世界観
古朝鮮に伝わっている檀君(ダンクン)神話をベースに、高句麗の王子、タムドクが高句麗中興の祖である高句麗太王(広開土太王)として成長していく過程を描いている。そのため、大河作品でありながらファンタジー要素が強く、一部の人間が自在に炎をあやつったり、チュシンの王に呼応して神物、四神の神器が光を放つなどの演出が含まれている。
あらすじ
第1巻
神話の時代。虎族の火の巫女、カジンは、世界を支配すべく他部族の村に暴虐の限りを尽くしていた。戦乱の世を憂えた神によって地上に降り立った神の子、ファヌンは地上を平穏にするため、カジンの炎をあやつる力を「朱雀の心臓」と呼ばれる宝玉に封じ、虎族と対立している熊族のリーダー、セオへと与え、ファヌンはセオと結ばれる。しかし、同じくファヌンに好意を抱いていたカジンは、セオに激しい憎悪を向ける。
第2巻
チュシンの星が輝いた日、ファヌンの生まれ変わりである高句麗王子、タムドクが生まれた。しかし同じ日、高句麗の最高貴族、従兄弟のヨン・ホゲも生まれ、高句麗王家はタムドクとヨン・ホゲ、どちらがチュシンの王に選ばれるかで対立関係となってしまう。タムドクとヨン・ホゲは少年期は仲がよかったものの、ヨン・ホゲの母親、ヨン夫人がタムドクの父親、ヤン王を毒殺を企んだ事件を境に、二人も敵対し始める。そんな中、タムドクは天地神堂の巫女であり、火天会の刺客でもある少女、キハと恋に落ちる。
第3巻
高句麗中の民が集まる撃毬大会が開催された。文武に長けたヨン・ホゲが黄軍を率いて、民衆の人気を集める中、タムドクはお忍びで観戦に訪れていた。そこで劇毬大会を観戦に来ていた少女、スジニと知り合ったタムドクは、黄軍の選手が多くの反則行為を行っている事を知る。また、その反則行為によってスジニの知己であるチョルノ部族の黒軍を痛めつけている事に気づいたタムドクは、素性を隠して黒軍に参加する。ところが落馬の際に兜が脱げ、王子という事がバレてしまう。
第4巻
世界征服を狙う火天会と、ヨン・ホゲを次期王に据えたいヨン・ガリョの策略により謀反が起こり、ヤン王とタムドクは命を狙われる事になった。タムドクは高句麗王の座をヨン・ホゲに譲り、ヤン王、そしてキハと静かに暮らす事を願うが、ヤン王はなんとしてでもタムドクをチュシンの王にするべく、キハと二人きりの時に自刃し、王殺しの濡れ衣を着せてタムドクとの仲を引き裂く。そんな中、タムドクは自身を支えてくれたチョルノ部族の若者達が戦死していくのを目にし、激昂する。
第5巻
チュシンの王として生きる決意をしたタムドクは、ヒョンゴやスジニに支えられ四神の神器の一つ、青龍の慈悲を手に入れるべく進軍する。一方、ヤン王殺しの犯人と誤解されたキハの胎内には、タムドクの子が宿っていた。このままでは子供まで火天会に利用された末に殺されると考えたキハは、キハに思いを寄せるヨン・ホゲを利用する事を思いつくのだった。
第6巻
タムドクが百済の各地で戦わずに勝利を収め、民に慈悲を持った対応を行っているという評判が高句麗を駆け巡っていた。火天会と火天会大長老に騙されていたと知ったヨン・ガリョや貴族達は、タムドクが国内城に辿り着いた時には無血開城し、タムドクこそがチュシンの王と認めて、伏して許しを請う。しかし、ヨン・ホゲとタムドクの決戦はもはや避けられず、二人は軍を率いて戦場で向き合う事となる。その頃キハは、火天会を家族の仇と知ったスジニと対決した事で、かつての記憶を取り戻していた。
関連作品
