概要・あらすじ
井川ひろゆきは、ある雀荘で天貴史と麻雀を打つ。ひろゆきは終始優勢に進めるも明らかにイカサマである天和・九蓮宝燈のダブル役満を天に和了され敗れる。しかしこれがきっかけとなり二人の親交が生まれ、次第に彼らは裏社会でのヤクザの代打ち麻雀に足を踏み入れていく。
登場人物・キャラクター
天 貴史 (てんたかし)
『天 天和通りの快男児』の主人公のひとり。麻雀打ちの博徒。初めのころはイカサマに頼って勝利したり素人に大敗したりと麻雀の実力があるようには見えなかった。だが次第に無類の勝負強さを見せるようになり、元裏社会トップの麻雀打ち赤木しげるに勝利するほどとなる。その後、麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦の東側のリーダーにまで上り詰めた。 東西戦では赤木しげるを始めとする猛者と共に西側の原田克美・僧我三威らと戦い勝利を得る。通夜編ではアルツハイマーに侵された赤木の自殺を対話を通して止めようと説得する。
井川 ひろゆき (いがわ ひろゆき)
『天 天和通りの快男児』の主人公のひとり。物語の初めの頃は、大学受験生の麻雀打ちであった。理詰めの麻雀で雀荘で荒稼ぎしていた際に天貴史のイカサマに敗れ、これがきっかけで天と交流を持つようになる。沢田によって裏社会の麻雀の代打ち世界に足を踏み入れ、麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦では天が率いる東側の代表メンバーとして参加をする。 天や赤木しげると共に西側の猛者たちと闘う中でひろゆきは成長していくが、一方でその天才達との間に決定的な差を感じてしまい麻雀界で代打ちとしていくことをあきらめてしまった。通夜編ではアルツハイマーに侵された赤木と対話し、成功や失敗に捉われ停滞している人生からの出発を諭される。
赤木 しげる
かつて裏社会の頂点に君臨していた伝説の博徒。不敗であったが代打ちとして天貴史と対戦し一半荘だけ敗北を喫す。その後、麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦では天が率いる東側の代表メンバーとして参加し、原田克美・僧我三威ら西側と熱戦を繰り広げる。 通夜編ではアルツハイマーに侵され、会話能力などには問題ないものの麻雀のルールや簡単な計算すらわからなくなってしまっており、自ら安楽死を選択する。安楽死の決行する直前に共に真剣勝負を戦った東西戦でのメンバー達を招集し言葉を交わす。福本伸行によるスピンオフ作品『アカギ ~闇に降り立った天才~』では主人公で、若き頃活躍が描かれる。
沢田 (さわだ)
任侠ヤクザ。雀荘で井川ひろゆきと打った際、その才能を見抜き、組の麻雀代打ちに推薦する。悪人には例え取引相手でも屈しない。ヤクザの勝負でイカサマを行った天貴史が組の報復で死ぬことを避けるために自らにケジメに赴く。
健 (けん)
サングラスをかけていて関西弁で話す麻雀打ち。大阪の雀荘で井川ひろゆきと出会い、麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦の存在を教える。大阪在住ながら天貴史が率いる東側として東西戦に出場。予選リーグ前半戦で西のボス原田克美相手に役満を和了るもイカサマを暴かれ敗れる。 物語終盤の通夜編では金光修蔵の次に赤木しげるに面会をした。
浅井 銀次 (あさい ぎんじ)
ガンパイを得意とする老人。麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦の東側のリーダーである主人公天貴史に代表メンバーとして声をかけられ、一度は断ったものの博打打ちとしてのプライドから参加を決意する。ガンパイで西側を圧倒するも西のボス原田克美にトリックを看破され敗れる。 物語終盤の通夜編では末期癌に侵され、同じく病の床にある赤木しげると死の恐怖について語り合う。
金光 修蔵 (かなみつ しゅうぞう)
「東北の金光」と呼ばれる麻雀の実力者。麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦の天貴史が率いる東側として参加するが予選リーグ前半戦で僧我三威のイカサマに敗れる。物語終盤の通夜編ではアルツハイマーに侵された赤木しげるの通夜を取り仕切り、対話の際には安楽死を選ぶ選択に迷いが生じたら思い留まるよう説得した。 赤木とは元から親交があったようで東西戦の前は鷲尾仁と共に三人でハワイへと行っていた。
