概要・あらすじ
雨が降っていたある日、藤井亮太郎はびしょ濡れの女性と出会って一目惚れする。その女性は自分が通う学校の教師で、部活の顧問の三木千里だった。三木が岡田と不倫していることを知っている亮太郎は、三木に告白できず、遠くから眺める毎日を送っていた。そんな亮太郎を同じような想いで見つめる、血の繋がらない妹の藤井結子。
結子は亮太郎のために、三木に岡田と別れるようにお願いしたことをきっかけにして、亮太郎の周囲の人たちの気持ちが揺れ動く。
登場人物・キャラクター
藤井 亮太郎 (ふじい りょうたろう)
北星高等学校に通う1年生の男子。手芸部の部長を務めている。妹の藤井結子から「亮」と呼ばれている。おとなしく穏やかな性格で、女性関係には疎い。ある日、雨の中で出会ったずぶ濡れの女性に一目惚れする。その女性が自分が通う学校の教師で、手芸部顧問の三木千里だと知った後は、三木を見るたびに胸がざわついている。しかしあるきっかけで、三木が岡田と不倫関係であることを知ってしまう。 それでも三木のことが忘れられず、三木の気持ちが自分に向くまで想い続けようと決意する。
三木 千里 (みき ちさと)
北星高等学校に勤める女性教師。担当教科は現代文で、藤井亮太郎のクラスの副担任と手芸部の顧問も務めている。冷静沈着な性格で冷たい印象を受けるが、生徒想いの優しい先生。北星高等学校の卒業生でもあり、在学中には手芸部に所属していた。その時の顧問だった岡田と長期間不倫している。藤井結子から涙を流しながら、亮太郎のために岡田との不倫をやめて欲しい、と言われて気持ちが揺れる。
藤井 結子 (ふじい ゆいこ)
北星高等学校に通う1年生の女子。手芸部に所属し、バスケットボール部のマネージャーも兼任している。藤井亮太郎の妹。父親が連れ子がいる同士で再婚したため、亮太郎とは血は繋がっていない。亮太郎のことを兄ではなく1人の男性として想いを寄せているが、亮太郎は三木千里に魅せられているため、自分の想いを伝えられずにいる。
田村 マチコ (たむら まちこ)
北星高等学校に通う1年生の女子。手芸部に所属している。藤井結子のクラスメイトで、なんでも相談できる親友でもある。「マッチ」というあだ名で呼ばれている。幼なじみの広瀬カオルからは、ぽっちゃりした体型をからかわれて、「デブ」と呼ばれることもある。藤井亮太郎との関係で悩む結子に対し、他人に好きな人を幸せにしてもらうのではなく、自分が好きな人を幸せにすべきだとアドバイスし、後押しする。
山本 アツヤ (やまもと あつや)
北星高等学校に通う1年生の男子。手芸部とバスケットボール部に所属している。藤井結子のクラスメイトで、結子とは小さい頃からの顔見知り。結子に想い寄せているが、結子は藤井亮太郎が好きなため、自分の気持ちを隠したまま、結子と友達付き合いをしている。
広瀬 カオル (ひろせ かおる)
北星高等学校に通う2年生の男子。手芸部に所属している。幼なじみの田村マチコとは口喧嘩することが多い。手芸部には仕方がなく顔を出している、という態度を取っているが、文化祭やコンテストの準備では、ものすごいやる気を出す。
岡田 (おかだ)
手芸店「手芸の岡田」で店長を務める男性。北星高等学校手芸部がよく利用する店。元北星高等学校の教師で、手芸部の顧問も務めていた。その時の教え子が三木千里。いつも独りだった三木を手芸部に誘ったことをきっかけに、三木から好意を寄せられる。その後、三木が教育実習生として北星高等学校に来た際に、結婚して教師を辞めることを告げる。 しかし、三木から告白され、そのまま現在まで不倫を続けている。三木が藤井亮太郎の真っすぐな気持ちに揺れ動いているのを感じると、「妻と別れるから結婚しよう」と言葉巧みに騙したり、亮太郎には、三木と付き合った時のリスクについて脅すように伝えた。
絢子 (あやこ)
岡田の妻。岡田とは大学時代からの付き合いで、結婚するまでに別れと復縁を何度も繰り返している。岡田が三木千里と不倫していることを知っているが、プライドが高くて自分から別れ話を切り出せずにいる。今も岡田への愛情があるため、仮面夫婦のような状態を続けている。
ゆず
北星高等学校に通う女子生徒。藤井亮太郎のクラスメイト。亮太郎と三木千里が手をつないでいる写真を撮り、それを脅迫の材料にして亮太郎に交際を迫る。しかし亮太郎に断られたため、嫌がらせで写真をSNSで公開した。