本作『太王四神記』は、韓国のTVドラマ『太王四神記』を原作としており、主人公のタムドク役はペ・ヨンジュンが演じている。コミカライズにあたっては、物語の大筋は同一であるものの、登場人物の生死など細部が多少変更されている。
登場人物・キャラクター
タムドク
ヨン・ホゲのいとこ。チュシンの星が輝いた日に生まれた、チュシンの王になるべき男性。神の子であるファヌンの転生した姿。幼少期はヤン王と共に田舎で静かに暮らしていたが、ソスリム王の危篤に際して国内城に呼び戻された。頭脳明晰で武芸にも秀でており、勇気もある。しかし、王家の中でも立場の弱いヤン王が即位した直後は、ヨン・ホゲをチュシンの王と信じる一派に暗殺されないよう、愚鈍な王子として振る舞う事を強要されていた。 しかしヤン王が毒を盛られている事を知った際、推理によってヨン夫人を犯人として問い詰め、その件でヨン家が糾弾されないよう手を回した事で聡明さが知られるようになった。国内城に移り住むようになった頃、火天会大長老の命を受けて書庫に入り込んでいるキハと知り合い、それ以降お互いに特別な思慕を抱くようになる。 撃毬大会でチョルノ部族率いる黒軍に参加した事で、中立であるはずの王子が一部族を贔屓にしたとして謹慎にされる。それをきっかけに、国民からヤン王とタムドクへの不満が募り、大規模な謀反が起こった。 ヤン王を殺害したのはキハだと思い込んでおり、キハの弁解に耳を貸そうとしなかった。やがて、「高句麗太王」と呼ばれるようになっていく。
キハ
生き別れになったスジニの実姉。カジンが転生した女性。朱雀の心臓を護り続けていた血筋に生まれ、生まれつき任意で炎をあやつる能力を持っている。チュシンの星が輝いた日に火天会に拉致され、火天会の烙印(焼き印)を押されると同時に過去の記憶を失った。しかし深層心理には、母親から託されたスジニを守ろうとする意思が残っていた。 当初はチュシンの王となる人間に近づくため、天地神堂の見習い神女として潜入していた。その頃、火天会大長老の命を受けて国内城の書庫に入り込んでいた際、タムドクと知り合った。それ以降お互いに特別な思慕を抱くようになる。長じてからは司祭となった。ヨン・ガリョからはヨン・ホゲの守護司祭にと望まれたうえ、火天会大長老からは四神の一人「朱雀」として、ヨン・ホゲをチュシンの王として偽証させられている。 タムドクとは一度夜を共にし、妊娠している。謀反からヤン王を逃がそうとしたが、タムドクをチュシンの王として邁進させたいヤン王は、チュモ神剣を用いて自害。これにより、キハがヤン王殺害の濡れ衣を着せられる事となった。 ヨン・ホゲからは「朱雀」と呼ばれている。
スジニ
生き別れになったキハの実妹。セオが転生した女性。生後間もないチュシンの星が輝いた日に、生家を火天会に襲撃され、キハによって床下の甕の中に隠されたあと、少年時代のヒョンゴによって発見された。発見当初、炎の熱さと暗さによる恐怖で、額に黒朱雀が浮かび上がっており、ヒョンゴの周囲の大人達からは直ちに殺害するべしとの声が上がっていた。 お転婆で弓の名手だが、非常に酒好き。撃毬大会観戦に訪れた際、高句麗の王子と知らずにタムドクと知り合った。撃毬大会でタムドクと共に、正体を隠して黒軍に参加した罪で投獄されて以降、チョルノ部族と行動を共にしている。タムドクを思慕しているが、キハとタムドクの関係も知っており、恋心をひた隠しにしている。 しかしタムドクとキハが事実上破局し、フッケから養女にと誘われ、王妃になる道を示された時には、心が揺らいでいた。
ヨン・ホゲ (よんほげ)
