正解するカド

正解するカド

TVアニメ『正解するカド』のコミカライズ作品。羽田空港に突如として現れ、乗員乗客252人を乗せた旅客機を飲み込んだ謎の巨大立方体「カド」。そのカドの内部から、宇宙の外側から来たという異方存在のヤハクィザシュニナが姿を現わす。ネゴシエーターの真道幸路朗と謎の存在・ザシュニナを中心に、人類の未来がめまぐるしく変化する様子を描く、全人類の運命をかけた交渉劇。モーニング増刊「月刊モーニングtwo」2017年5月号から2018年3月号にかけて掲載された。

正式名称
正解するカド
ふりがな
せいかいするかど
原作者
東映アニメーション
作者
ジャンル
異星人・宇宙人
 
超常現象・UMA
関連商品
Amazon 楽天

あらすじ

第1巻

2017年7月25日。外務省に勤める凄腕ネゴシエーターの真道幸路朗は、海外で行われる国際会議に出席するため、羽田空港で飛行機の離陸を待っていた。すると、突如として羽田空港上空に謎の巨大物体が姿を現す。一辺が2キロメートルにも及ぶ巨大立方体「カド」は、幸路朗をはじめとする乗員乗客252名が乗った旅客機を飲み込む形で、滑走路に降り立った。日本政府は謎の立方体についての調査と、飲み込まれた人々の生存確認に奔走。それから30時間、すべてが謎のままに人々の生存が絶望視されていた中、カドの上から二人の人影が姿を現わす。一人は幸路朗、そしてもう一人は、この宇宙の外にある別の世界、異方から来たというヤハクィザシュニナだった。ザシュニナは、人類の推進を目的にこの宇宙を訪れたと話し、そのために日本政府との交渉を望んでいた。日本政府側は突然の事に動揺を隠せないが、幸路朗を介して、ザシュニナとの話し合いを開始。ザシュニナの真意もわからないまま、世界中の全人類の運命をかけた交渉劇が始まる。

第2巻

異方からやって来たというヤハクィザシュニナが、人類にもたらした第2のテクノロジー、ワムは、誰にでも作り得る事が明らかとなり、世界を大きく震撼させた。しかし、その作りづらさが原因で、怖れていたほどの混乱には至らなかった。一方、羽田空港に居座っていたカドの大移動が、国を挙げて行われた夜、真道幸路朗はザシュニナと話す中で、自分がもう長い間睡眠をとっていなかった事に気づく。そんな中、ジャーナリストである言野らは、ザシュニナとコンタクトを取り、陸上自衛隊の制止を無視する形でカド内部への侵入に成功。カド内部の取材を独断で許可したザシュニナは、彼らに第3のテクノロジー、サンサを見せ、異方の感覚を手に入れる事ができるという、その力を実際に体感させる。そして、そのサンサを人類に拡散するための協力を、言野ら民間のメディアに要請して彼らが在籍する世界的ネットワーク企業「SETTEN」が、衛星を使って全世界に同時配信する事で、サンサの拡散を試みる。これにより、世界情勢はさらなる緊迫を見せ始め、ザシュニナが人類の推進のために用意したという四つのテクノロジーのうち、最後の一つとなるナノミスハインを幸路朗の前に提示。それを体感した幸路朗は、ザシュニナの真意を知る事になる。

第3巻

人類の推進を目的にやって来たヤハクィザシュニナだったが、彼の語る真意は人類を異方へと連れ去ろうとする恐ろしいものだった。それを知った真道幸路朗が、ザシュニナの計画に拒絶反応を見せたため、ザシュニナは幸路朗と徭沙羅花を消し去ろうと攻撃を仕掛け、幸路朗は瀕死の重傷を負う。沙羅花の咄嗟の判断により、二人は隔絶体の中に逃げ込む形となり、その後、彼女の治療を受ける事で幸路朗はどうにか一命を取り止める。そして、ザシュニナともう一度交渉をするための作戦を練り、ザシュニナのフレゴニクスを消すための道具「アンタゴニクス」の開発にひそかに動き出す。一方で、ザシュニナは殺す直前に複製しておいた幸路朗を連れて、何事もなかったかのように人類との交渉を進めていた。人類に新たなテクノロジー、ナノミスハインを与えた事で、ある程度の目的を達したザシュニナは、複製の幸路朗を見限り、人類を異方へ連れ去るための強硬手段に打って出る。2キロメートル四方の立方体だったカドが、突如として巨大化を始めたのだ。カドが日本の国土ごと人を飲み込み始めた時、幸路朗はザシュニナを止めるため、一世一代のサプライズを仕掛ける。

