黙示録の四騎士

黙示録の四騎士

鈴木央の『七つの大罪』の続編。イロンシッドとの出会いをきっかけに、辺境の地から旅立った少年・パーシバルの冒険や戦いを描くファンタジー。講談社「週刊少年マガジン」2021年9号から掲載の作品。2023年10月に第1期、2024年10月に第2期テレビアニメ化。

正式名称
黙示録の四騎士
ふりがな
もくしろくのよんきし
作者
ジャンル
ファンタジー
レーベル
講談社コミックス(講談社)
巻数
既刊18巻
関連商品
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あらすじ

少年は旅立つ

神の指と呼ばれている地上から離れた天空の地に住む心優しき少年・パーシバルは、祖父のバルギスと共に狩りや料理、時には修行をしながら暮らしていた。バルギスは16歳の誕生日を迎えたパーシバルに冒険に出たくないのかと問うが、彼はまるで興味がない様子だった。だが、神の指から出たことがないパーシバルは、本音ではまだ見たこともない地上や冒険にあこがれを抱いていた。それでもバルギスといっしょにいられればそれでいいと冒険をあきらめていたパーシバルだったが、そんな彼らの安寧を許さない人物たちがすでに動き出し、その余波は遠く辺境の地にまで及ぶこととなる。平和に暮らすパーシバルたちのもとへ突如現れたのは、王に忠誠を誓う一騎当千の聖騎士イロンシッドだった。厄災の芽を摘むために現れたイロンシッドと戦う中でバルギスは瀕死状態となり、その場に駆けつけて戦ったパーシバルも重傷を負い、イロンシッドはその場を去る。血まみれのバルギスはパーシバルに対し、イロンシッドこそが死んだはずのパーシバルの父親だと語り、神の指を離れて地上に旅立つように告げて命を落とす。イロンシッドとの遭遇、そしてバルギスの死によって大きく運命を変えられたパーシバルは、イロンシッドがバルギスを殺した理由、そして自分の秘密について知るために旅に出る。長い旅の果てにたどり着いた大陸「ブリタニア」で、初めての外の世界で見る物とあこがれの冒険に心躍らせるパーシバルは、カッツをリーダーとする三人組の旅芸人たちに出会う。カッツたちに聞いてもイロンシッドの情報は見つからず、近くの村で情報を集めることになるが、そこは巨大な化けオオカミに襲撃されていた。

キャメロット

聖騎士たちに示された予言は、「遠くない未来、世界を滅ぼす「黙示録の四騎士」が現れる」という内容だった。イロンシッドをはじめとする聖騎士たちは、滅亡を招く黙示録の四騎士の一人だとされるパーシバルの命を狙い、容赦なく襲いかかるようになった。それでもパーシバルは、バルギスを殺した父親のイロンシッドを見つけ出すまでは、地上での冒険をやめることはなかった。そんなパーシバルには、旅中で知り合った旅芸人のドニーのほか、人語を話せる不思議なキツネ・シンをはじめとする愉快な仲間も増えていった。イロンシッドとその仲間たちの居場所を知るシンの言葉に従い、パーシバルたちはひとまず、十数年前に滅んだとされる王国「キャメロット」に行くために欠かせない場所を目指すこととなる。新たな仲間と共に始まるにぎやかな旅路の中、次に訪れたのは妖精族と巨人族たちがなかよく暮らす巨大な「木霊の谷」だった。だが、一部の動物たちが凶暴化して無差別に暴れるようになり、そこは「地獄の谷」と化していた。妖精たちは、谷がおかしくなった原因は悪魔のような狂気の薬師・ナシエンスにあると語る。一方、狩り勝負のために一人で谷の奥まで来ていたパーシバルは、ナシエンスの家に黒い妖精が捕らわれているのを発見し、助けを求められて縄をほどくものの、ナシエンスの薬によって眠らされてしまう。気づいた時には椅子に縛られていたパーシバルは抵抗しながら、妖精を捕えていたことを責めるが、ナシエンスは、あの妖精は自ら家に侵入して襲ってきたのだと言い返す。パーシバルはカンちがいしていたことを謝るが、ナシエンスは彼を解放してくれる様子がなく、ある目的のために今の実験を完成させると言い張る。

