血だるま剣法/おのれらに告ぐ

血だるま剣法/おのれらに告ぐ

平田弘史の代表作『血だるま剣法』のリメイク版。寛永9年(1632年)、26歳の猪子幻之助は剣術道場で師である朽木一伝斎を殺害し、門弟一同に復讐を宣言する。その動機には、幻之助が出生により差別を受けてきた事実があった。1962年に貸本誌の別冊として刊行され、差別表現が問題となった『血だるま剣法』を、設定やストーリーを大幅に変更して描き直した作品であり、1968年に発表された。

正式名称
血だるま剣法/おのれらに告ぐ
ふりがな
ちだるまけんぽう おのれらにつぐ
作者
ジャンル
時代劇
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概要・あらすじ

寛永9年(1632年)、26歳の猪子幻之介は、剣術道場の師である朽木一伝斎を斬殺し、切断した右腕を筆代わりに、門弟を皆殺しにする宣言を壁に血文字で残して姿を消す。幻之介は流刑人の子孫という出生の秘密があり、差別を受けてきたため、剣術で身を立てようと修行に執念を燃やしていた。稽古で相手を叩き伏せるまでやめないので、門弟からのけ者にされてしまう。

一伝斎は幻之介の出生を知りながら、その境遇に同情して庇護してきた。しかし、藩の副剣術師範の選定試合において、幻之介は一伝斎が自分を斬る決意であることを知り、絶望から師を殺害。その後、血文字による復讐宣言通り、門弟を次々と斬殺していく。

登場人物・キャラクター

猪子 幻之介 (いのこ げんのすけ)

『おのれらに告ぐ』に登場する、剣術道場で修行する青年。主人公。寛永9年(1632年)、26歳の猪子幻之介は師の朽木一伝斎を殺害した後、門弟を皆殺しにする復讐宣言を壁に血文字で残して姿を消す。流刑人の子孫であることで差別を受けてきた幻之介は、剣で身を立てる執念を持ち、相手を叩きのめすまで稽古をやめないため、門弟からのけ者にされた。 一伝斎は幻之介の身の上に同情して庇うが、将来、支えを失ったときに狂剣と化すことを案じ、試合の場で斬ることを決意する。幻之介はその計画を立ち聞きしてしまう。

朽木一伝斎 (くちきいちでんさい)

『おのれらに告ぐ』に登場する、剣術道場主。弟子の1人である猪子幻之介に斬殺される。一伝斎は、流刑人の子であるが故に差別されてきた幻之介を哀れみ、庇護してきた。しかし、世間の風は冷たく、温かい支えを失ったとき幻之介の剣が凄まじい狂剣と化すことを危惧し、試合の場で自らが斬ることを決意をする。その計画を幻之介に知られ、殺された。 幻之介は一伝斎から切断した右腕で、壁に門弟の皆殺しを宣言する血文字を残して姿を消す。

柿崎 (かきざき)

『おのれらに告ぐ』に登場する、剣術道場の師範代。稽古の立ち合いで相手を叩きのめすまでやめないため、門弟たちからのけ者にされていた猪子幻之介を不憫に思い、感情を抑えることを条件に立ち合いの相手をしてやる。だがやはり、幻之介は立ち合いを勝つまでやめようとせず、飛び跳ねた木刀が目に当たる事故で柿崎は失明し、道場を去った。 その後、復讐の鬼と化した幻之介と再会し、自分も幻之介と同じで流刑人の子孫だということを打ち明ける。

時山 (ときやま)

『おのれらに告ぐ』に登場する剣術道場の門弟。16歳の猪子幻之介に稽古をつけてやるが、何度も打ち倒して血だらけになっているのに、挑みかかってくるため恐れを抱く。最後は幻之介に叩き伏せられ、血だるまになって床板に悶絶した。

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