「時を超えた恋」を描いた少女漫画38 Pt.

”想い”は時を超えて…まるで運命のイタズラ？　タイムスリップした少年少女たちの、壮大なラブストーリーを描いた少女漫画は数多い。悠久のロマンスに酔いしれること間違いなしの少女漫画を紹介。

女子中学生・鈴木夕梨は、水溜まりから出てきた手に引き込まれ、古代のヒッタイト王国へタイムスリップしてしまった。古代オリエントの皇妃ナキアが、友梨を召喚したのである。自分の息子の次期皇帝即位に邪魔な皇子たちを抹殺する、呪術の生贄とするためだ。ナキアの息子・ジュダ・ハスパスルピは第6皇子のため、兄たちがいる限り皇帝の座にはつけないのだ。ナキアの陰謀を知った第3皇子・カイルは、夕梨を側に置いて匿う。夕梨は現代に戻る方法を探りつつ、”ユーリ”としてヒッタイト帝国で生きることになる。ユーリは、持ち前の才覚から「戦いの神・イシュタル」として民衆から支持されるようになっていく。次第に惹かれ合っていくユーリとカイル。現代に戻るか、カイルの側に残るか。ユーリの心は激しく揺れ動く。少女漫画史上、最も壮大なスケールで古代史ロマンを描いている作品である。

主人公・相馬光也は、幼い頃に誘拐された過去をもつ男子高校生。そのせいで母親が過干渉であることに、嫌気がさしている。光也が自分を解放できるのは、大好きな曽祖父と過ごす時だけ。その曽祖父が危篤になり、病院へ駆けつけた光也だが、突然時空を超え大正時代へタイムスリップしてしまう。そして若い頃の曽祖父と瓜二つの光也は、曽祖父・相馬慶光として、大正時代で過ごすことになる。「相馬慶光」を取り巻く、個性豊かな登場人物たちに面食らいながらも、光也は、彼らと徐々に心を通わせていく。時空を超えたラブストーリーも展開される。そして光也はタイムスリップ直前に聞いた、曾祖父の後悔の言葉を思い出す。曽祖父は自分に何を伝えたかったのか、どうして欲しかったのかを探っていく。大正浪漫の匂いが漂う、当時の風俗を垣間見ることが出来る世界観も、見どころのひとつだ。

主人公・早川唯は、足が速いこと以外は、まるでやる気のない女子高校生。唯は、姉とは対照的な天才少年の弟・尊が作ったタイムマシンで、戦国時代に時空を超えてタイムスリップしてしまう。唯がタイムスリップしたのは、戦場のど真ん中。脱ぎ捨てられていた鎧と兜を纏い、足軽の「唯之助」に変装して、なんとか戦場を切り抜ける。実は、タイムマシンは、「満月の夜」にしか動作しない。唯が現代に戻るためには、次の満月までの1ヵ月間を、戦国時代で生き抜かなければならないのだ。そして唯は、偶然出会った羽木家の若君・羽木九八郎忠清に、一目惚れをする。満月の夜、現代に戻った唯は、社会科教師から、1年以内に羽木家が滅び、若君も死んだと聞く。唯は、恋しい若君の運命を変えるため、現代と戦国時代の間でタイムスリップを繰り返す。「若君様」と唯の、文字通り”命”をかけた恋の行方はどうなるのか。

主人公の女子高校生・遠山りょうは、修学旅行で訪れた京都・五条大橋で、弁慶と名乗る男に襲われる。後日、弁慶が再びりょうの前に現われ、衝撃の事実を語る。りょうは平安時代から現代に時空を超えてタイムスリップした源義経本人であり、りょうの記憶や現在の家族は、すべて偽物だというのだ。そして運命は、りょうを平安時代へと連れ戻す。歴史通りに源氏と平氏の戦いが紡がれていく中、りょうと弁慶は愛し合うようになっていく。やがて平氏が滅び、りょうと弁慶は、家庭を築いて慎ましく暮らそうとする。その矢先、りょうと弁慶の仲を引き裂こうとする頼朝が、2人の命を狙う。物語終盤、次々と明らかになる登場人物たちの驚きの出自。そして、舞台は、再び現代へ。最終回は涙なしでは語れない展開になっている。

主人公の女子高校生・早川亜紅の夢は大富豪になること。そのためには他人の犠牲も厭わないという、とてもしたたかな女子高校生だ。亜紅は、SNSを駆使し、あの手この手で男性を騙してきた。それが祟ってか、通り魔に襲われ瀕死に陥る。その時、携帯電話が光って「生き残るためのミッションにチャレンジしますか？」と問われる。夢中で「チャレンジする」と答える亜紅。気づいた時には、時空を超え1980年代の日本にいた。亜紅に課されたミッションとは、住んでいるアパートのかつての住人・長石虎治郎の恋を成就させるというもの。1980年代といえば、ヤンキー文化の真っ盛りの時代。長石虎治郎も例に漏れることなく、立派なヤンキーだった。しかし、虎治郎は意外にも純粋で情熱家。彼に惹かれ本当の恋を知り、更生した亜紅は、思いがけない方法でミッションをクリア。最後に明らかにされる、このミッションの仕掛け人の正体も見どころだ。