ZETMAN

ZETMAN

人間に作り出されて人外の力を持つプレイヤーと、それに対抗するために生み出されたジンと呼ばれる少年、ZET、そして正義のヒーローに強い憧れを抱く天城高雅たちの戦いと苦悩を通し、正義について問いかけるSFバトル漫画。1994年に「週刊少年ジャンプ」に掲載された読切版を下地にして、2002年に長期連載を開始した大作であり、桂正和の代表作。プレイヤーなどのデザインに寺田克也や竹谷隆之らイラストレーターが協力していることも特徴的。

あらすじ

プロローグ ジン(第1巻)

ホームレスの「じィちゃん」と共に暮らす少年のジンは、超人的な身体能力を持っており、その能力で日々人助けを行っていた。ホームレスの人達に、母親と共にボランティアで炊き出しを行っていた少女の天城小葉は、そんなジンにあこがれを抱く。ある日、ジンは複数の男に襲われている川上明美という女性を助け、その謝礼として1万円を受け取る。その1万円で社会勉強をするというじィちゃんに連れられて街へ出たジンは、その帰りにカメレオンのような風貌の怪物に遭遇する。その怪物はジンの眼前でじィちゃんを殺害するが、その直後に体が溶けてしまい消滅する。一人になってしまったジンは、明美によって引き取られ、いっしょに暮らすようになるが、その明美はストーカーの男に襲われて、顔に傷をつけられてしまう。その様子に逆上したジンは、ストーカーの男をすさまじい力で殴り飛ばす。

第1章 コウガとジン(第2巻~第3巻)

天城小葉は中学生になった。折しも連続放火犯が世間を騒がせており、正義感の強い小葉の兄、天城高雅は放火犯を捕まえようと調査を続けていた。放火の現場に遭遇した高雅は、そこで偶然にもジンと出会う。連続放火犯の正体は、かつてジンのじィちゃんを殺害した怪物と同じく異形の姿をしており、口から吐く炎で放火を繰り返していた。高雅はジンの協力もあり、放火現場となった民家から家族を救出、一躍人命救助のヒーローとなる。一方、放火現場で負傷して病院へと収容されたジンは、高雅の祖父、天城光鎧と出会う。光鎧は巨大企業「アマギコーポレーション」の会長であり、ある目的のためにジンを長いあいだ探していた。ジンを連れていたじィちゃんとは、かつて光鎧と共に人造生命の研究を続けていた神崎悟郎であり、ジンの正体はその神崎が開発した人造生命「ZET」だった。「ZET」として擬似的に覚醒したジンは、自身の異形の姿に驚く。そんなジンに対して光鎧は真実を語り始める。

第2章 青義(第3巻~第5巻)

天城高雅は、中田二郎という男性から「正義の味方」になるための試練と称して、とある屋敷に招かれる。そこで高雅を待っていたのは、彼のファンだという女子学生達だった。高雅と交流できるという事を喜ぶ彼女達の空気は、落下して来た天井の下敷きになって、一人の参加者が圧死した事で一変する。次々と命を落としていく参加者を守ろうと戦う高雅だったが、ただ一人を除いて全員命を落とし、高雅もまた片腕を失う。絶望する高雅の前に姿を現した二郎は、かつて自身が「アマギコーポレーション」で人造生命の研究をしていた事を話す。だが二郎は、アマギコーポレーションの会長である天城光鎧に反抗したため、息子の一郎の命を奪われ、その一郎と共に研究施設ごと生き埋めにされたのだった。二郎は自身の研究していた人造生命の技術によって生き延びたが、その寿命は決して長いものではなかった。二郎はアマギコーポレーションへの復讐心を抱いており、その後継者である高雅に、正義の無力さとアマギコーポレーションの真の姿を伝えたかったのだと語る。その後、高雅は屋敷での殺戮から生き残った橋本茉柚という少女と共に屋敷を脱出し、二郎は寿命が尽きて死亡する。

