概要・あらすじ
小学3年生の三上千春の家はお弁当屋さん。お母さんが店長をしていて、パートさんと働いている。お父さんは単身赴任で家にはいない。学校から帰ると店にいるお母さんからおやつをもらって二階へ上がり、少し宙に浮いているお兄ちゃんに「ただいま」を言う。お兄ちゃんは千春が生まれる前に死んでしまったが、千春に会うために現世に残り、赤ちゃんの頃から千春の成長を見守っている。お兄ちゃんの姿は千春だけに見えて、話もできる。そのことはお母さんにも、ほかの誰にも内緒にしている。それはお兄ちゃんがお母さんたちときちんとお別れしたことと、千春が変人だと思われないようにというお兄ちゃんの気遣いだった。千春が帰宅すると、テレビ好きのお兄ちゃんのためにテレビを付けてあげるのが千春の日課だ。そしてお兄ちゃんは千春の勉強を見たり、学校での様子を聞いたりする。今の千春の悩みは給食で高橋君に「まずそうに飯を食う」と言われ、笑われたこと。遠足でお母さんのお弁当を食べている時にそんなことを言われたら嫌だから「遠足に行きたくない」と千春は言う。お兄ちゃんは「甘えるな」とか「お前はそもそも眉毛が下がっていて変な顔なんだ」などと言い、テープで眉をあげておいしい顔を作るように千春に特訓をさせた。二階へ上がってきたお母さんが千春の顔を見て驚き、学校での出来事を話すと「千春は固いものを食べると眉間にシワがよるクセがある」と教えてくれ、弁当に固いものを入れないということで問題はすぐに解決した。千春はお兄ちゃんをキッとにらみめつけ、お兄ちゃんもあとから「特訓が無駄になったな」と千春にあやまった。こうして仲のよい千春と幽霊のお兄ちゃんとの騒がしい一日が終わるのだった。
登場人物・キャラクター
三上 千春 (みかみ ちはる)
小学3年生の女の子。前髪が短くふんわりとしたおかっぱで、しもぶくれで眉が下がっているのが特徴。幽霊になったお兄ちゃんの姿が見え、話すこともできる。赤ちゃんの頃から自分を見守ってくれていたお兄ちゃんとはなかよしで、お兄ちゃんの言うことをよく聞く素直な妹。お母さんが店長をしているお弁当屋さんの二階に住む。お父さんは単身赴任をしており、放課後は二階でお兄ちゃんと過ごす。運動が苦手で飽きっぽいのんびりやさん。
お兄ちゃん (おにいちゃん)
三上千春の兄。5歳の時、千春が生まれる前に死んでしまったが、千春のお兄ちゃんになるという思いが強く、幽霊になって現世にとどまっている。見た目は中学生くらいの男の子で、体はいつも浮いている。妹を強い子にするため、毎日厳しく指導している。妹思いの優しいお兄ちゃんで、千春が変に思われないよう、自分の存在をほかの人に話さないようによく言い聞かせている。口うるさくて千春から一度言い出すとしつこいとも思われている。死んでしまっても向上心が高く、学校に通って勉強している努力家で、ヒマな体育や給食の時間は英会話教室に通うほど。テレビを見るのが好き。