関連作品

本作『正解するカド』は、東映アニメーション制作、TOKYO MX、BSフジなどで2017年4月から6月にかけて放送された、同名のTVアニメを原作としている。真道幸路朗役を三浦祥朗が、ヤハクィザシュニナ役を寺島拓篤が、徭沙羅花役をM・A・Oが務めている。

登場人物・キャラクター

真道 幸路朗 (しんどう こうじろう)

外務省総合外交政策局国連政策課の首席事務官を務める男性。年齢は30歳。外務省が誇る国内最高のネゴシエーターとして優秀な能力を持っており、周囲からの信頼も厚い。海外で行われる国際会議に出席するため、羽田空港で飛行機の離陸を待っていた時に飛行機ごとカドに飲み込まれた。その際、機長からの協力要請に名乗りを挙げた事で、ヤハクィザシュニナと接触した最初の人間になった。その際、カドによって脳に直接働きかけられ、処理を受けた事で、より多くの異方の感覚を持ったプレミアムな人類となった。それにより、ワムを作る事に成功したほか、サンサの効果と同等に、まったく睡眠を取らずに活動する事が可能となっている。ザシュニナの一番近くに存在する人類であり、ザシュニナと日本政府との交渉をより円滑に行うために貢献するが、のちにザシュニナの真意を知って彼の計画を拒絶。徭沙羅花と共に、ザシュニナに立ち向かおうと奔走する。

ヤハクィ ザシュニナ

異方からカドと共に現れた異方存在。性別は男性のようでもあり、女性のようにも見える。この宇宙に存在する人類の推進を目的にカドをはじめ、ワム、サンサ、ナノミスハインという四つのテクノロジーを異方から持ち込んだ。それを人類に与えるために、真道幸路朗を介して日本政府との交渉を始めるが、その真意は最終的に人類を異方へと連れて行く事にある。最初にコンタクトを取った幸路朗には、直接脳に働きかけて人類とのコミュニケーションの取り方を模索。最終的には、幸路朗の持っていたスマートフォンを読み取る事で、この宇宙に関する情報を得た。その後も本に興味を持ち、幸路朗から与えられた書籍を読む事に時間を割き、幸路朗とのやり取りの中で、次第に人間らしさを会得し始める。それにより、好き嫌いを理解したり、日本文化に興味を持って夏祭りに足を運んだりと、幸路朗に対して特別な感情を抱く事になる。

徭 沙羅花 (つかい さらか)

外務省の国際交渉官であり、日本政府代表団交渉人代表を務める女性。まじめな性格で、物静かだが、交渉の実力は真道幸路朗と同等と評価されている。徭を父親に持ち、徭悟を兄に持つ一般家庭に生まれ育った。しかし彼女も実は人ではなく、ヤハクィザシュニナと同様に異方存在で、この宇宙の管理者である。右手の薬指に指輪のようなものを付けており、「自分が自分であるための操のようなもの」と語っている。実際に彼女の覚醒時、指輪が砕け散っている事から、彼女の異方存在としての力を抑制していたものであると考えられる。人類が、与えられた時間を精いっぱい生きる事に美しさを感じており、人類を見守り、人類に寄り添った考えを持つ。人類と世界の尊厳を守り、自然な営みを大切にしたいと考え、それを壊しかねないテクノロジーを与えようとする強引なザシュニナを異方に帰したいと考えている。ザシュニナ側の交渉人として奔走している幸路朗を、自分の実家に連れて行くなどして、自分の考えに対して理解を得ようとする。服装のセンスが壊滅的で、特にTシャツに関しては誰もが首をかしげる独特の趣味を持っている。

花森 瞬 (はなもり しゅん)

外務省総合外交政策局国連政策課の事務官を務める男性。真道幸路朗の部下にあたる。気弱で頼りなく見えるが、実際はまじめで素直な性格。幸路朗を心から尊敬し、リスペクトしている。幸路朗と共に羽田空港で飛行機の離陸を待っていた時に飛行機ごとカドに飲み込まれた。その際、機長からの協力要請に名乗りを挙げた幸路朗に続き、協力を申し出た。実際に幸路朗が日本政府との交渉を始めたあと、幸路朗と羽深清鷹からの推薦により、限定分野によって首相相当の強大な権力が与えられる「日本国異方担当特使」に任命される事となる。のちに、幸路朗と徭沙羅花のあいだにできた子供、真道幸花を16年間相当養育するいう重要な役割を担う。その際、特定の領域内において時間を早めたために周囲に変化はなく、自分だけが1時間で16歳も歳を取ってしまった。

