アシュラ

アシュラ

中世日本を舞台に、飢餓に陥った人々が生きるために人肉食に手を出してしまう過程を描き、人間のあり方を問う作品。

正式名称
アシュラ
ふりがな
あしゅら
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

飢餓状態が続く時代、母親から火の中に投げられ、食われそうになった赤ん坊アシュラは、奇跡的に生き延び、獣同然の生き方をする。アシュラははぐれ者が集められる散所に捕えられ、徐々に人間としての生活を知る。言葉を憶え、人との関わりを学ぶアシュラだが、人間であることの心の苦しみを覚え、苦しむようになる。

登場人物・キャラクター

アシュラ

飢饉が続く世の中で、藤乃が産み落とした赤ん坊。飢えた藤乃に食われかけるが、生き延びた。善悪の概念がなく、生きるため他の人間を殺し、食うことを躊躇わない。前髪が垂れ、妖怪のような形相をしており、小柄だが俊敏。刃物を使えば大人さえ殺すこともできる。法師や若狭らとの出会いで、人間としての心の苦しみを感じるようになる。 当初は名前がなく「こいつ」などと呼ばれていたが、再会した藤乃の叫びから「アシュラ」が名前となる。

藤乃 (ふじの)

かつて散所太夫の妻だったが、妊娠したため捨てられた。精神に異常をきたし、飢饉で滅びた村々を半裸で彷徨いながら、人肉を食べて生き延び、やがて荒野で赤ん坊を出産する。その後、飢えのあまり赤ん坊を焼いて食おうとしたが、何らかの理由で失敗し、生き別れた。後に散所太夫の家に現れ、再会した我が子をアシュラと命名している。 都へ向かうアシュラの前に現れるが、そこで病死する。

法師 (ほうし)

放浪するアシュラと出会い、人間性を与えようとした、放浪の僧。人間性が芽生えたことで生きることに悩み、人との関わりに苦しむアシュラに、希望や許しを説く。

散所太夫 (さんじょだゆう)

貴族などの管理から離れた土地である「散所」を支配する、壮年の男。強い威厳を持ち、地頭とも対等に話す。人間と関わることを避けたがり、女は抱くための存在と割り切って子を産むことを認めようとしなかった。アシュラが自分と藤乃の子である事を知り、初めて後悔の念を抱く。

太郎丸 (たろうまる)

山中で家族と暮らしていた少年。次郎丸の兄。日照りによる食糧不足とアシュラの襲撃により、彼以外の家族は全滅する。荒野を彷徨っている所を孫六に拾われ、後から捕らえられたアシュラと共に散所へ送られる。アシュラを憎むが、散所では仲間同士の過去を問わないとされているため、復讐を遮られることが多い。

次郎丸 (じろうまる)

山中で家族と暮らしていた少年で、太郎丸の弟。飢饉に見舞われた家庭内で、勝手にイモを食おうとして父親に叱られる。その後、一人でいる所をアシュラに殺害され、肉を食われた。その肉は両親、太郎丸も口にする。

孫六 (まごろく)

散所太夫が支配する散所の小頭。散所太夫には絶対的に服従している。孤児らを拾い散所に集め、僅かな食料を与えてこき使っていた。米を欲しがるアシュラを斬ろうとするが、返り討ちにあう。

七郎 (しちろう)

散所で働かされる子どもたちのリーダー格で、体が大きく力が強い。若狭と恋仲だが、困窮する若狭を救えず苦しむ。

若狭 (わかさ)

荘園で働く農民の娘。七郎と恋仲だが、家が大きな田を持つ彦次郎に言い寄られている。アシュラと出会って言葉を教え、思慕されるようになるが、そのアシュラが父親に重傷を負わせてしまう。父親の怪我で生活は困窮し、七郎、彦次郎との関係も変化していく。

真弓 (まゆみ)

散所太夫の現在の妻。自分の女としての魅力に自信を持っており、かつての散所太夫の女達を見下している。しかし、散所太夫が女を愛さず体だけを求めている事を知り、動揺する。

彦次郎 (ひこじろう)

荘園内で一番大きな田を持つ家の息子。若狭を嫁に欲しがっており、若狭の父親には気に入られている。七郎を邪魔に思い、仲間を集めて袋叩きにした。

地頭 (じとう)

荘園を管理する男。息子の小二郎が荘園の子と散所の子の争いで死亡し、手を下したアシュラを激しく憎む。

丹治 (たんじ)

散所で働かされる子どもたちの一人。七郎に次ぐ子どもたちにサブリーダー格で、七郎が離れた後はリーダーとなり、都に向かうアシュラとの同行を決める。

場所

散所 (さんじょ)

『アシュラ』の舞台のひとつ。貴族や大寺院所有の農地である荘園とは異なり、年貢を取り立てられることがない土地。だがそれは作物が育たない見捨てられた土地であるため。罪人などの荘園に住めない者や、拾われた孤児などが暮らし、散所太夫に支配されている。

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