タムドクのいとこの男性。チュシンの星が輝いた日、チュシンの星が輝きを失う直前に生まれたため、親であるヨン・ガリョとヨン夫人はヨン・ホゲこそがチュシンの王になるべき人物だと国中に広めており、またヨン・ホゲ自身もそう信じ自称していた。タムドクほどではないが頭脳明晰で武芸にも秀でており、汚い手を使って政敵を蹴落としたり、勝利を手にする事を嫌う潔癖な人物。 幼い頃、タムドクを愚鈍な王子と信じて色々と教えるなど仲よく過ごしていたが、ヨン夫人がヤン王の毒殺を企てた結果、服毒自殺する事となった事件をきっかけに決裂。天地神堂に入る前のキハを偶然目にし、一目惚れして以降ずっと思い続けている。キハがタムドクを愛している事を知りつつ、せめて自分の傍にいてほしいと願っている。
ヤン王 (やんおう)
高句麗の第18代国王。タムドクの父親にしてソスリム王の弟、ヨン夫人の兄。母親が敵国の捕虜となっているあいだに生まれたため、王家の血筋を引いていないと噂され、ソスリム王が存命の間は田舎で隠居生活を送っていた。チュシンの星が輝いた日にタムドクが生まれ、また天地神堂の大神官が出産に立ち会った事などから、タムドクをチュシンの王になる人物と知っていた。 ソスリム王が危篤となった際に国内城に呼び戻され、即位した。危険や、王となる道を邪魔する存在からタムドクを遠ざけようと奮闘する。元来高句麗王になるつもりがなかったタムドクが、謀反が起こった事を理由にヤン王とキハを伴って逃亡しようとしたのを引き留めるため、キハの目の前でチュモ神剣を用いて自刃。 同席していたキハに殺害されたと周囲に思い込ませる事で、タムドクとキハのあいだに深い溝を作り、タムドクをチュシンの王への道に引き戻した。戴冠前はソスリム王や家臣から「オジジ」という名で呼ばれ、戴冠後は多くの場合「陛下」と呼ばれている。
ヨン・ガリョ (よんがりょ)
ヨン・ホゲの父親にして、タムドクの叔父。高句麗の最高貴族で、王よりも強大な兵力を保有している。チュシンの星が輝いた日、チュシンの星の輝きが消える直前に生まれたヨン・ホゲを、チュシンの王になるべき人間だと信じ、国中に伝達していた。ヨン夫人の死後、民心を得ていないヤン王の傍らで実質的な政治を行いながら、火天会大長老に唆され、ヨン・ホゲを高句麗王に就かせるべく謀反を企てた。 多くの場合、官位名である「太大兄」と呼ばれている。
ヨン夫人 (よんふじん)
ヨン・ホゲの母親にして、ソスリム王とヤン王の妹、タムドクの叔母。チュシンの星が輝いた日、チュシンの星の輝きが消える直前に生まれたヨン・ホゲをチュシンの王になるべき人間だと信じ、国中に伝達していた。ヤン王の事は兄とも国王とも思っておらず、母親が敵国の捕虜として囚われているあいだに生まれたため、王家の血筋を引いていないと考えていた。 ヨン・ホゲを王に就けるためにヤン王の毒殺を企てたが、タムドクによって看破され、ヨン・ホゲの前で服毒自殺した。
ソスリム王 (そすりむおう)
ヤン王とヨン夫人の兄にして、先代の高句麗王。ヤン王を弟として大切に考えており、チュシンの星が輝いた日、タムドクが天地神堂の大神官の前で生まれ落ちた事を知っており、タムドクこそがチュシンの王となる人間と知っていた。崩御の直前、田舎で隠居生活を送っていたヤン王を国内城に呼び戻して王に就かせ、タムドクにチュシンの王となるよう言い残して息を引き取った。 ヨン夫人をはじめとして多くの人物から「陛下」と呼ばれている。
火天会大長老 (ふぁちょんかいだいちょうろう)
