あらすじ
第1巻
田中哲夫は大阪で育ち、幼い頃から漫才師を目指していた。しかし、いつも一緒に漫才の真似事をしていた白井とは、別々の高校に進学したのをきっかけに疎遠になり、白井はいつの間にか小林とコンビを組んでいた。哲夫は白井を見返すために漫才コンビ「猫田ドラ男トラ男」の猫田ドラ男に弟子入りするものの、うまくいかずクビになってしまう。
さらに借金もかさんで、借金取りに追われる毎日に疲れた哲夫は自殺を決意。しかし、天井から吊るしたヒモに手をかけたところで自殺を思いとどまる。その後、テレビで白井と小林の漫才を見て、哲夫はもう一度白井と漫才がしたいと思い、白井のもとを訪れる。小林との漫才に限界を感じていた白井は、小林にコンビ解消を告げるが、小林はその申し出を拒絶する。
それでも諦めきれない哲夫は、小林を騙し、小林の代わりに舞台に立つことに成功。哲夫は久しぶりに白井と漫才をする機会を得る。
第2巻
ファンシーボーイズの前座として、東京の舞台で漫才を披露した田中哲夫と白井だったが、哲夫が客にからんだ事をきっかけに場の雰囲気が悪くなり、ネタの途中で打ち切りとなってしまう。マネージャーの小林の機転のおかげで、二人は翌日も舞台に立てるようになり、前日の失敗を反省して、2日目は客をそれなりに笑わせる事に成功。その漫才を舞台袖で見ていたラジオプロデューサーの神崎オサムから、神崎が担当する番組の、若手芸人がネタを披露するコーナーに出演を依頼されるのだった。月1回の出演でコーナーの時間は3分だけと短い事から、哲夫は乗り気ではなかったが、漫才ができるだけで満足だという白井の一言で出演を承諾する。こうしてレギュラー番組を得た二人は、東京での地道な活動のおかげで徐々に人気が上がっていく。
登場人物・キャラクター
田中 哲夫 (たなか てつお)
漫才師になって舞台で客を笑わせることを夢見る男性。幼い頃に父親に連れて行ってもらった寄席で初めて生で漫才を見て、漫才の凄さを感じ、漫才師を目指すようになる。幼なじみの白井からは「てっちん」と呼ばれている。白井と2人で毎日公園で同級生を相手に漫才の真似事をし、将来コンビを組むことを約束していた。しかし高校進学の際に離れ離れになって、白井はいつの間にか小林とコンビを組んでいた。 その後は漫才コンビ「猫田ドラ男トラ男」の猫田ドラ男に弟子入りするが、上手くいかずにどんどん自堕落な生活を送るようになり、最後はクビになる。借金取りに追われる毎日に疲れて自殺しようとするが実行直前に断念。もう一度白井と一緒に漫才がしたいと願い、白井にコンビを組んでほしいと申し出るも拒否されてしまう。 それでも諦めきれず、小林を騙して小林の代わりに舞台に立ち、白井と漫才をすることに成功。このことをきっかけに白井と再びコンビを組むことになり、漫才コンビ「万歳(まんざい)」を結成した。自分勝手でややお調子者な性格。漫才ではツッコミ役を担当している。
白井 (しらい)
田中哲夫の幼なじみの男性。幼い頃から哲夫と一緒に漫才の真似事をし、将来コンビを組むことを約束していた。しかし、哲夫が自分以外の人間と漫才をやっているところを見て小林と漫才コンビ「ザ・マキビシ」を結成する。テレビの新人芸人お笑い勝ち抜き番組で9週勝ち抜くほどの活躍を見せているが、小林との漫才に限界を感じていた。 小林との漫才に対する意識の違いからザ・マキビシの解散を決意する。哲夫からコンビを組んでほしいと申し込まれた時も、哲夫の漫才に対する情熱の低さを理由に拒否する。しかし、小林を騙して代わりに舞台に上がってきた哲夫と漫才をしたことをきっかけに、再び一緒にコンビを組むことを決め、漫才コンビ「万歳(まんざい)」を結成した。漫才に本気で取り組み、妥協を許さない性格。 漫才ではボケ役と台本作成を担当している。
猫田 ドラ男 (ねこた どらお)
漫才コンビ「猫田ドラ男トラ男」で活動する男性漫才師。田中哲夫の漫才の師匠でもあり、哲夫を含む弟子たちから「師匠」と呼ばれている。不真面目な態度を繰り返す哲夫にクビを言い渡す。哲夫が自分に弟子入りしたのは「(弟子入りしようと考えた時に)一番最初に目についたから」という適当な理由だと思っている。実際は哲夫が「漫才を生で初めて見て、漫才の凄さを感じた」という真摯なものだったが、猫田ドラ男はこのことを知らない。
小林 (こばやし)
白井と漫才コンビ「ザ・マキビシ」を結成していた男性。漫才ではツッコミ役を担当する。白井とは高校からの知り合いで、お笑いが好きなため漫才師を目指す。テレビの新人芸人お笑い勝ち抜き番組で9週勝ち抜くほどの活躍をしていたが、漫才に対する意識の違いにより白井からコンビ解消を宣告される。白井と自分の代役として漫才をする田中哲夫の2人を見て、自分は笑わせるより笑うほうが好きだと気付き漫才師をやめる。 その後は哲夫、白井の良き理解者として2人をサポートし、2人のコンビ名を「万歳(まんざい)」と名付ける。そして小林自身は万歳のマネージャーとなる。
神崎 オサム
ホーム放送でラジオプロデューサーを務める男性。自分が担当する番組の若手芸人がネタを披露するコーナーに出演させるのに、相応しいかどうかを見極めるためにファンシーボーイズの舞台を見に来た。そこで田中哲夫と白井の漫才を見て二人の可能性を感じ取り、ファンシーボーイズの代わりにコーナーへの出演を依頼する。
ファンシーボーイズ
東京で活動する男性芸人コンビ。大阪の寄席にゲストとして呼ばれ、東京からファンが追っかけてくるほど人気が高い。舞台に上がれない田中哲夫のことを素人、アマチュア扱いしていたが、哲夫に自分のほうが面白いと挑発され、哲夫を東京での舞台に招待する。