超巨大財閥の御曹司が学友たちとともに繰り広げる、破茶滅茶で下品な日々を描いたギャグ漫画。田園調布学園は、良家の子息や令嬢が通っている超名門校だ。ある日この学園に、世界中に影響力を持つ大財閥・御坊(おぼう)コンツェルンの御曹司、御坊茶魔(ちゃま)が転校してきた。おぼっちゃまくんは甘やかされて育ったせいか、とても我儘で下品。彼は学友やライバルたちを自分のペースに巻き込み、次々と騒動を起こしていく。1989年にテレビアニメ化された。
本作の主人公である御坊茶魔は、アメリカの大統領にも影響を与えるほどの強大な権力を持った大財閥の跡取り息子である。月々の小遣いは1500万円。誘拐された時のために身体のいたるところに宝石を仕込んでおり、「歩く身代金」とも言われる彼の言動は、とても上流階級の人間とは思えない。下品な下ネタを連発し「茶魔語」と呼ばれる独特な言い回しをする彼は、子供に悪影響を及ぼすとしてPTAから厳しい視線を向けられる存在だった。それでもおぼっちゃまくんが多くの人から愛されているのは、どうしても憎みきれない愛嬌があるからだ。「茶魔語」も下品ではあるのだが、慣れてしまうと癖になってくる。おぼっちゃまくんの抗いがたい不思議な魅力を、ぜひ漫画で実感してほしい。
数学教師の坊っちゃんが赴任した四国の中学校で騒動を巻き起こす、文学作品の漫画化。坊っちゃんは正義感が強く無鉄砲な新任教師。東京の物理学校を卒業したばかりの彼は、四国の旧制中学校に数学を教える教師として赴任した。坊っちゃんは、古い慣習を守るために卑怯な手段を取る教頭らと出会い、持ち前の正義感で彼らに立ち向かっていく。明治時代に生まれた夏目漱石の名作「坊っちゃん」が、手に取りやすい漫画として生まれ変わった。
坊っちゃんは、正義感が強く血気盛んで、自分が正しいと思った道を突き進むのに躊躇いがない。しかし社会は、どんなに正しいことでも通用しないことがあるという理不尽さで溢れている。赴任してすぐ、坊っちゃんは生徒や寄宿生たちから嫌がらせを受けるのだが、教頭の赤シャツや同僚たちは、それを坊っちゃんに責任転嫁してなかったことにしようとした。これに反発したのは、数学の主任教師である山嵐だ。坊っちゃんと山嵐は当初こそ仲違いしたものの、後に意気投合。共に赤シャツや彼の取り巻きである教師を懲らしめることになる。相手が上司であっても間違いを真っ向から指摘し、自身が正しいと思うことを貫き通す。坊っちゃんの姿は、社会の理不尽さを知る読者に勇気を与えてくれる。
死神と呼ばれる主人と逆セクハラメイドが織りなす、純愛ショートコメディ漫画。触れたものの命を奪うという呪いをかけられた貴族の坊ちゃん。他人どころか家族からも拒絶された彼には、アリスというメイドが仕えていた。アリスはちょっとエッチで悪戯好き。日々逆セクハラを仕掛けては、坊ちゃんを困らせている。アリスに気がある坊ちゃんは、毎日ドキドキし通しだ。果たして坊ちゃんの恋は成就するのか。手すら繋げない主人とメイドの恋物語が幕を開ける。
とある貴族の家に生まれた坊ちゃんは5歳の時、魔女に呪いをかけられた。触れた生き物の命を奪う、という呪いである。我が子の力を恐れた両親は、坊ちゃんに人気のない森の中にある旧邸を与え、彼を見放した。以来、坊ちゃんは孤独と絶望を抱いてひっそりと暮らしてきた。そんな彼に寄り添う貴重な存在が、メイドのアリスである。アリスは日々坊ちゃんに逆セクハラを仕掛けからかってくるが、そのおかげで坊ちゃんは本当の意味での孤独にはなっていなかった。アリスに恋心を抱く坊ちゃんは、いつか自分の手で彼女の薬指に指輪を嵌めることを夢に見て、今日も寂しい人生を生きている。心は近くにあるのに、触れることが叶わない2人の純愛にキュンとなる作品だ。
アンドロイドの少女・則巻アラレが巻き起こす破茶滅茶な日々を描いた、鳥山明の傑作ギャグ漫画。則巻千兵衛(のりまきせんべえ)は、ペンギン村に住む発明家。ある日彼は、女の子型のアンドロイドを生み出すことに成功した。則巻アラレと名付けられたアンドロイドは、ペンギン村を舞台に様々な人を巻き込み、たくさんの騒動を巻き起こしていく。1981年に「Dr.スランプ アラレちゃん」としてテレビアニメ化、1997年には「ドクタースランプ」としてテレビアニメ化された。
『Dr.スランプ』には、主人公である則巻アラレを筆頭に数々の個性的なキャラクターが登場する。今回紹介するのは、アラレの構造をコピーして作られたアンドロイド「オボッチャマン」だ。オボッチャマンは則巻千兵衛をライバル視するマッドサイエンティスト、Dr.マシリトによって生み出された。マシリトの影響でアラレたちを敵と見なして登場したのだが、アラレに一目惚れ。生みの親であるマシリトに反旗を翻すことになり、やがてペンギン村の一員となった。エキセントリックな言動が目立つアラレと違い、オボッチャマンは常識人。規格外のパワーで暴れるアラレを宥めるオボッチャマンの活躍にも注目しながら、『Dr.スランプ』の世界を楽しもう。
夏目漱石の名作「坊っちゃん」を大胆にアレンジしたコミカライズ作品。主人公の坊っちゃんはちゃきちゃきの江戸っ子。あまりにお転婆すぎるために、女でありながら坊っちゃんというあだ名がつけられた。そんな坊っちゃんは両親の死後、教師となって四国の学校に赴任した。彼女はそこで陰湿ないじめを行う生徒、保守的な教頭・赤シャツ、正義感の強い教師・山嵐など、個性豊かな面々と出会い、彼らに囲まれながら教師として生活を送ることになる。
本作は、夏目漱石の名作「坊っちゃん」を原作としているが、大幅なアレンジが加えられている。主人公の坊っちゃんが女性なのだ。女性の坊っちゃんは、原作の坊っちゃんよりも気が強く破天荒である。気に入らない兄には組み技をかけ、赴任先で知り合った教師・山嵐とは骨が折れるほど殴り合う。しかし主人公が女になっているからといって、原作からかけ離れているかというと、そうではない。キャラクターの性別が変わっていたり、個性がより強調されたりしているだけで、物語の流れは概ね原作通りだ。とっつきにくい印象の文学作品が、清々しい性格の女性版坊っちゃんのおかげでより痛快な物語に仕上がっている。ぜひ彼女の奮闘の日々を、自身の目で確認してほしい。