夢見るアングハルハッド

木霊の谷を荒らしていた聖騎士タリスカーを撃破し、薬師のナシエンスを仲間に加えたパーシバル一行は、リオネスへの移動手段を調達するためにシスタナの街を訪れていた。だがこの街は不穏な空気に満ちており、その元凶は住人を騙して伝説の魔法具「常闇の棺」というレリーフの欠片を集める聖騎士・イロンシッドであった。それは一見街を守るために見える行動だったが、領主の令嬢であるアンだけは、彼に対して強い不審感を抱いていた。ウソや隠し事があることを見抜く魔力を持つアンはイロンシッドが信用できないとカルデンに訴えるものの、カルデンと住人たちはすっかりイロンシッドの言うことを信じ、彼に協力していた。レリーフの欠片を偶然拾ったことでアンに出会い、イロンシッドが街の中にいることを悟ったパーシバルは、イロンシッドの策謀を破るためにも戦うべきだと主張。一方、シンはレリーフを完成させると恐ろしいことが起こると、珍しく焦りを見せる。イロンシッドの本当の目的は、邪悪な力を秘めた常闇の棺を完成させ、その力を発動するために街の住人すべてを生贄にすることであった。街の住人を騙し続けるイロンシッドに直接立ち向かって行ったパーシバルはアンを助け出し、レリーフをイロンシッドから奪うために、アンを仲間に加えて行動を開始する。だが、イロンシッドはすでにレリーフを完成させ、恐ろしい魔物を呼び出す儀式を始めていた。

わくわくカント探訪

「希望(ホープ)」の魔力に目覚めたパーシバルと仲間たちの奮戦のかいあって、ひとまずイロンシッドの脅威は去った。戦いの中で甲冑で隠れていたイロンシッドを見たパーシバルは、宿敵である彼の素顔がバルギスにそっくりだったことに戸惑いを抱えていた。リオネスへと急ぐパーシバルたちは聖騎士を志すアンを仲間に加え、巨大なダルフレア山脈の麓にある宿場街「カント」にたどり着き、しばらくは買い物や散策を楽しんでいた。そんな中、パーシバルたちはカントの酒場で思わぬ人物と遭遇する。それはかつての聖戦の武勲も名高きリオネス聖騎士長のハウザーで、彼はドニーの死んだ母親の弟、つまり叔父にあたる人物でもあった。酒に溺れるハウザーの姿にはかつての栄光や威厳もなかったうえに、聖騎士の修行を辞めてハウザーのもとを去ったドニーにとっては、気まずい再会となった。さらに、カントの店や酒場の異様さに気づいたナシエンスは、この街で売られている品はすべて盗品であり、盗賊が潜んでいると推測する。盗賊を引き連れて酒場に出現したのは、ハウザーの弟子でありドニーの兄弟子でもあるエドリンだった。かつて聖騎士を志していたエドリンは、わけあってハウザーの弟子を辞めて盗賊の仲間になり、かつての師であるハウザーを倒そうとしていた。酒に酔っていたパーシバルたちはハウザーもろとも捕まり、牢屋に閉じ込められてしまう。知らずに最大級の脅威に足を踏み入れてしまったパーシバルたちは、盗賊に支配されたカントで起こるさまざまな騒動に巻き込まれることになる。

テレビアニメ

2023年『七つの大罪 黙示録の四騎士』のタイトルでテレビアニメ化。10月8日より16時30分よりTBS系列にて放送。アニメーション制作はテレコム・アニメーションフィルム。主人公のパーシバルを小村将が演じる。第2期は第1期と同じ枠で2024年10月6日より放送。

