概要・あらすじ
残虐非道な武将、八木家正の娘左近介は、蓬莱寺に住む八百比丘尼を斬る。それは、病気になった父を八百比丘尼の治療で治させないためであった。だが、八百比丘尼を斬って目的を果たした左近介は、自分がその寺に封じ込められたことを知る。やがて、寺に怪我や病気で苦しむ者たちが訪れて、左近介に治療を懇願するのだった。
寺に隠された火の鳥の羽を見つけた左近介はそれが病を治す八百比丘尼の秘密であったことを知る。そして、いつしか、救いを求めてやってくるのは人間にとどまらず、異様な姿の魑魅魍魎までが、傷ついて訪れるようになる。恐れもせずに彼らをいたわる左近介。その夢に現れた火の鳥は、彼女の恐ろしい運命を告げるのだった。
登場人物・キャラクター
左近介 (さこんのすけ)
男装し、若侍の出で立ちをした娘。父である残虐非道な武将、八木家正の病気をを八百比丘尼の治療で治させないために八百比丘尼を斬る。目的を果たした後、自分が閉ざされた時空に囚われたことを知る。やがて、寺には怪我や病気で苦しむ者たちが訪れ、左近介に治療を懇願するのだった。 寺に隠された火の鳥の羽を使い、人々の病を治していく左近介。そして彼女の元には、魑魅魍魎までもが、治療を求めて訪れるようになる。魑魅魍魎たちを恐れずにいたわる左近介。そんなある日、彼女の夢に火の鳥が現れ、恐ろしい運命を告げるのだった。
八百比丘尼 (はっぴゃくびくに)
800年を生きながらえていると言われる比丘尼。左近介に斬り殺される。
可平 (かへい)
左近介の忠実な従者。後に絵師、土佐光信の弟子となり土佐光慶と号した。蓬莱寺を訪れる魑魅魍魎たちを絵に描き残し土佐光信の『百鬼夜行絵巻』のイメージを助ける。
八木 家正 (やぎ いえまさ)
残虐非道な殿様。娘の左近介を男として厳しく武芸をたたき込む。病気のために鼻が腫れ上がり、余命は2、3年と言われ、病を治すという八百比丘尼を呼び寄せる。『火の鳥』シリーズの猿田彦の子孫。
火の鳥
左近介の夢に現れ、彼女が八百比丘尼を殺害した夜からの30年を、その罪が消えるまで永遠に繰り返すこと告げる。
塙 陣太夫 (はにわ じんだゆう)
八木家正の使いとして蓬莱寺を訪れ、八百比丘尼に主君の治療を頼む。
場所
蓬莱寺 (ほうらいでら)
『火の鳥 異形編』に登場する寺。琵琶湖のほとりにあり、800年を生きながらえていると言われる八百比丘尼が住まう寺。時空のゆがみによって、左近介はこの寺に閉じ込められる。
その他キーワード
光る羽
『火の鳥 異形編』に登場する鳥の羽。火の鳥の尾羽。患部に触れることで病気や怪我を治す力を持つ。
関連
火の鳥 (ひのとり)
火の鳥と呼ばれる超生命体が見守る古代から超未来にわたる人類の叙事詩。 関連ページ:火の鳥