夏目 律 (なつめ りつ)

内閣官房国家安全保障局情報班に所属する女性。浅野修平と同様、真道幸路朗とは大学の同期にあたる。幸路朗に対しては密かに思いを寄せているが、顔や態度に出やすいために、周囲の人間は大抵彼女の気持ちを知っている。

画美 (えみ)

国営放送「NNK」の報道カメラマンを務める男性。言野匠とはチームを組んでいつもいっしょに仕事をしている。言野を慕っており、彼の仕事に対する姿勢をリスペクトしているため、言野がNNKからSETTENに引き抜かれた際、いっしょに行く事を決断した。

言野 匠 (ごんの たくみ)

国営放送「NNK」のディレクター兼報道リポーターを務める男性。画美とは、チームを組んでいつもいっしょに仕事をしている。カドやヤハクィザシュニナの事に関する報道に全力を注いでいるが、なにかと制限があり、自分のしたい事ができない事にジレンマを感じている。そんな彼の実力と、行動力が評価され、SETTENのCEOであるアダム・ワードから、自社のプレスになってほしいとヘッドハンティングを受ける。日本の報道機関の自主規制を気にせず、取材できる自由をエサに人類が知りたがっているザシュニナとカドの内部を撮って来る事を依頼され、画美をはじめとする仲間と共に自衛隊からの警告を無視する形でカドに接近。ザシュニナとコンタクトを取り、カド内部の単独取材に成功する。その後、サンサを目にする事でその恩恵を受け、サンサを人類に拡散するための役割を担う事になる。

犬塚 構造 (いぬづか こうぞう)

内閣総理大臣を務める男性。日本を代表する者として、突然現れたカドや、それに飲み込まれた乗員乗客の安全確認や救出方法の模索など、先頭を切って指揮した。また、ワムの拡散に至っては国連が制裁決議を下そうとする中で、ヤハクィザシュニナからの提案に独断でゴーサインを出す。国連に関しては常日頃から否定的な見解を持っており、その対応に不満をにじませていた。

羽深 清鷹 (うぶか きよたか)

内閣官房長官を務める男性。突然現れたカドや、それに飲み込まれた乗員乗客の安全確認や救出方法の模索など、非常時において日本政府を取りまとめ、解決にあたって尽力した。もともと面識のあった真道幸路朗の実力を誰よりも買っており、まだ若かった彼を内閣参与に推薦したいと考え、打診した事もあった。

御船 哲人 (みふね てつひと)

過去にノーベル賞を受賞した事がある物理学者の男性。今回、突然現れたカドやヤハクィザシュニナに関する一件において、有識者として活躍する。品輪彼方の師匠的な存在であり、彼方の実力を買っている。彼方を、この先ノーベル賞を何度も取るであろうほどの天才であると賞賛する反面、彼女の無邪気さゆえの危うさについても言及している。

品輪 彼方 (しなわ かなた)

御船哲人の助手を務める理論物理学者の女性。その実力は天才的で、御船からも、この先何十回もノーベル賞を取るだろうと太鼓判を押されている。一方で妙に子供っぽく、好奇心には勝てないところがあり、無邪気さゆえの危うさを持ち合わせている。今回、突然現れたカドに関する一件において、カドを解明するために有識者として活躍。ほかにも、ワムの作成を成功させたりと、一人類でありながら、超人的な能力を発揮する。また、サンサの恩恵を得たあと、フレゴニクスに対応するための人造フレゴニクス「アンタゴニクス」の開発に手を貸した。

笹内 直己 (ささうち なおみ)

政務担当の外務審議官で、首席交渉官を務める男性。ヤハクィザシュニナとの交渉において、日本政府側にも交渉人が必要であると判断して日本政府代表団交渉人代表に、徭沙羅花を指名。彼女の交渉の実力は、真道幸路朗と同等と評価した。

浅野 修平 (あさの しゅうへい)

国家公安委員会警察庁長官官房で、会務官補佐官を務める男性。夏目律と同様、真道幸路朗とは大学の同期にあたる。そのため、もともといっしょに飲みに行く程度に仲がよく、カドに飲み込まれ、ヤハクィザシュニナ側の交渉人となった幸路朗を心配している。

真道 美晴 (しんどう みはる)