登場人物・キャラクター

パーシバル

神の指に暮らす少年。年齢は16歳。鳥の羽のように無造作にはねた翠色の髪で、小柄なために幼児によく間違えられる。生まれた時から祖父のバルギスと二人きりで育ったため、地上の常識はまったく知らない。世間知らずで子供っぽいところもあるが、純粋で素直な性格で困った人を放っておけない。両親はおらず、バルギスからは父親は死んだと聞かされていた。身体能力が非常に高く、幼少期からバルギスと修行を重ねて強くなった。狩りや料理も得意。本音では地上にあこがれて冒険に行きたいと思っているが、バルギスといっしょにいるためにその気持ちは極力隠していた。16歳の誕生日を迎えた日に謎の騎士・イロンシッドと出会い、彼によってバルギスが殺され、イロンシッドこそが自分の父親であったことを初めて知る。バルギスを殺したイロンシッドを問い詰めること、そして自分に隠された秘密を知ることを目的に神の指を旅立ち、麓にあるブリタニアを冒険することになる。旅立ってからはバルギスの形見の兜とマントを着用しており、上半身にはイロンシッドの斬撃を受けた際に大きな傷痕を負った。当初は一人で旅をしていたが、シンやドニーをはじめとする仲間も増えていく。非常に珍しい英雄型の魔力を持ち、破壊型・付呪型・変性型・回復型の4種類の魔力を扱える。当初はうまく使いこなせずにいたが戦いの中で成長し、イメージすることで魔力を具現化したり、戦況に応じた武器を作り出したりすることができるようになった。イロンシッドとの再戦中に命を落とすが、「希望(ホープ)」という仲間の思いが力に変わる特殊な魔力を会得して蘇る。裏表がないため、アンのウソを見破る魔力は通用しない。実は予言に示された黙示録の四騎士の一人で、世界に死をもたらすと予言されている。このため、イロンシッドをはじめとする一部の聖騎士から命を狙われることになる。武器はバルギスが使っていた剣を持っていたが、ハウザーに常闇の棺の一部であるドラゴン型の柄を基に剣を作ってもらった。ハウザーの勇姿に感動してからは、彼のような立派な聖騎士を目指すようになる。

バルギス

パーシバルの祖父。孫のパーシバルと二人きりで、神の指で暮らしている。豪快な性格で、大柄な体型に兜をかぶり、マントを着用している。元聖騎士で、パーシバルが赤ん坊の頃から大切に育ててきた育ての親でもあり、幼い頃から修行もつけていた。パーシバルからは非常に慕われている。かつて16歳の頃に冒険の旅に出てキャメロットの聖騎士となっていたが、なんらかの理由で聖騎士を辞めてブリタニアから逃亡していた。このため、息子でありパーシバルの父親であるイロンシッドからは、裏切り者呼ばわりされている。パーシバルが16歳を迎えた日に、突如現れたイロンシッドに襲撃され、死闘を繰り広げるものの命を落とす。死ぬ間際に、イロンシッドこそが父親であることをパーシバルに伝えた。

イロンシッド

ブリタニアの王国・キャメロットに仕える聖騎士。バルギスの息子で、パーシバルの父親。全身に甲冑をまとっている。目的のためなら手段を選ばない冷酷な性格をしている。圧倒的な戦闘力を誇り、強力な斬撃であらゆるものを切り刻む。16年前に逃亡したバルギスを捜し出して討つために神の指に現れて彼を殺害し、駆けつけたパーシバルが自らの息子とわかりながら、容赦なく攻撃してその場を去る。アーサー・ペンドラゴンに忠誠を誓い、彼の野望のためにも滅亡をもたらす黙示録の四騎士を殺すべき存在であると考えている。シスタナの街では、街の住人を騙して常闇の棺というレリーフの欠片を集め、魔物を召喚する儀式のために住人を生贄にしようともくろんでいた。住人を騙していることをアンに見抜かれてしまい、彼女を助けに来たパーシバルと再会。再戦の中でパーシバルとその仲間たちに容赦なく猛攻を繰り返し、一度はパーシバルを死に追いやるものの、新たな魔力に目覚めた彼にレリーフを破壊されたことで計画は失敗に終わる。ふだんは甲冑で隠れているが、素顔はバルギスによく似ている。かつてキャメロットの聖騎士であったアンの母親とは同僚関係であり、彼女からは高潔で正義感の強い聖騎士と評されていた。

カッツ

ブリタニアを旅する「カッツ大道芸一座」のリーダーを務める男性。大柄な体型で面倒見がいい性格をしている。かつては聖騎士にあこがれていたが叶わず、同じく聖騎士を目指していたエルバ、ドニーと共に大道芸一座を結成した。火をあやつる魔力を持っているが、あまり強力ではない。大道芸の練習中にパーシバルと出会い、彼を村まで案内した。

エルバ

ブリタニアを旅する「カッツ大道芸一座」の紅一点。年齢は16歳。カッツと同様にかつては聖騎士を目指していたが叶わず、一座のメンバーとなった。瞬間移動ができる魔力を持つが、あまり強力ではない。大道芸の練習中に、パーシバルと出会う。当初はパーシバルのことを幼児と思ってかわいがり、負傷した彼を心配していっしょに水浴びをしていたが、あとから彼が同い年と知った時には恥ずかしがっていた。

