AGRAVITY BOYS

AGRAVITY BOYS

西暦2119年、宇宙飛行士のタチカゼ・サガたちは入植可能な惑星「α・ジャンブロー」へ旅立つものの、その最中に地球が壊滅し、宇宙を旅していた彼らは最後の地球人となってしまう。人類滅亡の危機の中、彼らはα・ジャンブローに地球の滅びを回避する鍵が存在することを知る。個性派ぞろいの凸凹チームが、未知の惑星を探索し、地球を救う姿を描いたドタバタ宇宙サバイバルコメディ。集英社「週刊少年ジャンプ」2020年2号から2021年5・6合併号まで連載され、2021年4月発売の「少年ジャンプGIGA 2021 SPRING」に完結編が掲載された。「次にくるマンガ大賞2020」コミックス部門で第6位を獲得。

正式名称
AGRAVITY BOYS
ふりがな
あぐらびてぃ ぼーいず
作者
ジャンル
異星人・宇宙人
 
ギャグ・コメディ
関連商品
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あらすじ

第1巻

時は西暦2119年、人類は入植可能な惑星「α・ジャンブロー」を発見する。自由連合は入植を進めるべく「プロジェクト・ヘルメス」を立ち上げ、タチカゼ・サガクリス・アーウィットゲラルト・ゼーマンババズラギ・キプラガトの四人の若者をα・ジャンブローに送り込む。しかし自由連合の送り込んだチームは、地球をたった2日後に地球滅亡の知らせを受け取り、さらに遭遇したブラックホールでワープしたため、あっという間にα・ジャンブローにたどり着いてしまう。地球が滅び、長旅もあっさり達成されたために目的意識を完全に見失ってしまう四人だったが、そこに高次存在が唐突に現れる。人知を超えた力と知識を持つ高次存在は、ジェナダイバージョン超光速通信機など今の彼らにとって一見有益そうな道具をもたらすものの、実態は彼らを混乱させ、慌てふためくのを楽しんでいるに過ぎなかった。サガたちは高次存在の思惑どおり、混乱してトラブルを巻き起こすが、四人の絆と機転によって高次存在の予測を超える活躍を見せる。

第2巻

自由連合チームは、惑星「α・ジャンブロー」の先住民のジャンブローくんを発見したりして、相変わらず慌ただしい日々を送っていた。そして忙しない日々を送っている中、新たな来訪者がα・ジャンブローの間近にせまっていることを知る。自由連合とは別の北方同盟の入植プロジェクト「ヨルズ計画」に選ばれたチームが到着したのだ。グリスロウ・クラコフスキーをはじめとした個性的な面々が追加され、α・ジャンブローはますますにぎやかになっていく。そして、その様子を見た高次存在は、彼らがより慌てふためく姿を見るべく、両チームを惑星「アレスタ」へと転移させ、ナンパ対決を提案する。勝者には「現在の地球の状態」が教えられることもあり、彼らは全力を尽くしてナンパを行う。一部メンバーが逮捕されるというトラブルに見舞われるものの、自由連合チームはどうにか勝利。そしてその結果に満足した高次存在は、地球はすでに滅び去っており、その回避のためには「タイムマシン」が必要で、それを作るためのすべてはα・ジャンブローに存在すると彼らに教えるのだった。

第3巻

自由連合北方同盟は話し合いを行い、高次存在の言葉を検証する。彼らは高次存在の言葉にウソはないと考え、地球の滅亡を回避するために協力し合うことを約束する。タイムマシンを手に入れるためにも宇宙人の情報が必要と一行は考え、自由連合チームは超光速通信機を使って、惑星「アレスタ」の住人とコンタクトを開始する。だが、ババズラギ・キプラガト が質の悪い女に騙され、一行は借金を抱える羽目になってしまう。借金返済のため、クリス・アーウィットが宇宙人のSNSで生配信を始めるが、これが大ヒット。クリスは一躍時の人となり、一行は経済難を乗り切ることに成功する。しかし、アレスタのナンパ対決の際に逮捕されたババズラギとゲラルト・ゼーマンは実は脱獄しており、銀河中で指名手配となっていた。生配信で居場所がバレてしまった二人のもとに、GCPO(銀河刑事警察機構)のテスタモニカ・アレスタが訪れる。ゲラルトとメル友のテスタモニカは、ゲラルトのウソが原因で非常にややこしい関係を構築しており、クリスはウソにウソを重ね、辛うじて穏便にテスタモニカに帰ってもらうことに成功するのだった。