第3章 哀情(第6巻~第8巻)

ジン天城光鎧によって真実を伝えられてから2年が経過し、ジンは「アマギコーポレーション」の監視のもと、廃墟のような場所で一人で暮らしていた。そんなジンの家に田中花子という家出少女が現れる。さらにジン達の前には「プレイヤー」と呼ばれる怪物が3体出現、ジンはそのうちの1体を倒すが、残り2体には逃げられてしまう。プレイヤーとはアマギコーポレーションが開発した人造生命であり、普段は人間として生活しているが、何かのきっかけで怪物としての本性を表す事で、破壊と殺戮の本能のままに暴れる危険な存在だった。そしてジンは、そんなプレイヤーを狩る事を目的として開発された、人造生命「ZET」だったのだ。光鎧はジンを完全な「ZET」として覚醒させるために、開発者だった神崎悟郎の研究施設にジンを連れて行く。だが、そこへプレイヤーが急襲、研究施設で働いていた科学者達を殺害する。プレイヤーを撃退したジンだったが、さらにジンの前に灰谷政次と名乗る別のプレイヤーが現れる。ジンの様子を見に来ただけという灰谷はそのまま姿を消すが、研究施設が破壊されてしまったために、ジンが完全な「ZET」として覚醒する事が困難な状態となってしまう。それでもジンは光鎧にその方法を共に探そうと告げ、花子に対しては家族になろうと提案するのだった。

第4章 凄春(第8巻~第13巻)

天城高雅は、自身の考える「正義」を実現するために、アマギコーポレーションの持つ技術力を駆使して「アルファススーツ」を作り出す。そんな高雅の妹である天城小葉は、ジンに再び会うために彼の家を訪れていたが、そこを新たな「プレイヤー」に襲われる。小葉の危機を察知した高雅は、アルファススーツを装着して出撃し、ジンの協力もあってプレイヤーを倒す事に成功する。そのジンは完全な「ZET」として覚醒する糸口を探すために、天城光鎧の誘いで天城家に身を寄せていた。ジンと同棲していた田中花子は、一時期的にせよジンと別れる事に難色を示すものの、承諾して家族のもとへ帰る。

同じ頃、プレイヤー達で構成された組織「エボル」も、「ZET」の秘密を探るために動き出す。エボルの幹部である灰谷政次は、ジンが完全な「ZET」として覚醒するために必要なものが何かを突き止め、それを手に入れるための行動を開始する。

やがて迎えたクリスマスの時期。花子と再会したジンは、デートのために訪れた街で大きな爆発音を聞く事となる。さらにテレビには電波ジャックをした灰谷が姿を見せ、人間に対して宣戦布告を行う。

第5章 覇界(第13巻~第17巻)

クリスマスの夜に人類に対して宣戦布告を行った灰谷政次の指示により、街には多くのプレイヤーが出現した。その影響でジンはデートをしていた田中花子の前で「ZET」としての姿を見せてしまい、花子はその異形の姿に絶叫して姿を消す。さらに灰谷は「アマギコーポレーション」の本社がある「アマギタワー」に現れ、さらなるテロ行為を引き起こしていた。アマギタワーを訪れていた多くの人達が犠牲になっていく様子を見た天城高雅は、それを阻止しようとする。だがそこへアマギコーポレーションの造反者である早見が現れる。早見は、かつて高雅を追い込んだ中田二郎と同じく、アマギコーポレーションの転覆を狙っており、そのために高雅をあやつり人形とすべく、彼に新たな「アルファススーツ」を与える。悩みながらもテロに巻き込まれた人達を救出するために、アルファススーツを装着した高雅はアマギタワーへと急行、ジンと再会する。さらにそこへ灰谷が現れ、ジンを完全な「ZET」とするための「杭」を残して去っていく。敵であるはずの「ZET」を完全体にしようとする、灰谷の目的がわからずに苦悩する高雅だったが、この現状を打破するためにジンの体に「杭」を打ち込む。