ドニー

ブリタニアを旅する「カッツ大道芸一座」に所属する青年。赤毛を長髪にしている。年齢は16歳。金に執着があって意地悪なように見えるが、本来は仲間思いな優しい性格の持ち主。ブリタニアに来たばかりのパーシバルと出会い、なりゆきで彼の旅に同行することになる。パーシバルが放った矢が当たり、こめかみ辺りに剃り込みが入っている。人や物体を宙に浮かせる魔力を持つが、弱い力しか出せないために芸に使える程度と割り切っていた。何かと非常識なパーシバルのツッコミ役を担っている。パーシバルの勇敢な行動に触発され、聖騎士を志していた昔のことを思い出すものの、命が危険な状況になると逃げ出していた。シスタナの街でイロンシッドの強さを目の当たりにした時も逃げようとしていたが、パーシバルをはじめとする命を懸けてもいいと思える仲間に出会えたことで再び戦いに身を投じ、勇気のある行動を見せるようになる。武器は弓矢を使用する。ふだんはナシエンスやアンにからかわれることが多く、いじられキャラになっている。ブリタニアの王国・リオネスの聖騎士長であるハウザーは叔父にあたり、彼の姉である母もかつて聖騎士をしていた。昔はハウザーのもとで聖騎士の修行をしていたが、才能がないことや命を落とすリスクが嫌になって、彼のもとを離れていた。しかしカントで再会したハウザーの勇姿を見て、再び聖騎士を志すことを決めた。酒が大好き。

シン

地上に来たばかりのパーシバルが出会った、謎のキツネ。赤色の体毛で、荒っぽい人語を話す。戦闘には参加しないが魔力や魔法具をはじめとする豊富な知識を持ち、パーシバルたちにさまざまなアドバイスを与えて旅をサポートしている。ブリタニアの伝説的な英雄「七つの大罪」とも知り合いの様子だが、その正体や関係は謎に包まれている。キャメロットと敵対するある人物の頼みで、パーシバルを見つけ出して導くという使命を持っている。ふわふわした尻尾には道具などを隠すこともできる。

ペルガルド

ブリタニアの王国「キャメロット」に仕える聖騎士の男性で、黙示録の四騎士の命を狙う邪悪な一味「黒騎士」の一人。黒っぽい甲冑を全身にまとっている。好戦的な性格で、まだ魔力に覚醒していないパーシバルと無理やり戦って、彼の魔力を引き出した。戦いの中でパーシバルの潜在能力に興味を持ち、ほかの聖騎士たちとは異なり、パーシバルを殺すよりも鍛えて引き込むべきだと考えている。イロンシッドを知っているという理由でパーシバルと戦っていたが、本当は仲間の聖騎士がどこにいるかを詳しく把握しておらず、ただ単にパーシバルと戦うための口実だった。炎の魔力「焔」を使用し、街一帯を包み込むほどの火をあやつる。

ナシエンス

木霊の谷に暮らす薬師の少年。茶髪のショートヘアで、白いハットをかぶっている。クールで不愛想に見えるが、知的好奇心旺盛な性格をしている。実験好きなマッドサイエンティストな一面もあり、谷に暮らす妖精たちからは動物たちを狂わせる薬を作っていると疑われていた。しかし実際は、谷がおかしくなった原因を調べながら実験を繰り返しており、谷を正常化するための薬の研究を続けている。実験中に出会ったパーシバルのおかげで薬が完成するものの、師であり育ての親でもあるオルドが化け物と化していたことにショックを受ける。かつて赤ん坊だった頃にオルドに拾われ、本当の家族のように育ててくれた彼を師と仰ぎ、毒や薬のことを教わってきた。オルドが谷から姿を消したあとも、立派な薬師を目指して努力を続けていた。また、同じくオルドに拾われたドロレスとは、姉弟のように育てられていた。パーシバルたちの協力でオルドと谷が元に戻ってからは、オルドに背中を押されてパーシバル一行に加わり、立派な薬師になるための旅に出る。ふだんは無表情なことも多いが、家族の前では笑顔を見せ、パーシバルに対しては恩義と友情を感じている。編成型の魔力「調毒」によって、自らの体に毒を覚えさせてその毒を散布させることができる。作り出した毒を、武器などの物体に付与する付呪型も使用し、剣に毒を仕込んで敵を麻痺させることもできる。毒だけでなく病気やケガを治す薬の調合も得意で知識も豊富だが、運動が大の苦手。

