概要・あらすじ
旧家である志賀の分家に生まれた高校生・志賀譲のもとに、母親が変死してひとりになった志賀本家の跡取り娘・梓がやってくる。譲と梓は同い年の従兄弟同士で、志賀本家の血筋が絶えることを危惧した梓の母親によって、ふたりが6歳の時に許嫁の取り決めを交わしていた。梓はその日以来、譲のことを一途に思い続けていたが、本家の人間に強引に決められたものとして許嫁の約束を本気にしていなかった譲は、同じ弓道部の同級生・里見と交際していた。
譲の家に身を寄せることになった梓は、譲、里美と同じクラスに転入してくる。許嫁の話を伏せていた譲に腹を立てる里美だったが、梓の中に何か不気味なものを感じていた。
高橋留美子が発表した二作目のホラー短編。孤独な心が餓鬼を呼び寄せて、少女の一途な心が妄執へとエスカレートしていく。
登場人物・キャラクター
志賀 譲 (しが ゆずる)
弓道部に所属する男子高校生。同じクラスの里美と交際をしている。旧家である志賀の分家に育ち、同い年で、本家の跡取り娘である従兄弟の志賀梓と6歳の時に許嫁の取り決めをした。許嫁については、志賀本家の血筋が絶えるのを心配した梓の母親により強引に決められたものだとして、本気にしていない。
志賀 梓 (しが あずさ)
旧家である志賀本家の跡取り娘。母ひとり娘ひとりで育ち、母親の変死で身寄りがなくなり、従兄弟である志賀譲の家に身を寄せる。志賀本家の血筋を絶やしてはならないという梓の母親の強引な勧めにより、6歳の頃、譲と許嫁の約束をかわしており、それ以来、譲のことを一途に思い続けている。 譲、里美と同じ高校の同じクラスに転入するが、厳格な母親に育てられたため、同年代の男子と話をしたことがなく、譲以外の男子には免疫がない。
里美 (さとみ)
志賀譲の同級生で同じ弓道部に所属している女子高生。志賀譲と交際している。許嫁の話を伏せていた譲に腹を立てている。梓については、すごい美人だと認めつつも、同時に不気味なものを感じて、怯えている。