第6章 葬刻(第17巻~第20巻)

天城高雅によって完全体になるための「杭」を打ち込まれたジンは、これまでの「ZET」とはまったく違う異形の姿へと変身する。心を失ったかのように暴走するジンだったが、天城小葉のジンへの必死の呼びかけの末に、ジンは元の心を取り戻す。だが、そんなジンとは逆に高雅は、早見によって与えられた新たな「アルファススーツ」の影響で、精神に異常を来たし始めていた。眼前の相手をすべて「悪」とみなすような、極端な正義の執行をするようになってしまった高雅は、脱出しようとするジン達の前に立ち塞がる。さらに、ジンの前から姿を消していた田中花子が、突如としてプレイヤーとして覚醒してしまう。花子の正体はプレイヤー同士のあいだに生まれた存在であり、これまでは薬によってその本性を抑えてきたものの、その薬の効果が切れてしまったために、プレイヤーへと変貌してしまう。自我をなくし、ただ本能のままに破壊活動を行う花子を説得しようと追跡するジン。だがそれを高雅が阻止する。もはや悪となった花子を止めるには説得ではなく殺すしかないと判断した高雅は、それを止めようとするジンに対して自らの刃を向ける。

登場人物・キャラクター

主人公

生まれつき身寄りがなく老人のホームレスに育てられ、左手の高に円状の瘤を持つ少年。ずば抜けた運動神経と、純粋ゆえに不安定な精神の持ち主。その正体は天城コーポレーションが作り出した・プレイヤーに対抗するた... 関連ページ:神埼 人

主人公

神埼人の正体であり、アンチプレイヤーとして生み出された生命体。名前の由来は完全生物を意味するNET実験中、プログラムの「N」がバグで90度回転していたこと。卓越した運動神経と治癒能力を持つ。プレイヤー... 関連ページ:ZET

大企業天城コーポレーションの御曹司であり、正義のヒーローというものに対して異常な執着心を見せる容姿端麗で成績優秀な好青年。当初は天城コーポレーションの研究員達におもちゃのような発明品を作ってもらってい... 関連ページ:天城 高雅

少年期のジンを育てる心優しき老人のホームレス。しかし、その正体はZETの産みの親でもあり、ZET誕生後に彼を人間にすると決意して拉致して姿をくらませていた科学者。年はそれほどとってはいないが、整形で老... 関連ページ:神埼 悟郎

天城 小葉

天城高雅の妹で、幼いころから母に付き添ってホームレスへの炊き出しを手伝う心優しい少女。兄の正義に対する妄執振りに疑問を抱いている。ジンのことは幼少期から知っており、彼のことを天使くんと呼び密かに思いを寄せている。

幼少期のジンが出会った女性。元ヒモの男に言い寄られていた時にジンに助けて貰ったのをきっかけに知り合う。気の強い美人だが、化粧を落とした顔は意外とあどけない。結婚経験もあり、子供もいるが親権は元旦那にと... 関連ページ:川上 明美

親との折り合いが悪く、家出をした後にジンと知り合い、なし崩し的に同居することになった少女。前歯を矯正している。自分を守ってくれるジンに恋心を抱き、恋愛に疎い彼に振り回されながらもやがて結ばれる。しかし... 関連ページ:田中 花子

佐山

ジンを幼少期から知るベテランの刑事。人情味にあふれた人物であり、育ての親である神埼悟郎を亡くしたジンを長い間心配していた。彼がジンにかけた「希望は地べたに転がっていない」という言葉はジンに強い影響力を与えている。

天城コーポレーションの創業者兼会長を勤める老人。かつて私欲のためにプレイヤーを作り出させたことを悔やんでおり、ZET計画を立案。神埼悟郎がジンを連れ出した後、ジンのことを探していた。放火魔の事件をきっ... 関連ページ:天城 光凱

