時は西暦1271年。源 頼朝の直系が途絶え、京から新王将軍を迎え、北条氏が執権政治を確立していた時代。文永8年 元日。年始を祝う新年の儀式で大臣格の娘二条は、本日から女官として初めて出席をした。西園寺 実兼(さいおんじ さねかね)という恋仲もおり、裳着(当時の成人の儀式)が終わり女房になった後は結婚をすると約束をしていた。しかし、その新年の儀式にて後深草院が父である大納言に酒をたくさん飲ませ、「この春からは「たのむの雁」も我が方にな」と伊勢物語の歌を伝えた。はっとする大納言__。周りで後深草院と二条の新枕(初夜)を仕組んでいたのであった。哀しみに打ち拉がれ、泣く二条に後深草院は手出しする事はできなかった……。