路頭に迷っていた女子高生が担任教師に拾われるエンゲージロマンス。主人公の高校生・梶文乃(かじふみの)は両親を亡くし、幼い弟と2人で親戚をたらい回しにされていた。そんな現状に嫌気が差し、弟を連れて家出をした文乃に救いの手を差し伸べたのが、文乃の担任であった尾白一馬(おじろあずま)である。精神的に余裕のなかった文乃の「同情するなら結婚して」という言葉を尾白が勢いで受け入れ、文乃は弟共々尾白と一緒に暮らすことになった。周囲には内緒のドタバタ新婚生活が今始まる。
両親を亡くし、親戚たちは当てにならない。けれど幼い弟を育てていかなくてはならない。切羽詰まっていた文乃は自分を気遣う尾白にもいらだち、結婚して自分と弟を養うよう怒鳴りつける。もちろん本気ではなくただの八つ当たりめいた言葉だったのだが、それにカチンときた尾白が同意してしまったからさあ大変。文乃は本当に尾白と結婚することになってしまった。文乃にとって、尾白との結婚は弟を養うための契約結婚であり、そこに恋愛感情はなかった。しかし尾白がのぞかせる優しさに徐々に惹かれていき、2人は本物の夫婦へと近づいていく。教師と生徒という禁断の関係ではあるものの重苦しさはなく、わくわくしながら読み進められるラブコメディ。文乃と尾白の近づきそうで近づかない焦れったい結婚生活を楽しもう。
偽装結婚から始まる恋を描いたラブバトル。主人公の羽田綾華(はねだあやか)は、ホテルブライダル課に勤務しているウエディングプランナーだ。綾華は類稀な美貌の持ち主で、彼女を前にした男は結婚式を目前に控えた新郎であっても骨抜きにされてしまう。結婚前のカップルを破局に追い込んできたため、綾華は周囲から悪女と呼ばれていた。そんな綾華の前に現れたのが、ホテルのイケメン支配人である新田東郷(にったとうごう)だ。ホテルの利益を上げたい東郷は綾華に目をつけ、彼女に驚くべき提案をする。
綾華はその美貌で数々のトラブルを起こしてきた。クビにならないのは、綾華に騙される男性社員たちがいたからだ。しかし東郷に色目は通用しない。自分をクビにしようとする東郷に対し、綾華はぶりっ子の仮面を脱ぎ捨てて応戦。そんな綾華に、東郷は結婚を申し込んできた。東郷は親から見合いを勧められていたのだが、親が選んだ相手と結婚したら、親の手前相手に気を遣わなくてはいけない。その点、綾華のような悪女が相手であれば、自分が気を遣う必要はない。しかも綾華の容姿はビジネス面で利用価値があった。東郷は綾華と偽装結婚をし、幸せな夫婦を演じることでホテルの広告塔になろうと考えたのだ。美貌の悪女と傲慢な王様。偽りの結婚生活と同時に、2人のラブバトルが幕を開ける。
契約結婚から始まる恋と様々な社会問題を描いたラブコメディ。就職難で派遣社員となり、さらに派遣切りに遭って無職になってしまった森山みくり。彼女は家事代行サービスとして父の元部下である津崎平匡(ひらまさ)の家へ週1で通うことになった。毎日家事をしてくれる人を求めている平匡と、安定的な収入が欲しいみくり。利害が一致した2人は制度的なメリットを考えた結果、契約結婚をして一緒に暮らすことになる。2016年にドラマ化。
週1で平匡の家に通い、家事をこなすことを楽しんでいたみくり。しかしそんなみくりに、家事代行サービスが続けられなくなる危機が訪れる。みくりの両親が田舎に引っ越すことになり、無職で実家暮らしだったみくりはそれについて行かざるを得なくなったのだ。しかしみくりはできれば今の生活を続けたいと考えていた。そこで彼女が平匡に提案したのが、契約結婚だ。みくりは平匡の元に「就職」し、住み込みで家事を行う。平匡は雇用主として彼女に住む場所を提供し、給料を支払うのである。ただの同居ではなく夫婦であれば、保険や手当などの面で得だった。平匡はみくりの案を承諾。2人は雇用主と従業員として契約結婚生活をスタートさせることになる。
ドS御曹司と借金持ちOLが繰り広げる奇想天外なウェディングストーリー。小鳥遊千和(たかなしちわ)は父親の借金を返済するため、昼間はOL、夜はホステスとして働いている。そんな彼女に、借金返済のチャンスが訪れた。千和が勤める会社の会長が、千和の祖母に恩があるということで、自分の孫と結婚するなら借金を肩代わりしてくれるというのだ。その孫とは、千和の会社の社長である間宮北斗(まみやほくと)。しかし北斗は性格の悪いドSだった。2016年にドラマ化。
千和の祖母は旧華族の出身で、彼女の家に使用人として仕えていたのが、千和の会社の会長だった。戦後、大変な時期にもかかわらず千和の祖母は会長を気にかけてくれていたのだという。会長は、自分が会社を興せたのは千和の祖母のおかげであるとし、感謝の念を抱いていた。恩返しに孫の千和を不遇な立場から救いたいと申し出る会長。しかしその条件として、彼は千和に自分の孫である北斗との結婚を提示した。会長は恩義ある小鳥遊の血をどうしても迎え入れたかったのだ。驚愕する千和を尻目に、何故か結婚に乗り気な北斗。実は彼にもある目的があり、そのために千和との結婚は必要不可欠だった。2人は互いの目的のために契約結婚をするのだが、徐々に心から惹かれ合い本物の夫婦になっていく。
優れた審美眼を持つ少女とプレイボーイな公爵の恋を描いた大正アンティーク・ロマンス。舞台は大正83年。父の形見を取り戻したい一心でとある屋敷を訪れた少女・滝川明(めい)は、屋敷の主であるランスウォル公爵と出会う。明は父の形見を譲ってもらう代わりに、公爵が日本に滞在している間、彼の花嫁として過ごすことになった。明の審美眼が巻き起こす様々なトラブルに見舞われながら、2人は徐々にその距離を縮め、真のパートナーへと成長していく。
ランスウォル公爵は日本に滞在している期間中、一緒にパーティーに出席してくれるパートナーを探していた。しかしパートナーの意味がよくわからなかった明は、立派な花嫁になれば父の形見であるブローチを譲ってもらえると解釈。ランスウォル公爵邸に住み、公爵の花嫁として奮闘することになる。最初はからかい半分に明を花嫁扱いしていた公爵だが、明の審美眼がきっかけで巻き起こる数々の事件をともに乗り越えていくうちに、明に恋愛感情を抱くようになった。明も、天涯孤独であった寂しさを埋めてくれる公爵に想いを寄せるようになる。公爵が日本を離れる日が来た時、偽りの花嫁である明はどうなってしまうのか。身分違いの恋にときめきが止まらない、ロマンチックな作品だ。