『夕凪の街 桜の国』に続き、「戦争と広島」をテーマにしたこうの史代の連載作品。代表作の一つでもある。太平洋戦争中の広島県呉市を舞台に、縁談により北條家に嫁いだ18歳のすずの日常生活を描く物語。戦争が進むにつれ、配給だけでは物資が足りない状況に陥るが、すずは持ち前の明るさと生活の知恵で、家族や近隣住民と良好な関係を築き、日々を過ごしていく。本作は、戦闘場面よりも銃後の生活に焦点を当てた戦争漫画である。作品の時代背景に合わせ、海軍基地を抱える呉市の地理的特徴や配給制度、隣組といった戦時体制下の社会システム、物資不足により代用品を使用する様子などが詳細に描かれている。すずの少女時代を描いた読み切り短編『冬の記憶』『大潮の頃』『波のうさぎ』を経て連載化し、双葉社「漫画アクション」2007年1月23日号から2009年2月3日号まで連載。2009年に第13回「文化庁メディア芸術祭」マンガ部門優秀賞を受賞。2016年11月に劇場版アニメが公開され、2019年12月には新規場面を追加した長尺版が公開された。また、2011年8月に日本テレビにて、2018年7月にTBS系列にてテレビドラマ化されている。