オルド

かつて木霊の谷に住んでいた老薬師の男性。薬師の知識を生かして谷の植物を使ったさまざまな薬を調合し、妖精や動物のケガを癒していた。おだやかな優しい性格で、妖精たちからも好かれていた。谷に捨てられていた赤ん坊のナシエンスを本当の孫のようにかわいがり、ドロレスや妖精たちと共に、大切に育てていた。しかし突然、ナシエンスたちを置いて谷から姿を消してしまう。実はタリスカーによって怪物化されており、その息は猛毒で植物や動物を腐らせ、谷の異変の原因となっていた。タリスカーからは人間以外の生物を助けていることを咎められ、自分で谷を滅ぼすように命令されていた。パーシバルとナシエンスに助けられて正気を取り戻し、無事にドロレスたちとも再会を果たす。その後はナシエンスに、パーシバルたちと共に旅をするように背中を押した。

ドロレス

木霊の谷に住む巨人族で、修道服をまとっている少女。面倒見がよく優しい性格をしている。幼少期に群れからはぐれたところをオルドに拾われ、ナシエンスとは姉弟のように育てられてきた。妖精たちが谷の異変の原因をつくっている元凶としてナシエンスを疑っているのを知っているが、彼のことを心から信じている。谷が元に戻ることを願い、女神像の前で毎日祈りをささげている。パーシバルの協力もあってオルドが正気を取り戻し、無事に再会を果たした。ナシエンスが旅立ったあとも谷に残り、オルドや妖精たちと共に谷を守っている。

タリスカー

琥珀の鎧をまとった聖騎士の男性。ブリタニアの王国「キャメロット」に仕えている。木霊の谷に潜み、黒い妖精の姿に化けてナシエンスの家にも侵入していた。実は魔法具「混沌の杖」を使ってオルドを化け物化させて谷の異変をつくり出していた張本人であり、アーサー・ペンドラゴンの思想に反するオルドに谷を破壊するように命令していた。しかしオルドがそれに逆らったために、彼を化け物に変えて谷の平和を乱していた。正体を現してからはパーシバルやナシエンスと戦って追い詰めるものの、オルドが正気を取り戻しかけていたことや、魔力の使い方を覚えたパーシバルによって敗北する。天候を自在にあやつる魔力「天災」を使用し、巨大な雹を降らせたり雷を起こしたりできる。パーシバルによって混沌の杖が破壊されたことで、オルドは正気を取り戻した。

アン

シスタナの街の領主・カルデンの令嬢。水色の長髪でドレスをまとい、ピアスを付けた美少女で、気が強く気高い性格をしている。立派な聖騎士だった母親にあこがれ、母親のような聖騎士になって家族と街を守ることを目指している。本名は「アングハルハッド」。武器はレイピアで、ふだんは傘に仕込んでいる。母親譲りの優れた剣術を持ち、素早く相手を突く攻撃を得意とする。ウソや隠し事をしていることを見抜く魔力を持つためにイロンシッドの虚言を警戒し、カルデンに逆らってでも常闇の棺の欠片を隠し、それをたまたま見つけたパーシバルたちと出会う。その後、イロンシッドと直接対峙したところをパーシバルに救われ、イロンシッドの本当の目的を知り、恐ろしい陰謀から街を守るためにパーシバルたちと手を組むことになる。死闘の末にイロンシッドを撃退し街を守ったあとはカルデンと和解し、家族と街を守れるような立派な聖騎士を目指して、パーシバル一行の旅に加わる。イロンシッドとの戦いの中で髪が短くなったために、旅立つ前にボブヘアに整え、身軽で動きやすい服装に変えている。魔力の性質上、他人に対しては人間不信になりがちだったが、素直で裏表がないために魔力が通用しないパーシバルに感心し、彼を信頼している。元お嬢様なために少々金遣いの荒いところがあり、初めて来た街では珍しい品に見惚れて浪費していた。かつて世界を救った伝説の英雄「七つの大罪」の大ファン。

