過酷な未来世界…「ディストピア」マンガ10選152 Pt.

「ユートピア」とは正反対の意味を持つ世界「ディストピア」。「H・G・ウェルズ」の「タイムマシン」や「ジョージ・オーウェル」の「1984年」など、「ディストピア」の世界では時に、人々のあたり前の幸せや自由が制限され、苦しみや絶望に溢れた悲惨な未来世界を提示する。そして、「ディストピア」は常に時代の一部分を浮き彫りにし、私達に世界の在り方や生き方を改めて問いかける。マンガだからこそ描ける未来世界「ディストピア」を描いた作品を10作品紹介!

作成日時:2018-07-08 19:00 執筆者:マンガペディア公式

過酷な未来世界…「ディストピア」マンガ10選

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概要

「ユートピア」とは正反対の意味を持つ世界「ディストピア」。「H・G・ウェルズ」の「タイムマシン」や「ジョージ・オーウェル」の「1984年」など、「ディストピア」の世界では時に、人々のあたり前の幸せや自由が制限され、苦しみや絶望に溢れた悲惨な未来世界を提示する。そして、「ディストピア」は常に時代の一部分を浮き彫りにし、私達に世界の在り方や生き方を改めて問いかける。マンガだからこそ描ける未来世界「ディストピア」を描いた作品を10作品紹介!

『君死ニタマフ事ナカレ』

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2015年より月刊『ビックガンガン』にて連載。石油資源の枯渇を引き金とした世界規模の紛争が激化した未来。科学によって超能力が解明され、薬物投与によって能力開発されるようになった日本では、20歳までに能力が消えてしまう超能力者を兵士として育成するための組織「特殊能力高等学校」が設立され、日本政府は憲法により戦闘行為を行えない未成年の超能力者を「NGO」として戦地へ派遣する事を決定する。政府の期待を背負いながら、能力も組織としても未発達なまま派遣された彼ら「特殊能力高等学校」の面々を待ち受けていた派遣先は、外部の支援も全くないまま、生と死を考える暇すらなく次々と命が消し飛んでいく地獄のような戦場だった…新たな戦力として投入された彼らが「学生」×「超能力」×「戦場」というハードコアな設定と超能力を駆使したアクションが特徴のダークファンタジー。超能力という力がありながらの不条理な世界と超能力ならありえたかもしれない戦闘、人物描写は一見の価値ありの作品だ。

『進撃の巨人』

2009年より『別冊少年マガジン』より連載。突如人類の前に現れた「巨人」により滅亡の淵に立たされた人類。人を食らう「巨人」に追われ、人類は外界との間に厚い壁を隔てた「城郭都市」を作り、その中で静かに暮らすことを余儀なくされた世界が舞台。ある日、主人公「エレン・イェーガー」の住む「城郭都市」に「超大型巨人」が壁を乗り越えて姿を現し、突破不可能だったはずの壁を突破され都市は巨人に襲撃されてしまう。子供ながら逃げ惑う「エレン・イェーガー」が絶望の中で目撃したのは、巨人によってなす術なく捕食される人々と、目の前で巨人に捕食される母の姿だった。家と肉親を失った「エレン」は、5年後巨人を倒すための組織「調査兵団」へ入団し、巨人へ復讐を誓い絶望的な戦いへと身を投じていてくのだった。人間を捕食する巨人という衝撃的な設定の世界観で、様々なキャラクターが活躍するストーリーが魅力。次々と明るみになっていく世界観に目が離せない最強のファンタジーアクション作品だ。

『銃夢』

1991年より『ビジネスジャンプ』にて連載。舞台は遥か彼方の未来の地球。天上に繋ぎ止められている空中都市「ザレム」と、「ザレム」の下部から吐き出された廃棄物の山で作られた世界「クズ鉄町」の二つの世界を舞台に、全身サイボーグの少女「ガリィ」が「機甲術」や「サイバネティクス」を使った格闘技術を駆使して様々な敵と戦うサイバーパンクアクションの大作。天上の都市「ザレム」の管理下に置かれ、地上の人々は劣悪な環境での生活を強いられているという荒廃した未来世界が特徴だが、一方で「サイボーグ」や「人口知能」、「ナノマシン」といった高度に発展した技術が数多く登場し、強烈な格差社会と高度に技術が発展した未来という斬新な切り口で物語を楽しむことができる。「サイコメトリー」といったオカルト的要素もふんだんに詰め込まれた、SF作品としても必見な作品。