火天会を牛耳っている老人。へそまで届く長いあごひげを蓄えた男性で、虎族の末裔である事を強く自覚している。幼いキハがカジンの生まれ変わりと見抜いている。かつてのファヌンの息子、チュシンの王の血を引いた男の心臓と四神の神器を得て、世界を征服しようと企んでいる。またそのためにヨン・ガリョに取り入り、ヨン・ホゲがチュシンの王になる人間だと唆して、四神の神器を集めようと画策する。
サリャン
火天会に所属する男性。火天会大長老に仕えており、チュシンの星が輝いた日にキハを拉致する役目を担ったあと、記憶を失ったキハに武術や学問を教えて育てた世話係でもある。キハの生家を火攻めした際、炎に怯えたキハの恐怖が朱雀の心臓と同調して起こした爆発で、顔面の左側に酷い火傷を負った。そのため、つねに左側を髪で隠している。 キハを家族のように大切に思っており、キハがタムドクとの関係に苦悩し続けている様子を見て、陰ながら支えている。
ヒョンゴ
スジニの師匠で、育ての親でもある男性。コムル村の村長であり、玄武の知恵を受け継いでいる。かつてファヌンに天界から召喚された、白虎の生まれ変わり。スジニの生家に駆けつけた際、床下の甕の中からスジニを発見した。その際にスジニの額に黒朱雀が浮かび上がるのを目撃したが、周囲の証言に反して「赤だった」と主張し、直ちに殺害をと提案する大人達の決定を覆させた。 その代わり、仮にスジニに黒朱雀の兆候が現れた場合は、ヒョンゴ自身の手で殺害すると約束している。村人達からは「村長」、スジニからは「お師匠さま」と呼ばれている。
プルドル
白虎の力を受け継いできた一族の長男。パソンの生き別れの兄。契丹(きったん)という土地で一番の鍛冶屋として知られており、プルドルの鍛えた鍬や鋤は、どれだけ使っても錆びないといわれている。チュシンの星が輝いた日、輝きを放った白虎の力を持って逃げ延びるよう言い残して息絶えた父親の遺言を守って、契丹まで逃げ延びた。
パソン
白虎の力を受け継いできた一族の長女。プルドルの生き別れの妹。国内城近辺では名の知れた鍛冶屋で、撃毬大会の際にチョルノ部族の黒軍の蹄鉄を見にきたところ、タムドクと知り合った。タムドクがチュシンの王となるべき人間と知り、プルドルが白虎の力を持って生き延びている事を祈って、行動を共にする。
チョロ
青龍の慈悲を受け継いできた一族の男性。百済にある森に建つカンミ城の城主だが、鬼のような形相と、とうてい人間のものとは思えない肌の色により「カンミ城の魔物」と呼ばれ、城内の家臣達にも恐れられている。しかし、それはチョロが10歳だったチュシンの星が輝いた日、光を放つ青龍の慈悲を隠すため、父親の手によって心臓に青龍の慈悲を突き立てられていたせいである。 タムドクの手によって青龍の慈悲が引き抜かれて以降は肌の色も戻り、美しい男性の姿に戻った。
大神官 (だいしんかん)
天地神堂の最高権力者を務める女性。チュシンの星が輝いた日、山中で産気づいたタムドクの母親を探し出し、あばら屋で出産を見届けた。タムドクこそがチュシンの王として天に選ばれた存在だと認めており、ヨン・ホゲがチュシンの王であるという説が流布している件については、ヨン・ガリョが主張しているだけと認識している。
コ・ウチュン (こうちゅん)
ソスリム王の時代から王家に仕えている近衛隊将軍。ソスリム王が危篤となった際にはヤン王とタムドクを国内城に連れ戻すための使者となった。タムドクが大神官に、またヨン・ホゲがキハに、それぞれチュシンの王として指名された際には、国の分裂を回避するために、タムドクに自決を迫った事もあった。 しかしヤン王への謀反が起こった時、ヤン王から「今からはタムドクを守れ」と命じられて以降、タムドクの忠実な家臣として仕えている。
