文芸部の女子高校生5人が性に振り回される様子を描いた学園群像劇。主人公の小野寺和紗が所属している文芸部では、ある時、「死ぬ前にしたいこと」という話題で盛り上がっていた。そこで、部員の一人である菅原新菜が「セックス」と口にしたことから、“性”について考え始め、振り回されていくことになる。
読書好きの和紗が所属する文芸部は、5人の部員たちがひとつの作品を読み、読書会という名のもと語り合う活動をしている。とある昼休み、部長の曾根崎が持ってきた作品がきっかけで、「死ぬ前にしたいこと」という話題で盛り上がっていた。そんな中、菅原が突然つぶやいた「セックス」の一言で場が凍りつく。文芸部だけに読書会で取り上げる作品は純文学が多いのだが、意図せず性的な内容ばかり。性を忌避する者、内心では興味津々な者と、捉え方は十人十色ながら、部員たちは日頃から性を意識していた。本作は、思春期の少女たちが“性”について思いを巡らせ、“性”にまつわる悩みを抱えながら成長していく物語だ。
理系処女のピュアな性探求心を描いたラブコメディ。恋愛に関することに興味のない主人公の古川奏は、立ち寄ったコンビニで事故に巻き込まれかけた時に、「自分はまだ一度もセックスをしたことがない」と思い残しがあることに気づく。悔いを残して死にたくないと考えた奏は、同僚の本田恭一に一度でいいから抱いてもらえないかと頼み込む。
勤務先の会社で開発部に所属する28歳理系女子の奏は、恋愛に関して無頓着であったため、恋愛経験ゼロのまま今に至る。ある時、奏が立ち寄ったコンビニに車が突っ込み、死を意識した彼女の脳裏に、これまで一度もセックスをしていないという思い残しが瞬時によぎった。翌日、事故では無事だったが、突然死んでも後悔しないよう決意した奏は、事情を話した同僚の本田に一度だけでいいから抱いて欲しいと頼む。「オレをソノ気にさせられたらね」と承諾した本田を、その気にさせようと試行錯誤していくうちに、ふたりはお互いに惹かれていくのだった。
戦争用兵器として教育される少女たちを描いたダークファンタジー。主人公のトツキ・シーナは、孤児を戦争用の兵器として育てる学校に通っている。その学校では、クラスメイトが亡くなったと聞いても、誰ひとり顔色を変えないことに疑問を抱くニーナ。そんな彼女のもとに、血まみれの少女カガリ・ミミが現れ、物語は動き始める。
14歳のシーナは、孤児院 兼 国専用魔術兵器育成機関である学校と呼ばれる場所に通い、生まれながらに持っている魔法の力で人を殺すための訓練を受けている。ある日の朝、シーナと同室だった少女が戦争で亡くなったことを知らされるも、クラスメイトは何事もなかったかのように過ごしていた。以前から誰かの死を日常の一部のように扱うことに対し、ニーナは疑問を抱いていた。その日の夜、感傷に浸っていたシーナの前に、戦争帰りで血まみれの少女ミミが突然現れる。不死の秘密兵器と噂されるミミとの出会いは、不条理な死でありふれたニーナの世界を大きく変えて行くことになる。
余命が見える少年と余命カウントダウンが始まった少女のピュアなラブコメディ。主人公の太郎は、幼なじみのうみへの告白にようやく成功。恋人になれたと喜んでいたのも束の間、うみの寿命のカウントダウンが始まっていることに太郎は気づいてしまう。死ぬ運命を変えようと、ふたりは余命を延ばす方法を探し始める。
生き物の余命が見える高校2年生の太郎は、小学校から通算4回目の告白にして、ようやくうみと恋人になることができた。しかし、喜んでいた太郎の目に飛び込んできたのは、うみの目の前に表示される余命カウントダウンの数字。余命は見えるものの、太郎にはそのカウントダウンを阻止することはできない。現状に諦めかけていた太郎だが、うみの「一緒に考えよう!」の一言に背中を押され、彼女の運命を変えようと決心する。その直後、うみが「キュン」とときめくことで余命が延びることを発見。うみをキュンとさせる方法をあれこれ探るうちに、ふたりの距離は徐々に縮まっていくのであった。
40代のリアルを描いたオムニバスヒューマンドラマ。映画宣伝会社に勤める主人公の本奈多子(ほんなさわこ)は、同僚の梅木に手を焼きながら、多忙な日々を送っている。そんな中、部下の沢村美月に尋常じゃない汗の量を指摘され、40代になって表れた自分の体調の変化に不安を覚え始めていた。
42歳独身の多子は、映画宣伝会社「ガールフレンド」に勤めており、仕事に追われる毎日を過ごしている。その上、仕事のできない梅木に散々振り回され、ストレスが溜まる日々。ある日、多子の発汗の多さに対し、沢村から更年期に発症するホット・フラッシュではないかと告げられ、自分の体調の変化に敏感になっていく多子。そんなある日の夜、突然起こった心臓の動機と発汗、体の冷えから落ち着きを失い、死を身近に感じた多子は緊急搬送されてしまう。幸い、体調に異変はなかった多子だが、これをきっかけに徐々に死を意識し始めていくようになっていく。この他、多子と同年代の女性たちも登場し、人生の折返しを迎えた女性たちの生き方が真摯に描かれる。