『彼岸島』

2002年より『週刊ヤングマガジン』にて連載。主人公「宮本明」は自宅近くで謎の少女「青山冷」を介抱する。かつて行方不明となった兄「宮本篤」の行方を知っているという彼女の言葉を信じ、「明」は友人達と共に絶海の孤島「彼岸島」に渡ることを決意する。そこは吸血鬼のボス「雅」が支配する吸血鬼たちが人間を襲う島と化していた、「明」達は上陸した先で「宮本篤」と再会するも、人間離れした力を持つ吸血鬼に襲われ、友人を失ってしまう。友人や住民達の死を目の当たりにし、島の災厄の元凶が吸血鬼「雅」であることを知った「明」は、やがて吸血鬼を打倒することを決意し、一人の戦士として絶望的な闘いへと身を投じていく…人間離れした力を持つ吸血鬼やグロテスクな怪物「邪鬼」といった怪物に人間が身一つで立ち向かうという壮絶な内容をホラーなタッチとハードな描写で描いた作品。主人公「明」の他にも様々なキャラクターが登場し、絶望的な環境の中で描かれるドラマにも注目な作品だ。

『約束のネバーランド』

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2016年より『週刊少年ジャンプ』にて連載。様々な出自の孤児が集まる孤児院「グレイス=フィールドハウス」。孤児院の優しい育ての親「ママ」と共に暮らす彼らは兄弟ではないが、小さな孤児院で幸せな毎日を送っていた。ある時「エマ」と「ノーマン」の二人は、里親が見つかって外の世界に出ることになった少女「コニー」に忘れ物を届けるため、外の禁じられていた「門」へ向かう。そこで二人は、食肉として出荷される「コニ―」と謎の怪物の姿を目撃する。そこから「鬼」の存在を知った二人は、「レイ」や「ドン」「ギルダ」を仲間に引き入れ、ハウスからの脱獄を計画する。脱獄を計画した子供達が少しずつ情報を集めながら、次第に孤児院の秘密や「ママ」の秘密に近づいてゆく。食肉にされる子供達の生産という絶望的な管理社会を舞台にした設定と、緻密に展開される心理戦が特徴の、『ジャンプマンガ』の意欲作。絶望に立ち向かう子供たちの運命に目が離せない作品だ。

『北斗の拳』

1983年より『週刊少年ジャンプ』より連載。199X年、核戦争の勃発によって文明が衰退してしまった未来。生き残った人々は各地に「村」と呼ばれる集落を作り肩を寄せ合って暮らす一方、野党といった無法者が跋扈し、暴力が全てを支配する無秩序状態になった世界が舞台。「北斗神拳」の伝承者「ケンシロウ」は、そんな荒廃した「世紀末」の世界で、攫われた恋人「ユリア」を取り戻すため、様々な悪党や「南斗六聖拳」、そして恐怖と力で支配しようとする義兄「ラオウ」に立ち向かっていく。文明が一度滅びた世界で、「秘孔を突く」という方法で戦うという設定の斬新さや、「ケンシロウ」が相手に対して言う台詞「お前はもう死んでいる」や「ひでぶ」、「あべし」といったやられキャラの断末魔の悲鳴など一世を風靡した作品。『ジャンプ』らしい熱いバトルシーンはもちろん必見だが、不条理な世界で兄弟と戦うことになる主人公「ケンシロウ」の非哀にも目を向けたい世紀末作品だ。