ヒロイン像

本作『AGRAVITY BOYS』の序盤は、メインキャラクターが全員男性で、女性がいっさい登場しない。作中ではそのことを逆手に取ってネタにしており、紅顔の美少年であるクリス・アーウィットが実質的にヒロインとして扱われている。作中では女性扱いされるにとどまらず、ジャンプ誌上に掲載された第4話ではクリスの水浴びがサービスシーンとして扱われ、クリスの裸が原作者である中村充志へのファンレター募集の記事で隠されるという演出まで行われた。これが大反響であったようで、コミックス1巻に収録された同話の同シーンで、中村充志によるファンレターへの返礼のあいさつが掲載されるという演出が行われている。また「週刊少年ジャンプ」2020年36・37合併号では、『あやかしトライアングル』を連載中の矢吹健太朗によってジャンプヒロイン集合の水着ポスターが描かれた。その際も本作からはクリスがヒロインとして選ばれており、上半身を隠すタイプの水着を着たクリスが矢吹健太朗によって描き下ろされている。なお「週刊少年ジャンプ」2020年4・5合併号では『ぼくたちは勉強ができない』を連載中の筒井大志によってジャンプヒロイン集合のメイドポスターが描かれた。こちらでは本作から巨漢の男性であるババズラギ・キプラガトが選ばれ、メイド服を着たババズラギが筒井大志によって描き下ろされている。このことに関して中村充志は、コミックス2巻で「本当に色々あった」と語っている。

登場人物・キャラクター

タチカゼ・サガ

自由連合を率いる青年で、年齢は17歳。出身は日本。誕生日は1月4日で、血液型はAB型。身長179センチ、体重81キロ。黒い髪を短く切りそろえており、前向きで明るい性格をしている。自由連合のエースパイロットとしてその名を知られ、操縦士として宇宙船をはじめとしたすべての乗り物の運転を担当する。行動力があり、判断能力と協調性が高いことから、チームの中ではリーダー的な存在となっている。基本的に常識人だが、ノリがいいため、ゲラルト・ゼーマンやババズラギ・キプラガトほどではないが暴走することもある。スニーカーが大好きで、レアなスニーカー集めを趣味としている。ヴァルタリのデザインは東洋の鎧武者のような姿で、鬼の面のようなマスクを付けている。

クリス・アーウィット

自由連合に所属する青年で、年齢は17歳。出身はアメリカ。誕生日は12月25日で、血液型はA型。身長158センチ、体重50キロ。男性にしてはかなり小柄な体型で、中性的な容姿も相まって初対面では女性とまちがわれることが多い。自由連合チームの中では医者の役割を担当する。チーム内では一番の良識人で、暴走しがちなほかの三人のツッコミ役を担っている。ほかのメンバーもボケたり、むちゃができたりするのはクリス・アーウィットがいるからだと認識しており、チームになくてはならない存在となっている。逆にクリスがボケに回るとチームが機能不全に陥るほど混乱するため、ごくまれにクリスがボケ始める「クリスぽんこつ化」現象はチーム内では恐れられている。実はネーミングセンスが壊滅的であるため、特に名前関連ではよくポンコツ化する。友達思いで人当たりもよく、まじめで温厚な性格もあって無自覚に人を魅了する天然の人たらし。容姿だけではなく、声やしぐさも女の子っぽいため、チーム内ですら女の子扱いされている。宇宙人からも「かわいい」と評判がいいため、金策が必要になった際にはほかのメンバーに勧められて投げ銭で収入を得るべく、宇宙人のSNS「ギャラクシア」で生配信を行う。かわいらしさと性格のよさから一躍人気者となり、あっという間に「銀河生主四天王」の一人にまでのぼり詰める。女の子扱いされるのは不本意だが、褒められるのは満更でもないらしく、生配信も途中からは進んでやっていたが、リクエストでメイド服を着たところで我に返り、羞恥のあまりその場で引退宣言をする。しかし、電撃引退したことが逆に話題性を呼び、クリスの名は銀河中に轟き、引退後も多くのファンを抱えている。ゲラルト・ゼーマンが勝手にクリスの写真を使ってテスタモニカ・アレスタと連絡を取り合ったため、彼女からは名前が「ゲラルト」と思われており、強い親愛の情を抱かれている。ヴァルタリのデザインは、フードをかぶった子供のような姿をしている。

