極限状況に追い詰められていく人々を描く漫画
40 Pt.

幸せ、あるいは退屈でも平穏な日常を過ごしていた人々が、突然の危険に晒される。平穏な日常が失われ、極限状態に追い詰められた人々のパニック、サバイバル、SF、デスゲームが繰り広げられる5作品をピックアップ。

本作の主人公・有栖良平は、将来に不安を抱え、現実から逃げたがっていた男子高校生だ。それゆえ有栖良平は、突然平穏な日常が失われ、目の前に現れた「荒廃した世界」が、「今際の国」と呼ばれる異世界だと気付いてからもはしゃいでいた。しかし有栖良平は、「今際の国」で生き延びるためには、夜な夜な開催される命がけの「げぇむ」に勝利し続けなければならないことを知る。「今際の国」は、「げぇむ」に負けても「げぇむ」への参加を拒んでも殺されてしまう、死と隣り合わせの極限状況の世界だったのだ。有栖良平は持ち前の鋭い洞察力と観察力を発揮し、悪意に満ちた数々の「げぇむ」を命がけでクリアしていく。手に汗握る展開が目白押しの名作だ。

両親を誰かに殺されたことで、主人公の男子高校生・市原海の毎日は緊張に満ちた極限状況だった。海が、ヒロイン・伊達凛奈や友人たちのお陰で平穏な日常を取り戻した頃、謎のアプリ「SLAVE GO」への招待状が届く。おもしろ半分で「SLAVE GO」をはじめた海だが、アプリ内で捕獲した人間が実際に行方不明になっていることを知り驚愕。さらに凛奈も行方不明であると聞き、不安を覚える。海は、凛奈の行方を知るという謎の人物・ウィルにより、地下都市「ソサエティ」に連行される。そして「ソサエティ」で行われている、「SLAVE GO」で捕獲した人間を駒として用いる命を賭けたゲームへの参加を強いられる。拒否する海だが、ゲームに勝ち続けなければ殺されること、凛奈が他のプレイヤーに捕獲されており、彼女を自由にするためには莫大な資金が必要なことを知る。海は凛奈を救い、平穏な日常を取り戻すために、様々なゲームに挑んでいく。

主人公・時任好子は、平穏な日常が失われる前から彼女にのみ見えていた「黒い雪」のようなものを、災厄の予兆と捉えていた。実は、叔父・正午は、時任好子よりも以前から厄災が起きることを感じていたため、マンションの42階に引きこもっていたのだ。巨大地震により起きた「黒い水」の津波は、時任好子たちのいるマンションの42階を残してすべてを飲み込んでしまう。時任好子たちは、生き残った人々と避難生活を送ることになる。なんと、すべてを飲み込んだ「黒い水」は「時間を可視化したもの」であり、時任好子たちは世界の謎を解くために奔走することになる。本作には極限状態でのサバイバルとSF的要素が満載で、様々な楽しみかたができる作品だ。

主人公・今野水希は、中学時代にクラスで孤立していたことが原因で、高校では自分を護るため、クラスの頂点に立つ姫澤さくらのグループに所属している。水希は、さくらが誰かに嫌がらせをする際に、次のターゲットにされたくない一心から手を貸していた。それゆえ水希は、さくらが執拗に嫌がらせをしていた盛重亜梨紗から恨まれている。また、水希は、自分が嫌がらせの対象となることを怖れない神矢知恵子のことを疎ましく思っていた。バス事故によりさくらが死亡したことで、水希の平穏な日常が失われる。武器を手にした亜梨紗は嫌がらせをしていた水希への復讐を目論んでくる。クールで正義感が強い知恵子はクラスメイトの死を目前にしても冷静に対処し、水希を圧倒する。5人の女子高校生たちは、極限状況の中でそれぞれの想いをぶつけあう。そして互いへの理解を深め、やがて和解していく。救助困難な山奥でのサバイバル生活の中で生まれる、人間同士の葛藤や緊迫感が魅力となる作品だ。

主人公・仙石アキラは、学校でたびたびイタズラを繰り返し、トラブルを引き起こしているお調子者。しかし、アキラは鋭い洞察力と行動力を持っている。謎の島で極限状況に陥りサバイバル生活をすることになった際には、仲間たちのリーダーとして頭角を現していく。本作には、自然の脅威や人間同士の抗争により極限状況に追い詰められていくエピソードが多い。人間の悪意や残酷さ、性的に過激なシーンも度々描かれている。極限状態に置かれた人々が、己の私利私欲から蛮行にでることも少なくない。そんな状況にあって、アキラは、己の身を賭して仲間を救おうとする。ヒロイン・赤神りおんをはじめ、作品に登場する多くの女性キャラクターがアキラに惹かれていくのも納得だ。