田中芳樹による同名ファンタジー小説を、『鋼の錬金術師』で知られる漫画家・荒川弘が描いたコミカライズ作品。主人公は大国であるパルス王国の王太子アルスラーン。気弱で少々頼りない彼も14歳になり、侵攻してきたルシタニア王国を迎え撃つ戦いで初陣を迎えることとなった。勝利を確信していたパルス軍であったが、予想外の罠と裏切りによって敗北。国を追われたアルスラーンは仲間を集め、王都の奪還を目指す。2015年4月にテレビアニメ化された。
戦に大敗し、国を追われたアルスラーン。逃げる彼が頼りにできるのは、いつも自分を支えてくれる忠臣ダリューンだけだった。いくらダリューンがパルス国屈指の強さを誇る武将だとしても、アルスラーンとダリューンだけでは奪われた国を取り戻せない。アルスラーンはダリューンの進言で彼の友人であるナルサスを訪ね、智略に長けたナルサスを軍師として味方に引き入れる。それを皮切りに、アルスラーンのもとには彼の人柄に惹かれた優秀な仲間たちが集い始めた。本作の魅力は、政治や戦略が絡む壮大なストーリーと、アルスラーンが仲間たちと苦難を乗り越えることで成長していく姿にある。物語が進むごとに逞しくなっていくアルスラーンと仲間たちの活躍から目が離せない。
作家・上橋菜穂子による同名ファンタジー小説シリーズのコミカライズ作品。主人公は女用心棒・短槍使いのバルサ。彼女は旅の途中、川に流された新ヨゴ皇国の第2皇子チャグムを救出する。チャグムの体には異世界(ナユグ)の水の精霊の卵が宿っており、そのせいで彼は父親から命を狙われていた。チャグムの母であるニノ妃からチャグムの護衛を依頼されたバルサは、チャグムを守り切ることを決意。バルサの命を懸けた戦いが始まる。
この世界には人間の世界(サグ)と、不可視の精霊の世界(ナユグ)があり、2つの世界は同じ時間・場所に重なる形で存在している。ナユグを見ることができるのは基本的に呪術師だけ。しかし稀に子供の目にはナユグが映ることがある。11歳の皇子チャグムも、たまにナユグを見ることができた。そんな彼の体に水妖が宿ったことをきっかけに、物語は動き出す。新ヨゴ皇国は、初代皇帝の水妖退治の伝説が残る国。その国の皇子が水妖に宿られては、国の威信が揺らぐ。父帝はチャグムを殺すことを決め、息子に刺客を差し向けるようになった。チャグムが川に流されたのも、刺客による攻撃が原因だった。バルサはチャグムを危険から守り切ることができるのか。その結末を見届けよう。
超人たちの激しい戦いを描いた、プロレス系格闘漫画。地球には、人間を超越した力を持つ「超人」と呼ばれる存在がいた。日本に住む主人公のキン肉マンことキン肉スグルも、そんな超人の1人。彼はドジで抜けたところがあり、超人ではあるものの落ちこぼれとして馬鹿にされていた。しかし数々の仲間たちと出会って切磋琢磨し、強敵との戦いを乗り越えていくことで、徐々にその才能を開花させ、周囲から認められていく。1983年にテレビアニメ化された。
主人公のキン肉マンことキン肉スグルは、当初は地球の日本出身超人だと思われていた。しかし後に、地球から500億光年離れた場所にあるキン肉星から使者としてやってきた少年・ミートによって驚くべき事実が明らかになる。キン肉マンは、キン肉星第57代大王の息子、つまり王子だったのだ。キン肉星に住むキン肉族は、数多いる超人の中でも最高の勢力を誇っている。長男が家出したため、次男でありながら王位継承権の保有者となったキン肉マンだったが、彼は誤って地球に捨てられ、地球で生きていくことを余儀なくされた。エリート超人一家に生まれながら不遇な境遇に陥ったキン肉マンが、どのようにそれを乗り越え、誰もが認めるヒーローとして大成するのかが見所の1つだ。
王都を追われた王女の命懸けの冒険を描いた、大河ファンタジー漫画。主人公のヨナは、高華王国の王女。彼女は優しい父王と護衛のハク、従兄のスウォンたちと共に幸せな日々を過ごしていた。しかしヨナが16歳になった日、スウォンの謀反によって父王が死亡。自らも命を狙われたヨナは、ハクに連れられて王都から逃げ出すことになる。自らの無知と無力を悔いたヨナは強くなって生き抜くことを決意。彼女の果てしない冒険の旅が始まった。2014年10月にテレビアニメ化。
16歳の誕生日を迎えるまで、ヨナは何不自由なく暮らしてきたか弱い姫だった。悩みといえばこの世界では珍しい赤い髪と、幼なじみであり従兄であるスウォンへの恋心くらい。しかし想い人・スウォンの裏切りによって、彼女の幸せな日々は唐突に終わる。全てを失ったヨナはハクに助けられ、初めて外の世界に飛び出すことになった。そこは、甘やかされて育った姫君には過酷な世界だ。しかしヨナは守られるだけだった自分と決別し、自らも戦うことを決意。ハクと共に仲間を集め、国のためにできることを模索する。注目すべきは、旅を通して描かれるヨナの精神的な成長と、ハクとの恋模様だ。国を追われた姫が世界を知り、仲間との絆を知り、真実の愛を知る物語は、読者の胸を熱くするだろう。
主人公・龍の破天荒な人生を描いた冒険・歴史漫画。1928年、昭和初期の京都。主人公の押小路龍は、京都の財閥・押小路男爵家の跡取りとして生まれた。しかし経営に興味のない龍は、家を継ぐことを拒否。剣の腕を極めて生きていこうと、武道専門学校、通称「武専」に入学する。尊敬する師との出会いや、仲間たちとの切磋琢磨、幼なじみの舞妓や女中との恋を通して人間的に成長した龍は、やがて実業家としての道を歩み始める。
本作は、押小路龍という1人の人間の人生を通して、当時の日本の動向や満州国の建国と崩壊などを描いた、壮大な歴史漫画だ。財閥の跡取りという恵まれた環境に生まれながらそれを良しとせず、自らの剣の腕だけで生きていこうと家を出た龍。後に実業家となった彼は、世界恐慌をきっかけに始まった激動の時代を、日本という国を背負って生きていくことになる。本作には、実在した歴史上の人物を含めた様々なキャラクターが登場する。後に名を残す偉人もそうでない者もそれぞれの正義や思想を持っており、であるがゆえに独自の美学を持っている龍とぶつかる。そのぶつかり合いこそが本作の大きな魅力の1つだろう。龍が、国が、ぶつかり合いの果てにどこに向かっていくのかに注目だ。