ゲラルト・ゼーマン

自由連合に所属する青年で、年齢は18歳。出身はドイツ。誕生日は2月26日で、血液型はB型。身長183センチ、体重69キロ。金髪で眼鏡を掛けており、長身瘦軀の体型をしている。21世紀最高の頭脳と呼ばれるほど名高い宇宙物理学者で、彼が書いた「外宇宙の航海者」は宇宙物理学の歴史をぬり替えた名著といわれている。チーム内でも、その優れた頭脳で仲間たちに信頼されている。能力に見合ったプライドの高さから、嫌みな言動を取ることも多いが、基本的に仲間思いで彼らを信頼している。痔を患っており、自分専用のトイレ以外は使えない潔癖症なところがある。また頭脳明晰だが、根っこの部分は初心で奥手なため、絶望的なまでに女性にモテない。ババズラギ・キプラガトと手を組み、その頭脳を生かして女性にモテようと画策するが、ほとんど空回りして失敗に終わっている。惑星「アレスタ」でのナンパ対決ではモテ方を模索するあまり、卑猥な格好で奇行を行い、ババズラギと共にわいせつ罪で逮捕されてしまう。その後、数日間、刑務所に服役することとなるが、服役中に悪名高い宇宙海賊「カラハサーン」と意気投合。うっかり彼らの脱獄に巻き込まれてしまったため、宇宙全土で指名手配されてしまう。手配書に書かれた異名は「悪魔の宇宙物理学者」で、懸賞金は地球換算で2億ドル。その後、情報収集のためにヴォルク・カフベチからもらった連絡先を利用して、女性から情報収集を行うがここでもモテなさを遺憾なく発揮。情報収集が捗らなかったため、女性のフリをして連絡することでテスタモニカ・アレスタと仲よくなる。テスタモニカと話すうちに彼女に恋心を抱くが、女性のフリをするためにクリス・アーウィットの写真を自分と偽って渡したうえに、実はテスタモニカの正体がGCPO(銀河刑事警察機構)の執行委員長だったため、非常にややこしい関係を構築してしまっている。ヴァルタリのデザインは長身瘦軀で、白衣のようなものをまとっている。マスクの額の部分にセンサーがあり、第三の目のようなデザインとなっている。

ババズラギ・キプラガト

自由連合に所属する青年で、年齢は19歳。出身はアフリカ南部で、船の上で生まれた。誕生日は9月14日で、血液型はO型。身長199センチ、体重124キロ。自由連合チームの中では最も大柄で筋骨隆々とした体型をしている。優れた技術力を持つ技術者で、タンクトップを愛用している。「ババ」の愛称で呼ばれている。天才的な頭脳を持つゲラルト・ゼーマンとは、研究者と技術者という関係から相性がよく、彼の理論を的確に形にすることができる。また、手先の器用さはチーム内随一で、なんでも作ることができるため、チームの料理当番を担当することも多い。無骨な見た目に反しておしゃれなスイーツを作ることもでき、彼が淹れるコーヒーの味は高次存在も認めている。また、見た目どおりにパワーもチーム内随一であるため、その力を発揮する場面も多い。頼りがいのある人物で、ふだんは落ち着いた性格ながら、非常に助平であるために女性が絡むと途端にダメ人間と化す。学生時代も優れた技術力を活用して数々のエログッズを開発してきたため、男性からは神の如く崇拝されているが、女性からは侮蔑の視線を向けられてきた。現在も自分が女性にモテない理由にも思い至っていないため、モテ方を模索してはモテなさを悪化させている。惑星「アレスタ」でのナンパ対決ではモテ方を模索するあまり、卑猥な格好で奇行を行い、ゲラルトと共にわいせつ罪で逮捕されてしまう。その後、数日間だけ刑務所に服役することとなるが、服役中に悪名高い宇宙海賊「カラハサーン」と意気投合。うっかり彼らの脱獄に巻き込まれてしまったため、宇宙全土で指名手配されてしまう。手配書に書かれた異名は「星翔ける異常性癖者」で、懸賞金はリンゴ2箱。ヴァルタリのデザインは武骨な全身甲冑然としたもので、四人の中で一番大きい。

