新たな「くにづくり」を描いた漫画オススメ５選！76 Pt.

本作の日本は、震災や富士山噴火の大災害によって、国土の5分の1を失った。東京がほぼ水没し政府が機能しなくなったため、南日本をアメリカが、北日本を中国が管理している。東京周辺の関東地域には火山灰が降り注ぎ、作物が育たない「グレイ・エリア」となった。しかし、このグレイ・エリアの土壌を改良するバクテリア「不死鳥」が開発されたことで状況は一変。主人公の柳舷一郎たちは、海外の日本難民500万人を呼び、第三の国「グレイ・シティ」を建国するために立ち上がる。荒廃した土地を新たに開拓し、一つの国として再スタートさせていく。

主人公のななこは、ある日突然、妖精の国「ベルガモット」に拉致されてしまう。そして告げられた「われわれの独裁者になってほしい」という言葉。帰りたくとも呪いのせいで、ベルガモットから逃げられない。そんな勝手な妖精たちを相手に、ななこら人間の少女たちが指導者となって、土地を開墾し法律を整備、経済制度やインフラなどを整えていく。妖精たちは指示をすればきびきび動くが、加減がきかず少し目を離すとやりすぎてしまう。さらに妖精たちの元の国「アヴァロン」からは、嫌がらせの軍勢がしばしば送り込まれてくる。ほのぼのとした雰囲気の中で、「国を作り、維持していくことの大変さ」を感じられる作品だ。

父の孫堅と並び、呉の国の顔として日本でも名が知られている孫策。赤壁の戦いをはじめ、数々の戦でその知略を発揮した周瑜。本作はこの2人の出会いと友情をメインに、幼少期のオリジナルストーリーが展開されている。実直でまじめな周瑜は、出会った当初こそ孫策の奔放な性格に驚き呆れるが、後に2人は「断金（金を断つほどの強さのある）の交わり」と呼ばれる友情で結ばれていく。2人が、呉の国を発展をさせるために誓いを交わす、いわば前日譚が描かれている。ちなみに、「女顔」であることを気にしている周瑜が、そのことをからかわれるシーンがしばしば描かれるが、史実でも周瑜は容姿端麗な美男子であったと言われている。

孤児で下僕であった信は、その境遇から脱し「大将軍」になることを夢見る少年。幼馴染みの漂（ひょう）とともに、武術の修行をしていた。しかし、漂は、秦王政こと嬴政（えいせい）の影武者として命を落としてしまう。最初は政を恨んでいた信だが、戦いを通じて信頼関係を築いていく。徐々に武将として頭角を現していく信と、内外に数多くの敵を抱えながらも中国統一への道を邁進する政との、主従を超えた信頼関係も描かれている。なお、紀元前の歴史ゆえに実際の人物像の詳細は分からないものの、信をはじめその多くは史実に記されている人物たちだ。そこにオリジナルの登場人物を交えて壮大なストーリーが展開されている。

アキラたちが飛行機事故によって墜落したジャングルは、絶滅したはずの恐竜が跋扈する危険な島だった。それらの古代生物や、飢餓疫病によって次々と乗客たちは命を落としていく。極限状況下で人々が疑心暗鬼となり、ときに欲望に身を委ねて殺し合いにまで発展してしまう。さらに一部の大人たちは、子どもたちを奴隷とする国を作ろうと画策する。一方で皆が生き残るために、アキラはクラスメイトたちと「国づくり」を決意。全く異なる考えから作られた二つの国は、それぞれ異なる結末を迎えることになる。また、無人島だと思っていた島の謎が徐々に明かされていくところも見逃せない。