真道幸路朗の母親。狭山湖に近い場所で「小料理屋みはる」を営んでいる。かっぽう着姿の和服美人で、何事にも動じないしっかり者。自分の子と酒を飲む事の楽しさを説き、それを知らないかもしれないヤハクィザシュニナを、寂しくてかわいそうな人だとして、同情の感情を見せた。

アダム・ワード

国際的ネットワーク企業「SETTEN」のCEOを務める男性。世間からは、SETTENを築き上げた時代の寵児と評されている。ジャーナリストである言野匠の行動力と実力を評価し、自社のプレスになってほしいとヘッドハンティングした。日本の報道機関の自主規制を気にせずに取材できる自由をエサに、全人類が今知りたがっているヤハクィザシュニナとカドの内部について取材してほしいと依頼する。

ビショップ・フォスター

国際的ネットワーク企業「SETTEN」で、アダム・ワードと共に共同CEOを務める男性。ヤハクィザシュニナから託されたサンサについて、映像を放映するかどうかの話し合いに参加した際、それは映像によるテロリズムであると、サンサの放映に強く反対した。

(つかい)

徭沙羅花の父親。代々彫金を行う職人の家系に生まれ育ち、みこしを飾る金属部分「錺」の彫金などを主な仕事にしている。10年前に妻を亡くして以来、男手一つで娘と息子の徭悟を育てて来た。悟は現在も自分のもとで修行中のため、生活や仕事を共にしている。カドに関する事で、世間が大騒ぎになっている中、帰宅した沙羅花が真道幸路朗を連れて来たため、結婚の挨拶と勘違いした。

徭 悟 (つかい さとる)

徭沙羅花の兄で、徭の息子。代々彫金を行う職人の家系に生まれ育ち、みこしを飾る金属部分「錺」の彫金などを主な仕事にしている。父親のもと、職人として現在も修行中。大柄な体型で、明るい性格の持ち主。カドに関する事で、世間が大騒ぎになっている中、帰宅した沙羅花が真道幸路朗を連れて来たために結婚の挨拶と勘違いした。

刑部 (おさかべ)

「刑部鍍金」の代表取締役社長を務める男性。もともとはクロムメッキの会社として、青函トンネルを掘る機械も受注したほどの会社だったが、たくさんあった政府からの依頼も時間と共になくなり、資金難によって技術開発を続ける事が難しくなった時があった。その際、用地買収の交渉のために会社を訪れた真道幸路朗の助力を受け、スーパーメタルの開発に成功。再び内閣府との共同事業に参加するまでになった。のちに、異方存在の企みから人類を救うため、品輪彼方と共に人の手によるフレゴニクスの発生と無効化のための装置「アンタゴニクス」の開発に着手する。

真道 幸花 (しんどう ゆきか)

真道幸路朗と徭沙羅花の娘。ヤハクィザシュニナから特別な変換を受けた幸路朗が、その後負傷して治療を受けるために沙羅花から新たな体を手に入れた。そこに偶然にも新たな特異点が生まれた事で、彼女の存在が発生。時間に干渉し、1時間で16年間分が経過するという特異な領域内で花森瞬により育てられたため、実際には生まれて1時間にもかかわらず、16歳の姿にまで成長した。人類、そして異方存在をも上回る高次元の存在。

集団・組織

SETTEN (せってん)

売り上げ高3兆円、時価総額100兆円の世界を席巻するネットワークサービス企業。アダム・ワードとビショップ・フォスターが共同でCEOを務めている。サンサの拡散という大きな役割を担ったため、独自に衛星を取得。オンラインと衛星放送で、史上最大規模の中継を実現させるための次世代建造物を3日で完成させて、全世界放映を行った。

場所

異方 (いほう)

この宇宙の外側にあるというヤハクィザシュニナの領域の事。異方の言葉で「ノヴォ」と表現される。真道幸路朗は、日本語で「高次元世界」と例えたが、大筋では間違っていないものの、正確ではない。異方の次元数は、この宇宙を三次元とすると、これに37を加えたもので、37乗倍の処理速度と37乗倍の広がりを持つ世界である。しかし、その膨大な処理能力をもってあらゆる情報を一瞬で処理してしまうため、つねに情報不足の状態にある。したがって、異方は空虚となっているため、異方存在が無数に及ぶ「情報の繭」を創造し、その中で人類を作り出した。