セドル
チョルノ部族の部族長、フッケの長男。スジニの親友。撃毬大会の際には黒軍を率いて参加したが、ヨン・ホゲ率いる黄軍によって出血多量の重傷を負わされ、退場となった。セドルがスジニの親友という事もあって、黄軍のやり方に業を煮やしたタムドクが秘密裏に黒軍に参加した。この事でヨン・ガリョ邸の牢に投獄されるが、タムドクには恩を感じており、死ぬ間際までタムドクを守るために戦った。
カクダン
高句麗王室に仕える近衛兵の女性。第三近衛隊の隊長を務めている。ヤン王やタムドクの忠実な側近でもある。特にタムドクは「兄妹のように思える」と語っていた。謀反が起こった際、キハと二人でヤン王を守るために戦ったが、キハとヤン王を二人きりにした直後に、ヤン王がチュモ神剣を用いて自刃。その際、神剣を引き抜こうと柄を握っていたキハの姿を見て、キハがヤン王を殺害したと思い込んだ。 その後すぐに満身創痍の状態でタムドクのもとに馬で走り、ヤン王の崩御とキハへの疑惑を報告した直後に死亡した。
フッケ
チョルノ部族の部族長を務める男性。セドルの父親。タムドクにセドルを救われた恩により、タムドクの味方として部族を率いる。スジニの事を、芯が強く素晴らしい娘と評価している。高句麗王家に王妃を輩出してきた家系で、ヤン王からもタムドクに王妃をと望まれていたため、スジニを養女にしたいと考えていた。
ファヌン
タムドクの前世にして、神の子。神話の時代、神から「地上を平和にせよ」という命を受けて地上に降り立った。風を司る者に白虎の力、雲を司る者に青龍の慈悲、雨を司る者に玄武の知恵を与えて地上を肥沃にし、虎族の暴虐から民を守ろうと考えていた。火を司る者が暴虐の限りを尽くす虎族のカジンだったため、カジンの能力を奪って朱雀の心臓の中に封じ、セオに与えた。 セオと愛し合って一子をもうけたが、セオが黒朱雀になった際には自らの手でセオを殺害し、世界を焼き尽くす炎を鎮めた。
セオ
スジニの前世にして、熊族のリーダーを務める女性。心優しいが勇敢な戦士で、弓矢の名手。誰よりも民を慈しみ、地上の平穏を守ろうとした事で、ファヌンに朱雀の心臓の所持者として選ばれ、自在に炎を扱えるようになった。ファヌンに見初められて一子をもうけるが、嫉妬したカジンに子供を殺されたと思い、黒朱雀となった。
カジン
キハの前世にして虎族の巫女。自在に炎をあやつる能力を持って生まれた女性。もともと世界を支配するため他部族の虐殺などを行っていたが、熊族の村で返り討ちに遭ったところをファヌンに救われ、恋に落ちた。しかしファヌンを慕っていては虎族のリーダーでいられないと考え、ファヌンに戦いを挑む。その結果、炎をあやつる能力を朱雀の心臓に封じられた。 ファヌンと結ばれたうえ、本来自分の能力であったはずの朱雀の心臓を与えられたセオを憎み、セオの子の命を狙う。
集団・組織
火天会 (ふぁちょんかい)
虎族の末裔達で構成されている組織。火天会大長老が頭領を務める。阿弗蘭寺を本拠地としており、2000年以上昔から世界征服を企み、四神の神器を狙って暗躍し続けている邪悪な集団として知られている。火天会に所属すると、肩に烙印(焼き印)を押され、火天会大長老の意思に反する行動を起こすと、苦しむ呪術をかけられる。
天地神堂 (てんちしんどう)
