世界観
本作『tactics 新説』は、西洋文化が浸透しつつあり、人間と妖怪の世界が身近だった明治時代後期の東京を舞台にしている。力の強い妖怪は「珠(ぎょく)」と呼ばれるモノを持つとされており、春華の体内にある珠の能力が「不老不死」であることから、源頼光らは御上に春華の珠を捧げようとしている。また、頼光らの謀略により一ノ宮勘太郎と春華は一度引き離されており、そのあいだに互いに重大な変化が起こるなど、前作である木下さくらと東山和子の『tactics』の設定がそのまま踏襲されている。
あらすじ
源頼光と近衛篤範の謀略によって引き離されていた一ノ宮勘太郎と春華はようやく再会を果たす。ヨーコも二人を喜んで出迎えるが、春華は勘太郎を前にすると食欲が湧くことに気づき、勘太郎を避けるようになっていた。また、頼光は勘太郎がなんらかの事情で鬼化しているのではないかと気づき、春華が勘太郎を食べることで春華の中にある珠(ぎょく)がより強力になるのではないかと考えて、春華が勘太郎と決別するよう仕向ける。
登場人物・キャラクター
一ノ宮 勘太郎 (いちのみや かんたろう)
妖怪退治師の男性。白い短髪で白衣に赤い掛衿、赤い袴(はかま)を身につけている。表向きは民俗学者を生業としているが、生活費は妖怪退治師としての報酬でまかなっている。子供の頃から霊力が強かったため、妖怪を友人だと考えている。妖怪の存在に悩む人間や、妖怪自らの悩みを聞くことで事件解決に導くが、運命を信じるあまり、エゴイスティックな一面を見せることがある。母親を食らった鬼の祖、第六天魔王を体内に封印していたが、現在は第六天魔王と心身共に融合しており、人間ではなくなっている。
春華 (はるか)
天狗の男性。黒い翼を出すことができる。黒髪ロングヘアで、黒いスーツを着ている。「鬼喰い天狗」という伝説にもなっており、あまりの強さのために長いあいだ封印されていたが、一ノ宮勘太郎によって封印を解かれ、主従契約を結んだ。源頼光によって勘太郎と引き離されていたが、勘太郎の言いつけを破って鬼を食ったことに罪悪感を抱いている。
ヨーコ
一ノ宮勘太郎に仕える妖狐の少女。おかっぱ頭の黒髪で、振り袖を身につけている。勘太郎がつねに金欠状態であるため家計を案じて、自らカフェでウェイトレスとしてアルバイトをしている。勘太郎の収入が少ない時には、カフェのまかないを大量に持ち帰ることで急場を凌(しの)ぐなど、勘太郎にとってなくてはならない存在である。
スギノ
天狗の男性。白い翼を出すことができる。腰まである長い黒髪に、白い打ち掛けのような着物を身につけている。春華とは旧知の仲で、一ノ宮勘太郎とも親しくしているが、基本的には人間を信用しておらず、春華の身を案じている。妻のむーちゃんを溺愛しており、萌え過ぎるあまりしばしば涙を流すこともある。
むーちゃん
正体不明の妖怪。大きな丸い頭に体は丸くて柔らかく、ぬいぐるみのような姿をしている。スギノの妻だが、性別は不明で言葉もしゃべらないが、スギノにだけは言葉が通じている様子。情に厚く、親友の妖怪が行方不明になった際には非常に心配していた。
源 頼光 (みなもと らいこう)
大日本帝国陸軍に所属している少年。年齢は18歳で、階級は少将。黒髪短髪で、軍服を身につけている。国家公認の退魔師、源家の当主であり、近衛師団呪術第一連隊の隊長を務めている。春華の封印を解いた一ノ宮勘太郎に因縁を感じている。
近衛 篤範 (このえ あつのり)
大日本帝国陸軍に所属している男性。階級は大将。前髪の長い茶髪を真ん中分けにして、軍服を身につけている。源頼光の上司だが、呪術が使えないために頼光とは折り合いが悪い。大陸の聖獣である白澤に関係する品物を集めており、特に「白澤図」を探し求めている。
前作
tactics (たくてぃす)
明治時代を背景に、表向きは民俗学者、裏の仕事は妖怪退治を業とする一ノ宮勘太郎が、鬼切り天狗と呼ばれた春華と共にさまざまな妖怪と相対していくアクションファンタジー。妖怪を退治するだけではなく、話をして問... 関連ページ:tactics