その他キーワード

ワム

ヤハクィザシュニナが人類の推進のために、異方からこの宇宙に持ち込んだ二つ目のテクノロジー。異方から恒久的に電力を取り出す装置で、その量は無限に等しい。燃料を必要とせずに公害もなく、条件さえ整えば世界中の電気を賄える可能性がある。形状は手のひらサイズの球体で、二つで対になっている。ふつうの紙を使用し、折り紙の要領で複雑な球体を折って作り、最後に叩き潰す事でできあがる。特別な工程はないため、基本的に誰にでも作り出せる可能性がある。ただし、その作成には複雑な形を作る必要があり、異方の感覚が必要となるために実際にはその成功率はかなり低く、仮に一度作る事ができたとしても再現性はないに等しい。

サンサ

ヤハクィザシュニナが、人類の推進のために異方からこの宇宙に持ち込んだ三つ目のテクノロジー。人類に異方を認識させ、異方の感覚を与える事ができる物体。もともと人類は、この宇宙において自身の存在のごく一部しか認識できていない。これを会得すれば、複数の次元にまたがって存在する複数の自分自身を外側から感じる事ができるようになる。それにより、複数の自分自身をワークシェアリングする事ができるようになるため、拡張領域に睡眠を代行させる事が可能になり、睡眠や休息を取る必要がなくなる。これは複雑な形状を持ち、人類に再現する事はできない。通常は黒い箱に収められており、その箱を開けて目にするだけで人類の精神活動に影響を及ぼすが、人体への危険は確認されていない。

ナノミスハイン

ヤハクィザシュニナが人類の推進のために、異方からこの宇宙に持ち込んだ四つ目のテクノロジー。重力制御や慣性制御、質量制御といった異方の操作を人類が行うための補助具で、「異方存在の腕」ともいえるもの。異方の操作を宇宙内部から行う事が可能で、宇宙の設定に手を加える事もできるが、ワムと同様に異方の感覚に慣れなければ正しく扱う事が難しい。重力加速度を自由に増減させる事が可能で、範囲も量も自由に制御が可能なため、流通や移動、宇宙開発、領域内の時間数干渉などその可能性は無限大であり、広い汎用性を持つ。

隔絶体 (かくぜつたい)

異方存在を閉じ込める事ができる檻のようなもの。手のひらサイズの小生型十二面体。これを使えば、ヤハクィザシュニナを内部に封じこめられるが、その前にザシュニナ自身を守るフレゴニクスの除去が必要となる。

カド

ヤハクィザシュニナが、人類の推進のために異方からこの宇宙に持ち込んだ一つ目のテクノロジー。2017年7月25日に羽田空港上空に突如として現れた一辺約2キロメートルの巨大立方体。離陸途中だった旅客機256便を、乗員乗客252名ごと飲み込む形で羽田空港の滑走路上に降り立った。この宇宙と異方の中間世界であり、変換機構でもある。ザシュニナがこの宇宙に降り立つために用いた乗り物のような物で、家のような存在でもある。電磁放射線、粒子放射線、赤外線などは存在せず、エコーやサーモにも反応しない。外から直接触れる事はできるが、なにかで削る事もなにかを通す事もできず、反射もしない。戦車を用い、徹甲弾をもってしても傷一つ付ける事ができない。浮遊の概念はなく、安定して存在するには振幅のない固定接触面が一定量確保できる事が望ましいとされる。カド内部から人が出入りするには処理が必要となり、乗員乗客すべてが解放されるまでには時間が必要となった。そのため、飲み込まれた252人すべてが解放されるのを待ち、約1か月後の8月26日に狭山湖周辺に移動する事となった。また、カド内部には治外法権が認められており、その権利はすべてカドの所有者であるザシュニナが持っている。

ユノクル

異方で使われる言葉で表現したもの。この宇宙において、同等の物を意味する言葉は存在しないが、幸路朗幸路朗は、共感や共有の精神ベクトル、すなわち余剰の物を分ける心に近い意味を持つと考えている。

異方存在 (いほうそんざい)

この宇宙の外側にあるという別世界、異方に存在する者の総称。ヤハクィザシュニナや徭沙羅花がその一部であり、異方存在が多くの情報を欲した結果、「情報の繭」としてこの宇宙を創造して人類を産み出した。

フレゴニクス

「すごい隔絶」「境界」を意味する言葉。カドの境界に対して品輪彼方が付けた名称。これは異方と、この宇宙の境界に対してできるバリアのようなものであり、ヤハクィザシュニナにも存在する。しかし実は異方と、この宇宙の境界を強引につないだ際に発生する「齟齬」のようなもので、異方と宇宙の理解が完全に行われれば、フレゴニクスは必要ないものであるという事が、のちに真道幸路朗、真道幸花によって語られる。

クレジット

その他

野崎 まど

原作

東映アニメーション

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