グリスロウ・クラコフスキー

北方同盟を率いる青年で、年齢は19歳。出身はポーランド。誕生日は6月5日で、血液型はO型。身長180センチ、体重74キロ。髪を無造作に伸ばしており、傲慢な性格をしている。名家の出身であるため、周囲の人間すべてを見下した言動を取り、自分のことを「リーダー」と呼ぶように徹底させているが、基本的に行動がすべて残念であるため、逆にその言動を周囲が面白がってチームがまとまっている。自由連合に対しては露骨に対抗心をあらわにするが、クリス・アーウィットを女性とカンちがいして一目惚れする。以降はクリスの行動に一喜一憂し、残念な行動に拍車が掛かっている。クリスが生配信を始めた際には一番ハマっており、借金をしてまで投げ銭をしたため、仲間たちから呆れられている。女性に対してのモテなさは、ババズラギ・キプラガトやゲラルト・ゼーマンと同レベル。惑星「アレスタ」のナンパ対決では彼らと同レベルの争いを繰り広げ、まとめてわいせつ罪で逮捕された。その後、数日間だけ刑務所に服役することとなるが、服役中に悪名高い宇宙海賊「カラハサーン」と意気投合。うっかり彼らの脱獄に巻き込まれてしまったため、宇宙全土で指名手配されてしまう。手配書に書かれた異名は「クレイジー・ヒュース」で、懸賞金は地球換算で1億5000万ドル。実は料理が得意。

アールシュ・ジャムワル

北方同盟に所属する青年で、年齢は19歳。出身はインド。誕生日は12月10日で、血液型はA型。身長186センチ、体重70キロ。褐色の肌を持ち、落ち着いた性格をしている。頭脳明晰で、北方同盟のブレイン役を務める。実は貧民街出身の浮浪児で、国の才能発掘プログラムに運よく拾われて、極貧生活から抜け出した過去がある。才能発掘プログラムはゲラルト・ゼーマンのような天才を発掘するのが目的であったため、自分の人生を変えるきっかけとなったゲラルトを「人生の先輩」として尊敬している。彼を目標として才を磨いた秀才で、その努力の結晶である著書「航海者を追って」はゲラルトも認める書物となっている。ふだんは冷静沈着なツッコミ役だが、ゲラルトが絡むと奇行を行う。ゲラルトのことを知り尽くしたゲラルトマニアで、彼の言葉をすべて肯定する信奉者。ゲラルトを信用するという点では自由連合チームと同じなため、タチカゼ・サガたちともすぐに打ち解けた。ただし、ゲラルトとよくいっしょに暴走するババズラギ・キプラガトのことだけは、「ゲラルトを堕落させる存在」として嫌っており、敵愾心を向けている。