中田 二郎

かつて天城コーポレーションに所属していた科学者。プレイヤーの産みの親であるが、当初はその目的を知らずにいた。その後、上司の加部に口答えしたことで地下室に軟禁、天城家に強い恨みを抱く。天城高雅の正義への欲望を利用しようとし、彼に人命を蔑ろにしたテストを行って天城家への復讐を企てる。

早見

天城コーポレーションの社員であり、次期社長と目されるほどの切れ者。天城高雅に協力し、アルファスの設計を指導する。口やかましい性格であり、研究員との折り合いは悪い。忠実な社員をみせかけているが、実は会社の乗っ取りを企む裏切り者であり数々の事件の裏で暗躍する。

マスター

最初期のエボル・G1でありながらエボルを統括する人物。基本能力は低いとされているが、エボルの裏返りを封じる能力をで部下の反乱を防いでいる。冷徹で計算高い性格。

エボルの一員でありながら、独自の判断で暗躍するエボル。エボルとしても上位のG3であり、裏返った姿は天使と悪魔が合体したよう。レトリックを使って相手を丸め込むのが得意で、エボルの参謀的ポジションを占める... 関連ページ:灰谷 政次

陰禅 宗弥

エボルの一員であり、灰谷政次と対を成すG3エボル。灰谷とは間逆の性格で命令には忠実。裏返った姿は灰谷と同じように天使と悪魔が混ざり合ったようだが、知能を担当する彼よりも戦闘能力が高くなるように作られている。裏返った後の姿は寺田克也がデザインをしている。

掃除人

全身をマントで覆ったエボル。エボルを溶解させる液を分泌させる剣を持っており、他のエボルから恐れられている。行動理由はエボルが平和に暮らすために、騒動を起こすエボルを排除することだが真意は不明。エボル内でも高い位置にいるようである。

『ZETMAN』に登場する生物。田中二郎らによって生み出された生物達の自称であり、元の名前はプレイヤー。「LOVE」を180度ひっくり返した綴りが名前の由来となっている。開発段階ごとにG1、G2、G3... 関連ページ:エボル

アニメ

ZETMAN

続発する奇怪な殺人事件が世間を賑わす中、神崎悟郎と幸せに暮らす主人公の神崎仁の前に、ある日異形の殺人鬼が現れる。神崎仁の幼なじみであり、もうひとりの主人公天城高雅は、神崎仁とともに、人類の存亡をかけて... 関連ページ:ZETMAN

書誌情報

Zetman 全1巻 集英社〈ジャンプ・コミックス〉 完結

第1巻 桂正和短編集

(1995年7月発行、 978-4088718200)

Zetman 全20巻 〈ヤングジャンプコミックス〉 完結

第1巻

(2003年11月発行、 978-4088765297)

第2巻

(2003年11月発行、 978-4088765303)

第3巻

(2004年5月発行、 978-4088766102)

第4巻

(2004年12月発行、 978-4088767208)

第5巻

(2005年6月発行、 978-4088768083)

第6巻

(2005年12月発行、 978-4088768939)

第7巻

(2006年7月発行、 978-4088771144)

第8巻

(2007年10月発行、 978-4088773407)

第9巻

(2008年4月発行、 978-4088774169)

第10巻

(2008年8月発行、 978-4088774930)

第11巻

(2008年8月発行、 978-4088775654)

第12巻

(2009年5月発行、 978-4088776378)

第13巻

(2009年10月発行、 978-4088777184)

第14巻

(2010年4月発行、 978-4088778037)

第15巻

(2010年12月発行、 978-4088790800)

第16巻

(2011年10月発行、 978-4088791869)

第17巻

(2012年3月発行、 978-4088792927)

第18巻

(2012年11月発行、 978-4088794365)

第19巻

(2013年12月19日発行、 978-4088798103)

第20巻

(2014年10月17日発行、 978-4088900254)

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