カルデン

シスタナの街の領主を務める中年男性で、アンの父親。イロンシッドから常闇の棺の欠片を探すように依頼されており、街や娘のためと思って彼に協力している。しかしアンはイロンシッドを信用せず疑っていたため、彼女とは確執が生まれていた。イロンシッドが起こした騒動を通して騙されていたことに気づき、アンとも和解する。戦いが終わったあとは、旅立ったアンを見送り、街の復興を目指す。立派な聖騎士だった妻(アンの母親)がイロンシッドの同僚でもあったため、妻からは彼が高潔でまじめな人物だと聞いていた。

アーサー・ペンドラゴン

ブリタニアの王国・キャメロットの国王を務める男性。ミステリアスな雰囲気を漂わせている。新興国であったキャメロットが16年前に魔神族との戦いで滅んだあと、わずかに生き残った者たちを引き連れて、地上とは異なる別の地に潜んでいる。安息の地であるキャメロットを永遠の王国と呼び、人間だけの世界をつくろうとしている。かつては国と国民のために勇敢に戦う少年であったが、戦いの中で命を落としたあとに混沌の力を得て蘇った。過去の経験からほかの種族を危険視しており、人間以外はすべて排除しようともくろんでいる。これらの過激な思想のもと、臣下の聖騎士たちには他種族の排除と、世界を滅ぼす危険がある黙示録の四騎士の殺害を命じている。かつては協力関係にもあった大国・リオネスとは、現在は対立関係にある。

ハウザー

ブリタニア随一の大国であるリオネスの王国騎士団・聖騎士長を務める男性。金髪で筋肉質な体型をしている。かつては激しい聖戦を戦い抜いた英雄の聖騎士として名を馳せ、明るい性格だったが、現在は酒に溺れて別人のようになっている。宿場街・カントにて、甥であり弟子の一人でもあるドニーと再会を果たす。しかし酒に酔った状態でエドリンの罠にはまり、パーシバルたちと共に牢屋に入れられてしまう。一時期は弟子の二人が離れたことで自分に師としての素質がないと自信をなくしていたが、弟子たちを守るために再び戦いに身を投じ、エドリンが怒らせてしまった古龍を鎮めることに成功する。その後はエドリンと和解し、彼を再び弟子として迎える。実家は鍛冶屋を営んでおり、常闇の棺の一片からパーシバルの剣を作って渡したうえで、再び聖騎士を目指すことを決めたドニーと彼の旅立ちを見送った。

エドリン

ハウザーの弟子で、聖騎士を目指していた青年。ドニーの兄弟子にあたり、かつては彼と同じく聖騎士を目指してハウザーのもとで修行していた。ドニーが去ったあとも熱心に修行を続けていたが、自分の魔力では聖騎士になれないとあきらめてハウザーのもとを去り、ダルフレア山脈で遭遇した盗賊たちを倒してその頭となった。古龍(エンシェントドラゴン)の巣から卵を盗み出して古龍を従え、盗賊たちと共にカントを占領していた。本物そっくりの偽物を作り出す魔力「偽物」を使用するが、作り出せる偽物はあくまで幻であり、壊れるとそのまま消えてしまう。盗賊の頭になったあとも女子供は襲わず倒した聖騎士も殺さずに逃がすなど、本来は優しくまじめな性格で、悪ぶっているだけだった。本物の卵から生まれた古龍の子供は保護していたが、卵が偽物だったと気づいた古龍の怒りを買い、それを鎮めたハウザーやドニーと和解したあとは今までの悪事を反省する。その後は再びハウザーのもとで聖騎士を目指して、修行を始める。

シルヴァン

アンの親友の雄馬。幼少期からアンと過ごしていたため、彼女からは信頼されているが、すぐに疲れてしまうためにドニーからは駄馬呼ばわりされている。非常に短足で、あまり速く走ることができない。狐のシンとは動物同士言葉を交わすことができ、当初は見下していたが彼の方が格上とわかってからは媚びるような態度で接し、すっかり子分と化している。

場所

神の指 (かみのゆび)

ブリタニア上空にある不思議な辺境の地で、パーシバルの故郷。地上から離れており、周囲が雲に囲まれているために地上が見えない。自然に囲まれており、人間はパーシバルとバルギス以外住んでいないが、天空魚やロック鳥をはじめとする地上にはいない珍しい生物が多く生息している。

