現代の広島県の神社を舞台に繰り広げられる人間と怪異の戦いを描く、ラブコメ伝奇漫画。主人公・天津忠尋は、母の置き手紙に従い、広島県三次市に引っ越してくる。彼の転居先は、叔母・稗田御幸が宮司で従姉妹の三姉妹が巫女を務める稲生神社。そんな忠尋は駅に到着早々、不可思議な存在による襲撃を受ける。それを撃退したのは、従姉妹の三姉妹だった。その日を境に、史尋は熾烈な戦いに巻きこまれることとなる。2002年7月 にテレビアニメ化。
本作の舞台は、稲生神社。物語と同じく広島県には稲生神社があり、豊受大神、大國主命、そして稲生武太夫公が祀られている。このうち稲生武太夫公は、江戸中期実在の人物。彼は妖怪にまつわる怪異を体験し、その顛末を「稲生物怪録」として記録している。時代設定は現代だが、物語はこの「稲生物怪録」がベースとなっている。作中の稲生神社では、代々女性が宮司を務めるのが習わしで現在の宮司は、主人公・天津忠尋の叔母・稗田御幸である。彼女は高位の陰陽師でもあり、怪異との戦いのエキスパート。彼女の娘で巫女を務める倉子・柚子・珠の三姉妹も同様である。物語は、史尋が怪異に襲われる謎を紐解きながら展開。やがて彼を中心とする騒動は、日本中を巻きこむ規模に拡大していく。
新米神主と巫女少女の恋愛模様を、神職の実態を交えながら描いたユニークなラブコメディ漫画。主人公・里見信二郎は、神社の宮司の次男坊。彼は大学の神道学科を卒業した後、舞の講師をしていたが、跡取りになるはずだった長男が突然失踪。急遽神職になるための修行が必要となり、神下神社に出仕として奉職することとなる。そこで信二郎は、バイトで巫女を務めるちょっと不思議な15歳の少女・真鍋千穂と出逢う。
本作の舞台となる神下神社は、長寿だったとされる天裏佐古彦尊と長多姫命を祀る神社。無病息災と延命長寿、厄除けといった御利益がある。神社も祀神も架空のものだが、作者自身が神職経験者ということもあり、神社の設定の説得力は抜群だ。神職の身分による服装の違いから、祭祀の進行に至るまで細かく解説された内容は中々に興味深い。また、元ヤンキーでタバコが手放せない巫女長、神社をアミューズメントとして捉え、シビアに収益やノルマを計算するビジネスライクな権宮司など、神社に勤める人々の人間くさい側面を浮き彫りにしている点も見逃せない。
学生と神社の巫女、二足のわらじを履く少女の日常を描くドタバタ・コメディ4コマ漫画。主人公・安倍晴風は、高校に通う傍ら実家が営む平明神社で巫女を務める少女である。商魂逞しい神主の祖父・定明。娘を溺愛する婿養子で跡取りの父・広。元巫女の中学教師で一家のツッコミ役の母・晴美。そして女装趣味で巫女に扮することが多い会社員の兄・清明。個性豊かと言うよりは、少々アクの強い家族に囲まれた晴風の日常は、明るい喧噪に満ちている。
本作の舞台、平明神社は。祀られている神は定かではないが、平安時代から続く由緒正しい神社という設定。しかし、ネオンの看板を掲げるなど、その佇まいは少々胡散臭い。主人公・安倍晴風の祖父、神主の定明が陰陽師を兼務しているのも怪しさに拍車をかけている。ただし祖父の占いは当たると有名で、ネットで話題に上がるほど。祖父は商売っ気が強く、心酔する父はそれを止めない。加えて兄・清明は女装趣味で、本物の巫女である主人公以上に美しい。色々と問題の多い家族である。そのため晴風は、実家が神社であることを学校では隠していた。しかし、神社一家が巻き起こす騒動は隠しきれるわけがなく、徐々に拡大していくことになる。
中学生の少女が戦国時代にタイムスリップし、強力な宝玉を巡る争いに巻きこまれていく様子を描く、伝奇バトル・ファンタジー漫画。事の起こりは戦国時代、あらゆる願いを叶える宝玉・四魂の玉を巡り、妖怪と人間が激しい争いを繰り広げていた。それから500年後の現代、神社の娘・日暮かごめは、境内の古井戸から戦国時代にタイムスリップ。この日を境に、かごめの運命は大きく動き出す。
本作の舞台は日暮神社。長い歴史があり、境内には樹齢500年の御神木や曰くありげな隠し井戸などが存在する。主人公・日暮かごめは、異形の妖怪によって井戸に引きずり込まれ、戦国時代にタイムスリップしてしまう。そこで目にしたのは、御神木に矢で打ち付けられた半妖・犬夜叉の姿だった。かごめは、自分が犬夜叉を封印した巫女・桔梗の生まれ変わりであり、体内に禍根の元となった宝玉・四魂の玉を秘めていることを知る。あらゆる願いを叶える四魂の玉は、かごめの体内から出た後、事故で砕けて日本中に散逸してしまう。かくしてかごめと犬夜叉は、四魂の玉の欠片を集める旅に出ることになるのだった。
奈良を舞台に、神社・お寺・教会、それぞれの跡取り息子3人を中心とするドタバタな日常を描く、脱力系コメディ漫画。神社の跡取りだが霊感ゼロで女運が悪い相澤恭太郎。お寺の跡取りなのに幽霊や怪談の類が極端に苦手な伊波孝仁。教会の跡取りにも関わらずオカルトやホラー映画が大好きでノリの軽い綾本工。彼らは、それぞれの悩みを分かち合いつつ、普通の人々とはちょっと異なる日々を過ごしていく。
本作は神社のみならず、お寺や教会までもが舞台となる、宗教ハイブリッドな漫画作品である。舞台のひとつとなる永室神社は、布留御魂大神を主祭神として祀っており、長寿延命・病気平癒の御利益がある。奈良の山の麓にあるため、境内を鹿が闊歩する独特の雰囲気を持つ神社だ。主人公のひとりである相澤恭太郎の父が宮司、母が巫女、そして叔父が禰宜を務める典型的な家族経営。跡取りである恭太郎自身も神職だが、まだ御朱印もまともに書けない半人前である。恭太郎を含めて宗教関係者の跡取り3人を中心に物語が展開していく。神社、お寺、教会それぞれの実情を絡めながらの騒動は、興味深い上に実にユーモラスだ。