、自分たちの活躍が目立たなくなったことに腹を立て、高校では「打倒佐伯」を目標に、野球に青春をかけることを決意する。
本作の舞台となるのは、青森の弘前市。作中には桜の名所として知られる青森の弘前公園をモデルにした公園が登場し、古城と美しい満開の桜の木々の描写は実に見事だ。その一方で、冬の場面では雪深い風景と冬季練習の様子が描かれ、青森の冬の厳しさも感じられる。「打倒佐伯」を目指して松本、熊田、瀬古の3人が入学した一高の野球部は、甲子園など到底目指せないような小さな部だった。しかし、美人マネージャー・小沢遼子の存在によって部員は増え、遼子からのご褒美目当てにモチベーションも上がっていく。松本を中心に野球を通じて成長していく野球部員たちの姿を描きつつ、野球部に関係している女子生徒の遼子や弥生なども交えた恋愛ドラマも展開されていく。
大学での再会をきっかけに、幼馴染の男女2人の関係が変化していくラブコメディ。富士見野大助は大学の校門の前で、小学校以来の再会となる幼馴染と待ち合わせをしていたが、見知らぬ女の子に声をかけられ、大学の案内を頼まれる。だが、実はその女の子こそ待ち合わせ相手の日野まつり。男勝りだった子供の頃が嘘のような美人へと成長を遂げていた彼女の姿に、大助は衝撃を受けるのだった。10年というブランクを経て再会した二人だったが、再び交流を深めるようになっていく。
青森にある大学を舞台にした本作では、東北三大祭りの一つである「青森ねぶた祭」が登場する。作中では、迫力のある立派な山車灯籠や跳びはねるハネトも描かれ、祭の熱量を感じることができる。大助は男子の自分よりもやんちゃだったまつりが美人で女らしくなっていたことに戸惑うが、昔から乱暴なだけでなく優しい一面を持っていることを知っていた。一方まつりは、昔から自分より弱かった、いまや身長も高くなり逞しく成長した大助に想いを寄せている。だが大助は、何かとちょっかいを出してくる大光寺紅葉(だいこうじもみじ)先輩の存在が気になっている。2人の間で揺れる大助、そして恋するまつりの心の動きが、青森の豊かな風景や伝統ある行事と共に描かれ、奥行きのある作品となっている。
相撲部のない高校へ入学した男子が相撲同好会を立ち上げ、仲間を集めて成長していく相撲漫画。三上直登(なおと)は岩木山(いわきやま)高校に入学したての高校1年生。元幕内力士だった亡き父親の遺志を継いで、直登は一人で相撲同好会を立ち上げる。真っ直ぐな性格の直登の周りには、次第に仲間が集まり、相撲同好会は少しずつ大きくなっていく。直登には亡き父親の願いを叶えるという目標があり、それは父親が憧れていた現横綱の大海風(おおみかぜ)と戦い、勝利するというとてつもなく大きなものだった。
本作では、青森の弘前市にある高校を舞台に、相撲を中心に物語が展開していく。主人公の直登の父親は有望な幕内力士だったが、惜しまれながら死去。父親には精一杯相撲をやってきたことに対する悔いはなかったが、最高の舞台で最強の相手と戦いたいという願いがあった。遺された息子の直登は高校に入学してすぐに相撲同好会を立ち上げる。最終目標である横綱と対決するには、幾つもの壁を越えていかねばならない。だが、真面目で芯があり、真っ直ぐな心を持つ直登は、正面から相手にぶつかっていき、また、目標に向かって突き進んでいく。作中では相撲の作法なども語られ、相撲の持つ魅力や奥深さを丁寧に伝えており、そして試合シーンは迫力のある描写で表現されている。
津軽弁と青森の郷土料理をモチーフにしたグルメ漫画。主人公の都飯美(みやこめしみ)は東京生まれ東京育ちの生粋の東京人だったが、大学卒業後は青森の新聞社に入社した新米記者。青森の方言になじみのない飯美は隣の席の津軽先輩が話す津軽弁が理解できず、悪戦苦闘する日々を送っている。しかし、いがメンチ、津軽そばなど、青森グルメはどれも絶品。都会っ子の飯美が次第に青森に住む人々の温かさや郷土料理に惹かれていく様子を描いた物語。
青森弁には津軽弁と南部弁があるが、本作で使われているのは津軽弁だ。作中には津軽弁で様々な青森グルメが紹介されている。青森は本州の最北端であることから、獲れたての海鮮食材を使用した海鮮料理も多い。例えば「いがメンチ」。イカを主体に野菜も混ぜた具材を丸めて揚げた津軽名物だが、鰺ヶ沢町のいがメンチは一味違う。鰺ヶ沢町で獲れたスルメイカを使うことが絶対条件であり、具には野菜を混ぜずイカ100%にすることでコリコリの食感が保たれた超激レアのいがメンチなのだ。時には八戸名物「せんべい汁」など、南部側の郷土料理も紹介される。読み進めるほどに津軽弁や青森グルメの知識も増えていき、きっと飯美と同じように青森の魅力にどっぷりハマってしまうことだろう。