ヴォルク・カフベチ

北方同盟に所属する青年で、年齢は25歳。出身はトルコ。誕生日は11月23日で、血液型はAB型。身長193センチ、体重90キロ。無精ひげを生やしたワイルドな風貌の偉丈夫で、ひょうひょうとした性格をしている。語尾に「だねぇ」と付けるしゃべり方をする。グリスロウ・クラコフスキーをリーダーとして尊重しつつ、独自の判断で行動しており、周囲へのフォローを欠かさない年長者らしい視野の広さを持つ。北方同盟随一の常識人で、同チームのツッコミ役を担っている。ただし、ヴォルク・カフベチ自身は仲間たちの奇行を楽しんでおり、彼らがボケた際にはツッコミを入れつつも、それに便乗して悪ノリしたりする。自由連合、北方同盟、両チームの中で唯一異性との交際経験が豊富で、女性の扱いにも慣れている。自他共に認めるナンパ男で、惑星「アレスタ」でのナンパ対決では独壇場ともいえる活躍を見せ、一晩で数十人の女性を口説き落としている。またその際に、ちゃっかり女性との連絡先を交換しており、これが両チームの活動方針に大きな影響を与えている。

ルオ・イーヌオ

北方同盟に所属する青年で、年齢は17歳。出身は中国。誕生日は11月12日で、血液型はAB型。身長169センチ、体重65キロ。ニワトリのトサカのように赤く染めたソフトモヒカンにピアスを付け、かなり厳つい容姿をしている。しかし見た目に反して、性格はかなりおとなしく人見知りで、基本的にグリスロウ・クラコフスキーの後ろに隠れ、初対面の人間とは話そうとしない。小柄な体型ながら、実は北方同盟の特務機関のエージェントを務めている。北方同盟では「最強の戦士」といわれるほどの猛者で、大男を瞬殺し、拳銃の弾程度なら余裕でかわせる実力を持つ。かつては冷酷なエージェントだったが、敵国のスパイを捕まえに行った際、グリスロウにスカウトされてヨルズ計画のチームに入った。グリスロウのスカウトを受けた理由は、その時のグリスロウの格好があまりに面白かったから。グリスロウのことを慕っており、彼が傷つけられると怒り、その高い戦闘能力で彼を守る。また、同時にグリスロウの奇行を面白がってもおり、彼がヒドイ目に遭うこと自体は歓迎している。

リータ

北方同盟に所属する女性型のアンドロイド。製作会社はクロシェット社で、形式番号は「T-50型」。チーム内では「リータ」の通称で呼ばれている。非常に高性能なアンドロイドで、人間のように受け答えすることができる。惑星「アレスタ」のナンパ対決で、強引にナンパされかかったところをタチカゼ・サガに助けられたため、以降は彼を好意的に見ている。グリスロウ・クラコフスキーに対してもサガと比較し、辛辣な態度を取ることがある。

高次存在 (こうじそんざい)

はるか高次の次元より惑星「α・ジャンブロー」にやって来た謎の存在。光り輝く人型のシルエットに翼が生えたような姿をしており、正式な名前や性別、年齢は不明。そのため「高次元存在さん」や、それを略して「コージ」と呼ばれていることが多い。人知を超えた高次元の存在で、「第3の手」や「第5の手」と呼ばれるものを持ち、言葉を介さずに感情や記憶を伝えたり、一瞬で遠くに空間転移したりと、物理法則に縛られない力を持つ。また、技術力や知識も地球より圧倒的に進んでおり、オーバーテクノロジーの塊のような道具を持っている。自由連合の前に姿を現し、地球が滅びたことを告げ、彼らに人類や地球の滅びを回避する手段や道具を提案する。しかし、同時にサディスト的な一面も持ち、彼らの欲望を刺激して自滅するように仕向け、それを見て楽しんでいる。率先して問題を引き起こす確信犯だが、一方で公平な面もあり、彼らが自分を十分に楽しませたり、自分の予想を超える結果を出したりしたと判断すれば、その分を対価として彼らに必要なものを手渡している。α・ジャンブローには散歩感覚で訪れており、自由連合の拠点に入り浸り、彼らと食事を共にすることも多い。好物はコーヒーで、ババズラギ・キプラガトのことを「助平筋肉」と軽蔑しているが、彼のコーヒーを淹れる腕だけは認めている。地球人を「愚かで哀れな生き物」と完全に見下しており、お気に入りのおもちゃとしか思っていない。しかし、ニセ高次存在が彼らによけいな手出しをしようとした際には激怒して彼らを守ったり、彼らが自分とニセ高次存在をまちがえた際には拗ねたりと、一応愛着は感じている。