宗教施設である天地神堂に詰めている宗教団体。大神官が統治している。天の言葉を王や国民に知らせる役目を担っており、全員女性で構成されている。大神官をはじめ、司祭、神女、夜間警備を行う修行神女などが存在している。詳細は語られていないが、厳しい掟があり、掟を破った者は謹慎を言い渡される。
場所
阿弗蘭寺 (あぶるらんさ)
火天会の本拠地。カジンが死んだあと、指導者を失った虎族の末裔達が、虎族の祭壇のあった場所に建てた40の塔。火天会大長老がつねに身を置いており、火天会に所属させたい人間に烙印(焼き印)を刻み、暗示や洗脳を施すなどの術を使用している。
国内城 (くんねじょう)
高句麗の王族が暮らしている城。非常に広大な敷地を持っており、宗教施設の天地神堂とも隣接している。田舎の隠居生活から引き戻されたヤン王は戴冠当時、「地獄との境目の穴のような場所。人間の皮をかぶったゴミのような連中が集まって暮らしているところ」と評していた。
天地神堂(施設) (てんちしんどう)
高句麗において天の言葉を伝えるための宗教施設。国内城に隣接しており、宗教団体の天地神堂に所属する女性達が生活の場としている。広大な薬草畑を所有しており、この薬草畑は天地神堂に所属する者以外は立ち入れないとされる。
イベント・出来事
チュシンの星が輝いた日 (ちゅしんのほしがかがやいたひ)
タムドクとヨン・ホゲが生まれた日。キハは火天会に拉致され、スジニはヒョンゴに保護されている。またチョロやプルドルにとって人生の岐路となった日でもある。チュシンの王が地上に降臨した日とされている。
撃毬大会 (きょっくたいかい)
3年に一度、高句麗に住んでいる五部族が集まって戦う催し物。参加する選手たちは馬に騎乗し、杖矢と呼ばれるアイテムを用いて、ボールを相手ゴールに入れて得点を競う。杖矢で相手選手を打ち付けるなどの妨害を行う事も許されている。ヨン・ホゲ率いる貴族は黄軍として撃毬大会に出場し、セドル率いるチョルノ部族は黒軍として出場していた。
その他キーワード
チュモ神剣 (ちゅもしんけん)
高句麗を建国したチュモ王の剣。国内城の「太室」と呼ばれる一室に祀られており、鞘は苔むしているが、刀身は鋭利に輝いている。この太室はヤン王への謀反が起こった際にヤン王とキハが逃げ込んだ場所であり、タムドクとキハを別れさせるため、ヤン王が自刃に用いたのがチュモ神剣。また、黒朱雀はチュモ神剣でなければ殺す事ができないとされる。
四神の神器 (しじんのじんぎ)
かつてファヌンが四神に与えた朱雀の心臓、玄武の知恵、白虎の力、青龍の慈悲の4つの神器。ファヌンが天に還る際、地上に残していった。それぞれ、四神の末裔が代々護り受け継いでいる。チュシンの星が輝いた日にチュシンの王誕生に呼応して眩い光を放ち、守護していた一族が火天会の刺客に襲われるきっかけとなった。 また、四神の神器はチュシンの王の接近や求めに応じて呼応する性質がある。
朱雀の心臓 (すざくのしんぞう)
幼少期のキハが母親から託され、首から提げていた赤い宝玉。神話の時代、ファヌンがカジンの能力を封じ込めてセオへと与えたもの。チュシンの星が輝いた日、キハを拉致すると同時に火天会が奪った。キハがタムドクの事を考えたりするとチカチカと輝くが、そんな時には偶然近くにヨン・ホゲがいる事が多かったため、火天会大長老がヨン・ホゲをチュシンの王だと誤解する原因となった。
玄武の知恵 (げんぶのちえ)
ヒョンゴが所持している黒い木の杖。チュシンの王が激しい怒りや危機感に我を忘れた時に光り輝き、時空を超えてチュシンの王とその周囲にいる味方を包み込んで、別の場所へ転送する力を持っている。
