物の怪や悪霊などの荒魂(あらだま)を祓う、刀使(とじ)と呼ばれる少女たちの成長と戦いを描いた伝奇アクション漫画。少女たちは、怪異や怪物対し刀で戦う傍ら、刀使の育成を目的とする中高一貫校に通学しており、学園漫画の要素も楽しめる。2018年にアニメ化。
刀使の正式名称は「特別祭祀機動隊」と言い、警察組織に属するれっきとした公務員だ。武器になる御刀(おかたな)は、神聖な金属が使用されているため、神薙の巫女、つまり女性の刀使しか使用することができない。主人公の衛藤可奈美(えとうかなみ)は、刀使の育成を目的とする美濃関学院中等部に通う剣術オタク。刀使の育成校5校が集まる剣術大会に、親友の柳瀬舞衣(やなせまい)と一緒に出場することを楽しみにしていた。しかし、大会当日、対戦相手である十条姫和(じゅうじょうひより)が、刀使を束ねる折神家当主暗殺を計画。姫和を助けた可奈美も、追われる立場になってしまう。可憐な少女たちの戦いぶりと共に、それぞれタイプの違う御刀にも注目したい。
「宇宙世紀0084年」の宇宙が舞台のロボットアクション漫画。モビルスーツ(略称MS)「ストライカー・カスタム」のパイロットであるイットウ・ツルギの戦いや、仲間との絆を描く。戦争によるリアルな人間ドラマや社会問題を描いた、アニメ「機動戦士ガンダム」(1976年に放映)のオリジナル外伝作品だ。
『機動戦士ガンダム』といえば、言わずと知れたロボットアニメの金字塔的作品だが、シリーズと派生作品がとても多いことでも有名だろう。時代や舞台を変えている作品もあるが、本作は、第1作と同じ年代が舞台で、世界観も同じ。地球連邦軍の対破壊工作特殊任務旅団「BGST(バーゲスト)」に赴任した中佐・イットウは、武道を重んじるツルギ家出身ということもあり、MSの戦闘でも居合術を使用するなど独特な動きが多い。「妖刀システム」という独特のシステムにも、カタナをモチーフとした作品らしさが感じられる。宿敵・旧ジオン軍のビームナギナタから派生したビームサーベルや、斬れないものはないとされる刃を持つフカサクなど、刃物がモチーフになっている数々の武装が堪能できる。
西暦2205年を舞台に、刀剣の付喪神「刀剣男士」たちの歴史ファンタジー。歴史を修正しようと目論む敵と戦いながら、日常生活を営む様子を描いている。2015年1月より配信されているブラウザ及びスマートフォン用アプリゲーム「刀剣乱舞」が大本の作品だ。
物に込められた想いを励起させる能力を持つ審神者(さにわ)によって、名だたる名剣&名刀より生み出される「刀剣男士」。彼らは、歴史を守るため、歴史改変を目論む「歴史修正主義者」との戦いを繰り広げていた。とある本丸で目覚めた大和守安定(やまとのかみやすさだ)は、幕末の天才剣士・沖田総司の愛刀の一振り。同じく沖田総司の刀だった加州清光(かしゅうきよみつ)と共に、審神者や刀剣男士たちの本拠地である「本丸」で生活している。アニメ同様、大和守安定を中心とした物語が展開されていくが、漫画版の中心は日常生活の描写。コミカルな展開も多いが、敵との戦いの折には、刀剣男士たちの凛々しい姿も見られる。短刀や大太刀など、種類が違う刀剣が登場することもあり、刀種によるアクションの違いもポイントだろう。カタナについてだけではなく、日本の主だった歴史を知る一助ともなる作品だ。
剣術家・愛洲移香斎から秘太刀を伝授された下間隼人と、同じく秘伝を受け継いだ男・無風の生き様を描いたアクション作品。『忍者武芸帳 影丸伝』に、主人公・影丸の師匠として登場する無風道人の秘められた青年時代を描いた物語で、1965年に貸本漫画として発表。劇画漫画で人気を博した、白土三平の幻の名作との呼び声も高い。
愛洲陰流の師から「野兎斬り」、またの名を「吹毛の太刀」という秘太刀を会得した下間隼人と無風は、お互いに独立することが認められ、戦国の世に出る。時は流れ、富樫軍の侍大将に昇格するなど順調に実力を認められていった隼人は、同等の実力を持つ無風の名が聞こえてこないことに疑問を持っていた。そこで、自身の家来に志願してきた剣鬼の才を持つ少年・五郎太に無風を探すように命じる。秘太刀「野兎斬り」の様子が冒頭に登場するが、必至の形相で逃げる野兎の一連の動作を見れば、自然と凄みが伝わってくるというものだ。後に、『忍者武芸帳 影丸伝』に主人公の師匠として登場する無風の、どこか泰然とし、底のしれない空気にのまれそうになる。
弱小相撲部のある太刀川高校(通称ダチ高)を舞台にした相撲漫画。主人公・潮火ノ丸(うしおひのまる)は、小学生時代に「次世代の横綱候補」と言われていたが、身長160センチに満たない体格で不遇の中学生時代を過ごしていた。しかし、入学したダチ高の弱小相撲部を再建しながら、大相撲の最高位である横綱を目指していく。2014年11月に、コミックス2巻の発売を記念し、大相撲九州場所で、横綱・白鵬の取組に懸賞金をかけたことでも話題になった。2018年にテレビアニメ化。
重量感と迫力がある、本格的な取組の描写に圧倒される本作。相撲漫画にカタナがどう関わるのかといえば、作中では、将来有望な横綱候補の青少年たちに対し、国宝級・準国宝級の日本刀の名にちなんだ称号が与えられている。それぞれのキャラクターのイメージに合う刀が選ばれており、小柄さをものともしない不屈の精神と技&力を持った火ノ丸は、天下に知られた名刀五振り「天下五剣」のひとつ「鬼丸国綱」との称号が。美形でライバルの沙田美月(さだみづき)は、同じ「天下五剣」の中で最も美しいとされる「三日月宗近」の称号を与えられている。キャラクターの名前に、刀にまつわる文字が入っているところも特徴的。日本の国技である相撲に打ち込む若者たちを、日本刀の鋭く優美な名が飾っている。