テスタモニカ・アレスタ

GCPO(銀河刑事警察機構)の執行委員長を務める女性で、年齢は18歳。出身は惑星「アレスタ」。身長は177センチ。地球人に近しい見た目の宇宙人で、頭に狐のような耳が生えた美女の姿をしている。スタイル抜群でかなりの巨乳。周囲からは「モニカ」の愛称で呼ばれている。アレスタでの自由連合と北方同盟のナンパ対決現場に友人たちと共にたまたま居合わせており、友人がヴォルク・カフベチにナンパされた際、彼に連絡先を渡している。これが巡り巡ってゲラルト・ゼーマンの手に渡り、彼から連絡が来たのをきっかけに、彼と友情を育む。若くしてGCPOのトップに立ち、周囲はみんな年上ばかりなこともあって、気の置けない環境で気を張り詰めていた。ゲラルトの連絡はそんな中だったため、悩み相談を繰り返すうちに彼を気を許せる一番の友達と思うようになり、強い親愛の情を抱くようになる。ただし、ゲラルトがクリス・アーウィットの写真を使って、自らを女と偽って連絡してきたため、クリスが親友のゲラルトだと思い込んでいる。また、クリスの生配信をたまたま見つけて、見ているうちにクリスのファンとなる。なおクリスの名前は芸名で、本名がゲラルトだと思っている。またそれと同時に、生配信の映像からクリスの周囲に指名手配犯のババズラギ・キプラガトとゲラルトがいるのを確信する。友人のゲラルトと指名手配犯のゲラルトが同一人物と気づいていないため、ゲラルト(クリス)を守るために、ゲラルトを追うという非常にややこしい事態に陥っている。趣味は筋トレとクリスの動画チェック。

パフィン

惑星「アレスタ」のスペースメイドセンターで働く少女で、年齢は17歳。毛先をロール状にしたツインテールの美少女で、メイド服を着ている。高次存在が自由連合チームをからかうため、「超光速通信機」か「パフィンが週一で掃除をしにくる権利」かの二者択一をせまったことをパフィン自身はあずかり知らなかったが、高次存在が彼女の立体映像を見せた際、そのわずかな手がかりから自由連合にパフィンが故郷をしのんでいることを察せられる。そのため、自由連合チームは権利を使い、高次存在に彼女を故郷に戻すように頼んだ。実はパフィンも、自由連合チームと同じようにワームホールに巻き込まれ、母星から離れた見も知らぬ星でメイドとして働いていた経緯がある。タチカゼ・サガたちとは話していないが、高次存在が第3の手で彼女に事情を伝えていたため、「地球人に助けられた」ことを理解している。見知らぬ地で健気に働いていたため、スペースメイドセンターの同僚たちからの評判もよく、のちにアレスタのナンパ対決でサガがピンチに陥った際には、仲間を助けてもらったことに恩義を感じたメイドたちが駆け付け、サガを助けている。

ジャンブローくん

惑星「α・ジャンブロー」に暮らす先住民。細長い体に二本の足が生えた姿をしている。独自の言語で意思疎通する知的生命体で、基本的に好奇心旺盛で温厚な性格をしている。巨大な植物の中をくり抜いて、そこを住処としている。自由連合の宇宙船が彼らの住処の近くに現れたため、あいさつに向かう。しかし、文化そのものがまったく違うためにトラブルを引き起こすが、紆余曲折の末、彼らと友好的な関係を築く。体調が悪くなった個体をクリス・アーウィットが治療したため、特にクリスはジャンブローくんから強く崇められている。また、タチカゼ・サガとは一時期苦楽を共にしたことで仲がよくなり、彼にドライブであっちこっちに連れていってもらっている。先住民であるためにα・ジャンブローに関する情報は詳しく、時折クリスたちに頼まれ、彼らに協力している。