『アイアムアヒーロー』

2009年より『ビッグコミックスピリッツ』にて連載。35歳の売れないマンガ家「鈴木英雄」は、アシスタントをしながら再デビューを目指し悶々とした日々を送っていた。ある日、全国的に「噛み付き事件」が多発しているといったニュースが次々と報道され、やがて「英雄」の周囲でも人々がゾンビのようになってしまう謎の奇病が蔓延する。次第に奇病への感染が拡大し、恋人や仕事仲間を失った「英雄」は、東京を離れ富士の樹海で出会った少女「ZQN」と呼ばれる感染者たちが街に溢れる。恋人や仕事仲間も犠牲となり、都内から逃亡した英雄は富士の樹海で女子高生「早狩比呂美」と出会い、行動を共にするようになる。謎の感染症によって人々が次々と生ける死体「ZQN」に変貌し、崩壊していく日常と人々の逃避行を描いたSFホラー漫画作品。パンデミック後も「日常性の崩壊」と「災害」が淡々と描かれ、さらに主人公を始め、様々な形で不条理に対する人々の行動にスポットを当てた意欲的なホラー作品だ。

『GANTZ』

2000年より『週刊ヤングジャンプ』にて連載。地下鉄のホームで撥ねられ死んだはずの「玄野 計」と「加藤 勝」の二人は、謎のマンションの一室に一瞬にして転送され、そこに置かれた得体の知れない黒い球の指令により、宇宙人の暗殺を命じられる。状況を把握できないまま戦いの場へと転送された「玄野」と「加藤」は、「GANTZ」によって与えられたオーバーテクノロジーの兵器と、同じく死んで転送された仲間と共に宇宙人達を「やっつける」ために行動を開始する。やがて戦いが進むうちに彼は襲い来る異星人の正体や目的、そして「GANTZ」が作られた真の意味を知ることになり、地球の危機に抗うための戦いに身を投じる事になる。死んだはずの人間達が、正体不明の黒い球体「GANTZ」の指令によって、様々な異星人を「やっつける」よう仕向けられ、次第に世界の終末的局面にも立ち向っていくというSFアクション作品。ハードな描写と終末的世界観が魅力の作品だ。

『20世紀少年/21世紀少年』

1999年より『ビッグコミックスピリッツ』にて連載。平凡な青年「ケンジ」と子供時代の仲間達が、人類滅亡を企む謎の人物「ともだち」に立ち向かう姿を描いた作品。1970年代、「ケンヂ」が子供時代に思い描いた終末の空想を記したスケッチブックを少年達は「よげんの書」と名付けた。そして大人になるにつれそんな空想の記憶は薄れていき、そして1997年、コンビニの店長として平凡に働く青年となった「ケンヂ」の身の回りで、一家の失踪や友達の死をきっかけに世界各地で異変が起こる。やがて少年時代の記憶が徐々に呼び覚まされていった「ケンヂ」は、その世界の異変が少年時代に書き記した「よげんの書」と同じである事を確信する。「ケンジ」達、そして世界の前に突如として現れ、殺人ウイルスや政治的介入で世界を塗り替えていく謎の人物「ともだち」とは一体誰なのか。70年代の時事的な出来事も交えながらリアルに展開する最後まで謎が展開するサスペンスホラー的な展開も魅力。日本社会を舞台にしたリアルなディストピア作品の傑作だ。

『花井沢町公民館便り』

2015年より『アフタヌーンKC』にて連載。ある実験事故によって、外界から隔絶されてしまった町「花井沢町」。「生きているもの」は外には出られず、誰も中に入っては来られない町に暮らす人々は、それでもあたり前の、平凡な日常を生きていく。各エピソードごとに登場人物、時間軸が異なり、世代を超えて描かれる「花井沢町」民の日々は、穏やかだけど少しずつ外の世界とずれが生じ、日常を蝕んでいく。町内会でカレーを作り、慰問コンサートで盛り上がり、秘密基地を作り、ブログを更新し、外界の男性と恋だってする。いずれ滅びることが約束された町で、最後の一人になっても、人々の日常はいつもゆるやかに進んでいく。「ドント・クライ・ガール」「HER」で、「このマンガがすごい!オトコ編/オンナ編」1位に選ばれた作家が描く、日常系ディストピア作品。胸を締め付けられるラストのあとには、微かな希望が残る、意欲的なマンガ作品だ。

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