その他キーワード

魔力 (まりょく)

人間をはじめとするさまざまな生物が生まれ持っている、魔法に近い超常現象やその源となる力のこと。破壊型・付呪型・変性型・回復型をはじめとする9種類に大別されている。詳細な効果には個人差があり、生活に役立つ程度のものから戦闘に役立てられる強力なものまでさまざまだが、使用者自身の性格や特性を反映していることが多く、最初は弱くても訓練次第で強化したり必殺技を編み出したりすることもできる。9種類のうち4種類を使える場合は「英雄型」と呼び、非常に希少とされている。

常闇の棺 (とこやみのひつぎ)

レリーフの形をしている古の祭器。妖精、巨人、女神、混沌の竜、人間を象った五つの欠片に分かれており、使うにはレリーフを完成させる必要がある。もとは魔神族を封印するために作られた魔法具であり、封印された力を発動させるためには命の犠牲も必要になる。かつて女神族が自ら犠牲になることで力を発動させたが、バラバラになった欠片を集めていたイロンシッドはシスタナの街の住人を生贄にすることで、力を発動させようともくろんでいた。

黙示録の四騎士 (もくしろくのよんきし)

予言に示された四人の聖騎士。それぞれが飢餓・疫病・戦争・死といった厄災をもたらして世界を滅ぼすと予言されている。金色の魔力を持つ少年、聖と魔を瞳に宿した少年、姿定まらぬ謎多き少年、鳥の羽のような翠の髪の少年の四人と予言されており、このうちの一人が死をもたらす聖騎士・パーシバルである。一部の聖騎士たちからは危険視されており、命を狙われている。

聖騎士 (せいきし)

ブリタニアにある王国に仕えている騎士。その大半は強大な魔力と武力を持っており、聖騎士一人だけで、一国の通常の兵力に匹敵するとされる。しかし、力の強さに溺れて本来の騎士道を忘れ、弱者を虐げるなど傲慢で傍若無人な行為に走る者もいる。キャメロットに仕える聖騎士たちは予言に示された黙示録の四騎士を、滅亡をもたらす存在として危険視して命を狙っているため、パーシバルとは敵対している。

前作

七つの大罪 (ななつのたいざい)

とある事情から反逆者として手配されているメリオダスが、国の荒廃した現状を嘆く王女・エリザベスと出会い、かつて共に戦った仲間たちを探しながら旅を続けていく冒険ファンタジー。講談社「週刊少年マガジン」にお... 関連ページ:七つの大罪

関連

迷え!七つの大罪学園! (まよえ ななつのたいざいがくえん)

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七つの大罪プロダクション (ななつのたいざいぷろだくしょん)

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七つの大罪 キングのまんが道 (ななつのたいざい きんぐのまんがみち)

鈴木央の『七つの大罪』のスピンオフ作品。プロの漫画家を目指しているキングが、売れっ子漫画家のメリオダスの新人アシスタントとして奮闘する姿をコメディタッチで描く。4コマ形式が中心だが、時に通常のコマ割り... 関連ページ:七つの大罪 キングのまんが道

書誌情報

黙示録の四騎士 18巻 講談社〈講談社コミックス〉

第1巻

(2021-04-16発行、 978-4065229828)

第2巻

(2021-06-17発行、 978-4065235799)

第3巻

(2021-09-17発行、 978-4065248386)

第4巻

(2021-11-17発行、 978-4065259993)

第5巻

(2022-01-17発行、 978-4065266014)

第6巻

(2022-03-17発行、 978-4065272862)

第7巻

(2022-05-17発行、 978-4065279113)

第8巻

(2022-08-17発行、 978-4065286562)

第9巻

(2022-11-17発行、 978-4065294871)

第10巻

(2023-01-17発行、 978-4065299388)

第11巻

(2023-03-16発行、 978-4065309339)

第12巻

(2023-06-15発行、 978-4065315675)

第13巻

(2023-08-17発行、 978-4065326145)

第14巻

(2023-10-17発行、 978-4065331545)

第15巻

(2024-01-17発行、 978-4065341827)

第16巻

(2024-04-17発行、 978-4065351772)

第17巻

(2024-06-17発行、 978-4065357835)

第18巻

(2024-09-17発行、 978-4065365199)

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