望月 夏目は小学6年生で中学生向けのファッション紙「プラム」の読者モデルをしていたが、父方の祖父の容態が悪くなり、父が田舎の老舗旅館「ひねもす屋」を継ぐことになった為、引っ越すことになった。それを機に読者モデルもやめさせられた。そこは東京まで5時間のマニアックな観光地「浮雲町」……。都会の派手な環境から、一気に田舎の地味な環境へ変わってしまった。夏目の望んでいるものは、「稲妻が体を貫くような衝撃・熱・閃光」。こんな田舎ではそこから遠のいてしまったような気がしていたが、衝撃の人物と遭遇する。「神さんが住んどる鳥居のある海は入ったらあかん、怖いトコ……。」寂しくなった夏目は、うっかり夜の神さんのいる海辺にきてしまう。恐れおののいていると、男の子が入ってはいけない海から出てきた。浮雲町の元大地主の息子、長谷川 航一朗(はせがわ こういちろう)であった。闇の中で白く発光して見えた航一朗を夏目は、「神さんの使い」だと衝撃を受け、田舎にいる価値を見いだした。航ちゃんは「神さん」みたいで、夏目はどんどん魅了されていくとともに、負けたくない存在に感じるようになる。そのため、勝つためにまたモデルや芸能活動を続けることになるが……。
子供が持つ「全能感」(自分は何でもできる。)という感覚が、見事に壊され落ちていく様と、そこから浮き上がっていく過程がものの見事に表現されたマンガだ。夏目が持つ「全能感」はモデルとしてもうまくいき、航一朗も手に入れることができたが、夏目の熱狂的なストーカーによりそれは打ち砕かれることになる。航一朗も、地元でハバをきかせ、全て自分の思う通りであったにも関わらず、夏目を助けることができなかった為に、「全能感」は打ち砕かれ、どんどん光を失う姿が描かれている。
2016年秋に実写映画として公開される。2004年10月〜2013年12月まで連載された、全17巻で累計発行部数150万以上を誇るマンガ。現在までに熱狂的な指示を受け、2010年度「このマンガすごい!」オンナ篇(宝島社)17位、第2回anana漫画大賞(マガジンハウス)候補になるなど、大人の女子まで幅広く人気を博している。
如月 麻琴(きさらぎ まこと)は15歳の高校1年生。姉の如月 莉華(きさらぎ りか)17歳は高校3年生で、カリスマと呼ばれている有名女高生読者モデルであった。どうしても可愛くならないといけないきっかけが麻琴にはあった……。制服もばっちりキメた麻琴だったが、廊下でサッカーをしていたイケメン入谷 瞬(いりや しゅん)とぶつかり、制服を汚され台無しにされてしまう。麻琴はショックを受けていたが、入学式の最中に入谷が麻琴に自分のブレザーをかけてフォローしてくれた。それをきっかけに、男女交えて親睦会をすることになり、ウキウキする麻琴だったが校門の前に姉の莉華が待っていて、中心を全て持っていかれてしまう……。ひくつになっていく麻琴を入谷が心配するが、麻琴は走り去ってしまう。莉華がいると、周りの皆は莉華ばかりに興味を持つ人ばかりだったのに、入谷は姉がカリスマ読者モデルだということを知らなかったため、麻琴に対して「莉華の妹」という先入観なく接してくれるのを嬉しく思い、少しずつ入谷の優しさに惹かれていく麻琴であった。
こちらの作品は主人公の姉が読者モデルをしており、日陰の存在として幼少時代からその差を感じてきていたため、性格がコンプレックスだらけでネガティブになってしまった女の子の話だ。そんな女の子が恋をして泣きながらがんばる姿がほほえましく、切なくなるマンガだ。『溺れるナイフ』より、安心( ? )して読み進めることができる。集英社りぼんにて2011年から2015年迄連載されていた。全10巻発売中!!