概要・あらすじ
主人公の音村左乃助は、歌舞伎界の名門、音村屋の長男。父の死後、音村屋の名跡寿三郎を継ぐことは確実と言われていたが、そこへ腹違いの弟の桐生右近が現れ、寿三郎の名跡は自分のものだと言い出した。寿三郎の座を巡り、兄弟二人の骨肉の争いが始まる。
登場人物・キャラクター
音村 左乃介 (おとむら さのすけ)
歌舞伎界の名門、音村屋の嫡子で、通称「歌舞伎界のプリンス」。父の死後、その名跡である音村寿三郎を継承することになっていたが、腹違いの弟の桐生右近が現れたことにより、骨肉の跡目争いに巻き込まれていく。傲岸不遜な性格だが、芸事に関しては真摯で、卑劣な手を使う右近に対しても真正面から戦いを挑もうとする。
桐生 右近 (きりゅう うこん)
音村寿三郎と時枝の間の隠し子で、音村左乃介とは異母兄弟にあたる。寿三郎の死後、左乃介のもとに現れ、音村屋の跡目を巡って争い始める。性格は残忍で狡猾。目的のためなら手段を選ばない。歌舞伎については天性の才能を持っており、妖艶な魅力で観衆を虜にする。
若治 (わかじ)
音村左乃介の付き人。左乃介が幼い頃から息子のようにかわいがり、公私にわたって世話をしてきた。桐生右近の非凡な才能を見抜き、彼との戦いに燃える左乃介を心配している。
音村 寿三郎 (おとむら じゅさぶろう)
音村左乃介、桐生右近の父で、故人。歌舞伎の名門、音村屋の第十四代目で、嫡子の左乃介よりも隠し子の右近に歌舞伎の才能を見出し、遺言状に右近に音村屋を継がせる旨をしたためていた。
志乃川 菊衛門 (しのかわ きくえもん)
全俳優協会歌舞伎会の会長。芸事について非常に厳しい審美眼を持っており、\"褒めずの菊衛門\"と呼ばれている。桐生右近に非凡な才能を見出し、彼に稽古をつけている。
志乃 (しの)
音村寿三郎の後妻。非常に強欲な性格で、寿三郎の死後に音村左乃介によって家を追い出されたが、左乃介と右近の跡目争いが始まるや再び現れ、音村屋の財産を目当てに右近に取り入ろうとする。
大戸 梅次郎 (おおと うめじろう)
歌舞伎の勧進元、株式会社梅竹の会長で、歌舞伎界に絶大な影響力を持っている。人間同士の醜い争いが大好きで、音村屋兄弟の跡目争いに注目する。桐生右近の母、時枝を情婦として連れている。
時枝 (ときえ)
桐生右近の母。右近を偏愛しており、彼に音村屋の名跡を継がせるため暗躍する。歌舞伎界に絶大な影響力を持つ大戸梅次郎の情婦。
絵島 アヤ (えじま あや)
一介の芸能レポーターだったが、音村左乃介を取材するうちに彼と惹かれ合い、恋人同士となる。抱かれた相手に幸運をもたらす\"あげまん\"であり、彼女と交際を始めてから左乃介にツキが訪れ出した。
その他キーワード
音村屋 (おとむらや)
『右近左乃介』に登場する歌舞伎屋号。音村左乃介が率いる歌舞伎の名門で、その名跡「寿三郎」を継ぐ者は歌舞伎そのものを継承するとも言われる。
クレジット
- 原作