白虎の力 (びゃっこのちから)
プルドルが所持している鉄の塊。チュシンの星が輝いた日に火天会の刺客に狙われたが、プルドルが契丹(きったん)まで逃げ延び、家の中に保管している。ヨン・ホゲが白虎の力を求めて現れた際に輝き、ヨン・ホゲへと捧げられたが、実際はキハの胎内にいるタムドクの子に反応して輝いたものだった。
青龍の慈悲 (せいりゅうのじひ)
チョロの心臓に突き立てられていた、大きく鋭利な鱗。チュシンの星が輝いた日に火天会の刺客に狙われたが、刺客から隠すため、父親によってチョロの心臓に突き立てられ、隠されていた。タムドクが接近すると青龍の慈悲が呼応するため、チョロは心臓を押さえ、苦しんでいた。
杖矢 (すてぃっく)
ゴルフクラブに似た杖。撃毬大会に出場する選手達が用いる。撃毬大会に使用する杖矢は中が空洞でなければいけないというルールがあるが、黄軍の選手達はヨン・ホゲをサポートするために、竹の中に鉄を仕込んだ杖矢を用いていた。また、ヨン・ホゲ自身はこの事実を知らされていなかった。
チュシンの星 (ちゅしんのほし)
チュシンの王が降臨する時に輝く星。それまでにない光を放ってまぶしく世界を照らすといわれている。この時、四神の神器も呼応して光を放つと伝えられている。火天会はこの時のために各地に刺客を放っており、神器を奪うため守護している一族を襲った。また、タムドクはこの星が最も輝いた瞬間に生まれており、ヨン・ホゲは輝きが消える直前に生まれている。
チュシンの王 (ちゅしんのおう)
高句麗や百済など、朝鮮半島に存在するすべての部族の王とされる人物。戦乱のない平安な世界を作る偉大な王とされており、チュシンの星が輝いた日に降臨するとされる。タムドクとヨン・ホゲが同じ王家、同じ日に生まれた事によってどちらがチュシンの王かという対立が起き、高句麗は分裂していく事になる。
チョルノ部族 (ちょるのぶぞく)
フッケが部族長を務めている部族。撃毬大会では黒軍として参加したが、ヨン・ホゲ率いる黄軍と対戦した際に多くの負傷者を出し、試合続行不能に追い詰められた。タムドクとスジニが素性を隠して参戦した事で互角の勝負にまで持ち直したが、「中立であるはずの太子が贔屓し、それに加担した」として、参加選手はヨン・ガリョの邸宅地下の監獄に投獄されていた。 タムドクがフッケの長男、セドル達を解放して以降、チョルノ部族はヤン王、ひいてはタムドクに忠誠を誓っている。
黒朱雀 (くろすざく)
朱雀の心臓の所持者、もしくは朱雀になる資格を持つ一族の者が、強大な怒りや憎しみで自分を制御できなくなった時の呼称。黒朱雀になった者は、額に黒い朱雀が浮かび上がる。また黒朱雀となった者は憎しみのあまり自我を失い、世界を焼き尽くすと伝えられている。かつてセオがこの黒朱雀となり、世界を焼き尽くした。
虎族 (とらぞく)
神話の時代に存在した一族。カジンの率いる火を守り神として崇めている。代々「火の巫女」と呼ばれる、炎を自在にあやつる事のできる女性をリーダーとして、他民族の土地を略奪してきた。代替わりしたり、役に立たなくなった火の巫女は、頭から油を注がれ、祭壇の炎で焼き殺される伝統となっている。
熊族 (くまぞく)
神話の時代に存在した一族。セオが統率している。東の地に村を構えており、虎族が襲撃して来るまでは平和に暮らしていた。一度は虎族を返り討ちにしたが、その後長期にわたって交戦状態となっている。