概要・あらすじ
1983年5月26日。父の病気で東京から秋田に戻った杉村真は、男鹿半島に磯釣りに出かけた。昼食を取ろうとした瞬間、大きな地震が発生した。そのまま岩場に留まった彼は、巨大な津波に呑みこまれてしまう。マグニチュード7.7を記録したこの日本海中部地震は、死者の大半が津波の犠牲者だった。九死に一生を得た杉村真だったが、その後津波が残した爪痕を見て回るうちに、釣り人としてあまりに津波に無知だったことを痛感する。
そこで彼は所属する釣友会の仲間に相談し、釣り人の視点からこの津波の調査をすることを提案した。釣友会に追跡調査特別委員会が結成され、杉村真はその調査員として被害者を訪ね、自然の脅威とそれに翻弄される人々の記録を重ねる。
登場人物・キャラクター
杉村 真 (すぎむら まこと)
眼鏡をかけた青年。初登場時26歳。東京で暮らしていたが、父の病気をきっかけに郷里の秋田に戻る。その際、付き合っていた冴子と別れていた。男鹿半島に磯釣りに出かけた際、日本海中部地震によって発生した津波に巻き込まれる。九死に一生を得るが、その後津波が残した爪痕を見て回るうちに、釣り人としてあまりに津波に無知だったことを痛感。 その後所属する釣友会の仲間達に釣り人の視点からこの津波の調査をすること提案。結成された追跡調査特別委員会の一員として被害者を訪ね、自然の脅威と翻弄される人々の記録を重ねる。
滝本 幸子 (たきもと さちこ)
ロングヘアの女性。3ヶ月前に滝本喬と結婚し、秋田県仙北郡のK町の滝本酒店に住んでいる。日本海中部地震によって発生した津波で、釣りにでかけた夫を失う。津波の被害を調査する杉村真から手紙をもらったことをきっかけに、共に被害調査に携わることを決意する。
岩田 哲男 (いわた てつお)
初登場時26歳。幼い頃に父の影響で釣りを始めた。禁煙をしてから釣果が格段に上がっていた。仲間と共に 男鹿半島で磯釣りをしていたところ、日本海中部地震が発生する。釣り道具を取りに戻ったために津波に呑みこまれたが奇跡的に助かる。のちに津波の調査をする杉村真の訪問を受ける。
柳田 誠一郎 (やなぎだ せいいちろう)
秋田市に住む老年の男性。地震発生前に現れるという「地震雲」について個人で研究を重ねている。(1983年)5月24日、見たことがない形状の地震雲を目撃して大地震の発生を予感する。地元新聞社の秋田魁新報社に連絡するが、電話を受けた高木には受け流されてしまう。しかしその2日後に日本海中部地震が発生。 改めて高木から取材を受け、その後高木の紹介によって津波の被害を調査する杉村真と滝本幸子の訪問を受ける。