ニセ高次存在 (にせこうじそんざい)

高次存在によく似た見た目をした宇宙人。高次存在に比べ、ちょっと尖がった形をしている。性別は不明だが、チャラ男みたいな言動をする。高次存在と同じく「第3の手」を持ち、よく似た外見をしているが、種族はまったく違うらしく高次存在からは下等生物と見下されている。たまたま、惑星「α・ジャンブロー」を通りすがった際に自由連合の宇宙船を発見し、ババズラギ・キプラガトたちが高次存在とカンちがいしたのを利用して、彼らの中にまぎれ込んだ。人違いされているのを理解しつつも、ヒマつぶしに彼らと遊んでいる。不良たちとつるむ質の悪い生活を送っており、伝説的な生主のクリス・アーウィットや懸賞金が懸けられているゲラルト・ゼーマンの存在に気づき、彼らを利用して金儲けをしようともくろむ。しかし、それが高次存在の逆鱗に触れたため、激怒した高次存在によってα・ジャンブローに関する記憶を抹消させられる。ニセ高次存在と同じ種族はほかにも存在するようで、ほかにも四角っぽい形の個体が現れている。

ザッハ

惑星「アレスタ」の刑務所に服役していた囚人男性。宇宙人で2本の角が生えた鬼のような姿をしている。瘦せた体型ながら、体中に入れ墨を入れ、厳つい顔つきで強烈な威圧感を漂わせている。あらゆる銀河を駆け抜けた大宇宙海賊団「カラハサーン」の船長「キャプテン・ザッハ」その人で、懲役9億年の刑に処されて刑務所に収監されたため、その存在はアレスタの囚人たちからも一目置かれている。たまたま、わいせつ罪で捕まったゲラルト・ゼーマンと同室となる。二段ベッドの上を使うことにこだわりがあり、ゲラルトが上のベッドをゆずってくれたことをきっかけに、交流を育んでいく。副船長の「星喰い」スルタム、「星斬り」グァルピンドの二人も収監されており、それぞれグリスロウ・クラコフスキー、ババズラギ・キプラガトと同室となっていたため、彼らのことも認め、仲間となる。部下たちと共に脱獄するが、その際に微罪で捕まったことを知らず、ゲラルトたちも逃がしてやろうと脱獄に巻き込んでしまう。

集団・組織

自由連合 (じゆうれんごう)

タチカゼ・サガが率いるチーム。「自由連合」が主導した国家規模の移民計画「プロジェクト・ヘルメス」で選抜されたチームで、メンバー全員が自由連合出身であるため、そのまま所属国家名がチーム名となっている。所属メンバーは21世紀最高の頭脳と呼ばれるゲラルト・ゼーマンをはじめとしたより抜きのエリートばかりで、その能力の高さと自由さから、しがらみや常識といった「重力」にとらわれない少年「AGRAVITY BOYS」の異名でも呼ばれている。四人全員がアカデミー時代からの友人関係であるため仲がよく、お互いを信頼し合ったチームワークを発揮する。ただし、四人中三人が基本的にボケしかしないうえに、なまじ能力の高さから明後日の方向に暴走することが多いため、彼らが本来の力を発揮することはまれ。入植可能な惑星「α・ジャンブロー」の調査のために宇宙に旅立つ。α・ジャンブローへの旅は片道20年で、本来は冷凍睡眠装置でその時間を過ごすはずが、旅立ちのわずか2日後に地球は核戦争が起きて滅亡。さらに次の日にはブラックホールに遭遇し、気づけばα・ジャンブローの目と鼻の先まで到達していた。本来は20年かかる旅が3日で終わったうえに、人類が滅びてしまったために目的が消失していたが、高次存在に地球の滅びを回避するためのタイムマシンの存在を仄めかされ、その確保のために動いている。

北方同盟 (ほっぽうどうめい)