鷲尾 仁 (わしお ひとし)
「北海道の鷲尾」と呼ばれる麻雀の実力者。麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦の天貴史が率いる東側として参加し、その決勝進出をかけた戦いで同じ東側の陣営である井川ひろゆきの奇策によって敗退する。物語終盤の通夜編では健の次に赤木しげるに面会をした。 赤木とは元から親交があったようで東西戦の前は金光修蔵と共に三人でハワイへと行っていた。
原田 克美 (はらだ かつみ)
関西有数の暴力団の組長であり、現役最強と言われる麻雀の代打ち。目的の為ならば手段を選ばない冷酷さを持つと同時に麻雀に魅せられている男でもある。東西の麻雀界の代打ち再編成を目論むみ、麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦の発起人で西側のリーダーとして出場し東側を苦しめる。 決勝では僧我三威と共に天貴史・井川ひろゆきと戦い引き分けとなった結果、天との一騎打ちによる決着を望み二人麻雀を提案する。しかし、最終的には天のより深く現実的な読みの前に敗れる。物語終盤の通夜編では西側でありながら赤木しげるに招かれ、原田の人生は「成功が枷になっている」と説かれる。
僧我 三威 (そが みつい)
赤木しげるの前に十数年間一度も敗れることなく裏麻雀界を制してきた男。短いながら華やかであった赤木の活躍によって自らの活躍が霞んでしまったことから強い敵意を抱いている。麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦の西側として参加し決着をつけようとする。 物語終盤の通夜編では西側でありながら赤木に招かれる。赤木と決着と自殺を止めさせるため「9(ナイン)」というゲームを提案し勝負を挑む。しかし赤木による超人的な奇跡を目の当たりにし、その死を認める。
尾神 桂 (おがみ)
原田克美が天貴史を倒すために用意した刺客、麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦にて、西側のリーダー原田の策により仮病を使った吉井の代理として出場、自らの勝利より天を倒すことだけを優先する異端の打ち筋で天を苦しめるも敗れる。
イベント・出来事
東西戦 (とうざいせん)
『天 天和通りの快男児』の登場する麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める対決。予選リーグでは前半戦では卓の第四位の者が脱落する「ビケ殺し」、後半戦では半荘ごとにトップが抜けて最終的に残った三名が脱落する「トップ取り」、決勝リーグでは満貫縛りかつ和了っても点棒は増えず減るだけという変則麻雀、最終決戦では5つの決められた役を早く和了した方が勝利という「クリア麻雀」のルールが採られた。
その他キーワード
二人麻雀 (ふたりまーじゃん)
『天 天和通りの快男児』の登場する麻雀のルール。麻雀によって東日本と西日本のヤクザ達の覇権を決める東西戦が引き分け終わり、決着を付けるために西側のリーダー原田克己によって提案がされた。通常の麻雀と同じように二人でテンパイまでを競う「ステージA」、リーチあるいはテンパイを宣言した後に相手の和了牌を読み当てる「ステージB」の二段階に分かれる。 作中では時間を一時間に設定し、終了時に得点の多かったものの勝利とした。
9 (ないん)
『天 天和通りの快男児』の登場する麻雀牌を用いたゲーム。物語終盤の通夜編でアルツハイマーに侵された赤木しげるとの最後の決着を付けるために僧我光威によって提案された。互いに1から9までの数牌を持ち、その中から一牌を選択し伏せて出し同時開いて数の大小を競う事を繰り返す単純なゲーム。作中では僧我は自分の死を、赤木は自殺を止めることを賭けて戦う。
関連
アカギ ~闇に降り立った天才~ (あかぎ ~やみにおりたったてんさい~)
漫画『天 天和通りの快男児』のスピンオフ作品。才気、直感、運気、精神力、ギャンブルに必要な素養を全て持っている若者が、裏社会のギャンブラー達と麻雀で対局し、伝説を築き上げていく姿を描いた麻雀漫画。 関連ページ:アカギ ~闇に降り立った天才~