グリスロウ・クラコフスキーが率いるチーム。「北方同盟」が主導した国家規模の移民計画「ヨルズ計画」で選抜されたチームで、メンバー全員が北方同盟出身であるため、そのまま所属国家名がチーム名となっている。所属メンバーは生え抜きのエリートばかりであるが、知名度としては自由連合チームの方が上なため、グリスロウは一方的に自由連合チームに対抗心を抱いている。一方、ほかのメンバーはそこまで自由連合チームに隔意はなく、時には協力し合っている。入植可能な惑星「α・ジャンブロー」の調査のために宇宙に旅立つ。自由連合とは違い、ブラックホールによるショートカットは行わなかったため、冷凍睡眠装置を使って片道20年の旅をしてきた。そのため、自由連合チームがα・ジャンブローに到着しておよそ1か月遅れで、α・ジャンブローに到着している。なお、北方同盟と自由連合がα・ジャンブローに到着した時間のズレは、ブラックホールを通った際に起きたとされる。

場所

α・ジャンブロー (あるふぁじゃんぶろー)

人類が発見した初の地球型惑星。地球とは片道20光年ほどの距離で、入植可能な惑星と見られているために国家規模で入植計画が行われている。大気組成や気温は限りなく地球に近く、植物が自生し、野生動物も繁殖している。またジャンブローくんなど、知的生命体も存在している。高次存在によると惑星「α・ジャンブロー」には「タイムマシン」を作るすべてが存在するらしく、それを作れば地球の滅亡を回避できるとされる。ただし、それがどのようなものかは明かされておらず、タチカゼ・サガたちは手探りでそれを探し始めている。

アレスタ

太陽とほぼ同じ大きさを持つ惑星。惑星の土地の9割が歓楽街で、周辺の銀河から2の41乗の種族の宇宙人が押し寄せ、一晩で地球換算にして3恒河沙ドルもの金が動く、名実ともに「宇宙一の歓楽街」。出会いを求める宇宙人が集まる「出会い橋」も存在し、多種多様な種族と文化の入り混じる星となっている。高次存在によって自由連合チーム、北方同盟チームが連れてこられ、ナンパ対決をした。地球より圧倒的に進んだ文明を持ち、多くの人が集まる場所であるために情報を集めるのには打ってつけで、ヴォルク・カフベチがナンパ対決で得た連絡先と超光速通信機を使い、情報収集の場として活用されている。

その他キーワード

ジェナダイバージョン

高次存在がもたらした転生の秘薬。これを服用すると一度限り、その人間の性別を反転させることができる。この際、単に男性を女性へ、女性を男性へ変えるのではなく、本人の記憶を書き換え、元から反転後の性別で生きてきたと認識させることが可能。使用期限はα・ジャンブロー時間で365日で、高次存在が男性しかいない自由連合チームに手渡した。ほかのメンバー全員がクリス・アーウィットを女性にしようとし、混乱した一同によって武力衝突一歩手前までいくものの、正気に返ったチームメイト全員の判断で処分が決定され、タチカゼ・サガによって廃棄された。

超光速通信機 (ちょうこうそくつうしんき)

高次存在がもたらした通信機。タキオン通信によって光速を超えた通信が可能で、半径400光年以内であればラグなしでの通信を可能とする。高次存在はこの通信機か、「パフィンが週一で掃除をしにくる権利」かを自由連合チームに二者択一でせまった。結果的に彼らはパフィンを選んだが、高次存在は想定外の答えを出した自由連合チームに満足し、この通信機を彼らに手渡している。ただし、通信機であるために当然ながら受信側も同じ通信機を所持している必要があり、当初はゲラルト・ゼーマンの研究材料以外の価値はなかった。惑星「アレスタ」でのナンパ対決以降は、アレスタの住人と連絡を取るために活用されている。

ヴァルタリ

自由連合チームが所持している強化外装甲。全身を覆う装甲服で、それぞれがチームメイトの体格に合わせて調整されており、見た目は大きく異なる。頑丈でパワーもあるため、パワードスーツとして使われている。また、マスクによって有害な大気成分を遮断し、センサーなど多数の機能を備えているため、宇宙服として使われることも多い。

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